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第2章:自分を迎えに行く旅
第十話:雪山で拾った「氷の瞳」
深い闇の底を揺られているような感覚だった。
時折、遠くで薪の爆ぜる音が聞こえ、鼻孔をくすぐる微かな森の匂いと、嗅ぎ慣れない古い紙のような香りが混じり合う。
意識が浮上するたびに、体が強烈な熱に浮かされているのが分かった。今まで家族から吸い取ってきた「穢れ」と、極限の疲労。それらがアリアという小さな器から溢れ出し、熱となって燃え盛っているようだった。
「……あ、あぁ……。お母様……ミレーヌ……」
うなされるたび、無意識にあの「呪い」の言葉を呟いてしまう。
お姉ちゃんなんだから。
我慢しなさい。
代わりなさい。
その言葉に縛られ、指先が勝手に「転移」の魔法を探そうと動く。だが、掴めるものは何もない。虚空を掻く私の手を、大きな、節くれだった手が無造作に掴み、寝台へと押し戻した。
「……静かにしろ。これ以上暴れれば、せっかく繋ぎ止めた命が逃げていくぞ」
低く、地響きのような声。
私は重い瞼を、震えながら持ち上げた。
そこは、石造りの壁に囲まれた質素な、けれど手入れの行き届いた部屋だった。暖炉の火が赤々と燃え、壁一面には床から天井まで届くほどの本棚が並んでいる。
そして私の枕元には、雪山で私を拾ったあの男が座っていた。
近くで見ると、その男――シオンは、息を呑むほど整った、けれど彫刻のように冷徹な顔立ちをしていた。深い紺色の髪が額に落ち、氷のように透き通った瞳が、私を「観察」するように見つめている。
「……ここは……?」
「レムルシア公国、最北の街。その外れにある、俺の隠居先だ」
男は短い言葉を投げ捨てると、傍らに置かれた水盆から手拭いを絞り、私の額に乗せた。
冷たい感覚が心地よく、同時に、自分の手が包帯で丁寧に巻かれていることに気づく。泥にまみれ、裂け、膿んでいたはずの指先が、薬草の清涼な香りに包まれていた。
「傷を診た。……ひどいものだな。自傷の痕ではない。他者の呪詛や、肉体的な苦痛を無理やり押し付けられた跡だ。しかも十年単位の」
シオンの瞳に、鋭い光が宿る。
私は思わず、包帯の手を隠すようにシーツの中に引き入れた。
「……見ないで、ください……。それは、私が『お姉ちゃん』として……頑張った、証ですから……」
自分でも驚くほど、声が震えていた。
まだ、あの家から逃げ出せていない。心が、あそこに置いてきた自分を否定できずにいた。
そんな私を、シオンは鼻で笑った。
「『頑張った証』? 笑わせるな。これは、君が君自身の魂を切り売りして、他人に差し出してきた『敗北の記録』だ」
「敗北……?」
「そうだ。君は、守りたかった家族に負けたのではない。君を愛さない奴らのために自分を殺すという、愚かな誘惑に負けたんだ」
シオンの言葉は、熱に浮かされた私の心に、氷水を注ぐような残酷さで突き刺さった。
今まで誰も、私にそんなことは言わなかった。
レオン様も、父も、母も、「それが君の使命だ」と笑っていた。
この男は、初対面のくせに、私の十九年間のすべてを「愚かだ」と一蹴したのだ。
「……あなたに、何がわかるんですか……! 私は、そうするしか……他に、生きる方法が……っ」
込み上げたのは、怒りか、それとも悲しみか。
私はもがこうとしたが、シオンは力強く私の肩を押さえつけた。
「死ぬのを忘れたような目をしているくせに、口だけは達者だな」
彼は私の瞳を、逃がさないようにじっと覗き込んだ。
「雪山で言ったはずだ。生きたいのなら、それを証明しろと。……君は今、何のために呼吸をしている? 妹の傷を治すためか? 両親の顔色を伺うためか?」
「それは……」
「何も思いつかないなら、今はただ、この粥を食え。他人のためではなく、自分の胃袋を満たすためだけに手を動かせ。それが、君が最初にするべき『自立』だ」
シオンはサイドテーブルから、湯気の立つ木の器を手に取った。
中には、刻んだ野菜と豆が入ったシンプルな粥。
私の家で出されていた、あの冷え切った残飯のようなスープとは違う。
立ち上る湯気は、優しくて、温かくて、それだけで鼻の奥がツンと痛くなるような匂いがした。
シオンは無言でスプーンを私の唇に寄せた。
私は戸惑いながらも、僅かに口を開く。
熱い液体が舌の上を転がり、喉を通る。
その瞬間。
私の体中に、衝撃が走った。
「っ……あ……」
味が、する。
塩気の奥にある野菜の甘み、穀物の滋味深い香り。
家族と食事をしていた時、私はいつも彼らの「不快感」を魔法で引き受けていた。だから、何を食べていても土を噛んでいるような感覚しかなかった。
だが、今。
この何でもない、名もなき旅人に差し出された粥が、驚くほど鮮やかに私の味覚を叩き起こした。
「美味しい……。美味しいです、これ……」
一度溢れ出した涙は、もう止まらなかった。
私はシオンの手から器を奪うように受け取り、包帯の巻かれた震える手で、夢中で粥を口に運んだ。
熱い。痛い。苦しい。
けれど、そのすべてが「自分のもの」であるという実感が、泥だらけだった私の心を洗い流していくようだった。
シオンは、そんな私を急かすこともなく、ただ静かに暖炉の火を見つめていた。
「……君の名前は?」
「……アリア。アリア・ローランです」
「そうか。アリア」
初めて、その名前が「道具」ではなく「一人の人間」を呼ぶ響きとして耳に届いた。
シオンは立ち上がり、扉の方へ向かった。
「ここはもうローラン領ではない。レムルシア公国……知識と静寂を愛する者の国だ。君が自分を『スペア』だと名乗らない限り、君をその役割に引き戻す者はいない」
扉に手をかけ、彼は振り返らずに言った。
「しっかり眠れ。明日は、君に『嫌いな食べ物』を聞く。自分に意思があることを、少しずつ思い出せ」
バタン、と静かに扉が閉まった。
部屋に残されたのは、暖炉の爆ぜる音と、空になった木の器。
私は、まだ痛む手をそっと胸に当てた。
心臓が動いている。
誰のためでもない、私のためだけに、トクン、トクンと規則正しく刻まれる鼓動。
窓の外、雪に閉ざされた世界で、私は初めて「アリア」としての一歩を踏み出した。
この時、私はまだ知らなかった。
私を救ったこの男もまた、かつて国を救い、そしてその価値を否定されて捨てられた「氷の軍師」と呼ばれた男であったことを。
そして、私が失った「色」を取り戻していく日々が、すぐそこまで来ていることを。
時折、遠くで薪の爆ぜる音が聞こえ、鼻孔をくすぐる微かな森の匂いと、嗅ぎ慣れない古い紙のような香りが混じり合う。
意識が浮上するたびに、体が強烈な熱に浮かされているのが分かった。今まで家族から吸い取ってきた「穢れ」と、極限の疲労。それらがアリアという小さな器から溢れ出し、熱となって燃え盛っているようだった。
「……あ、あぁ……。お母様……ミレーヌ……」
うなされるたび、無意識にあの「呪い」の言葉を呟いてしまう。
お姉ちゃんなんだから。
我慢しなさい。
代わりなさい。
その言葉に縛られ、指先が勝手に「転移」の魔法を探そうと動く。だが、掴めるものは何もない。虚空を掻く私の手を、大きな、節くれだった手が無造作に掴み、寝台へと押し戻した。
「……静かにしろ。これ以上暴れれば、せっかく繋ぎ止めた命が逃げていくぞ」
低く、地響きのような声。
私は重い瞼を、震えながら持ち上げた。
そこは、石造りの壁に囲まれた質素な、けれど手入れの行き届いた部屋だった。暖炉の火が赤々と燃え、壁一面には床から天井まで届くほどの本棚が並んでいる。
そして私の枕元には、雪山で私を拾ったあの男が座っていた。
近くで見ると、その男――シオンは、息を呑むほど整った、けれど彫刻のように冷徹な顔立ちをしていた。深い紺色の髪が額に落ち、氷のように透き通った瞳が、私を「観察」するように見つめている。
「……ここは……?」
「レムルシア公国、最北の街。その外れにある、俺の隠居先だ」
男は短い言葉を投げ捨てると、傍らに置かれた水盆から手拭いを絞り、私の額に乗せた。
冷たい感覚が心地よく、同時に、自分の手が包帯で丁寧に巻かれていることに気づく。泥にまみれ、裂け、膿んでいたはずの指先が、薬草の清涼な香りに包まれていた。
「傷を診た。……ひどいものだな。自傷の痕ではない。他者の呪詛や、肉体的な苦痛を無理やり押し付けられた跡だ。しかも十年単位の」
シオンの瞳に、鋭い光が宿る。
私は思わず、包帯の手を隠すようにシーツの中に引き入れた。
「……見ないで、ください……。それは、私が『お姉ちゃん』として……頑張った、証ですから……」
自分でも驚くほど、声が震えていた。
まだ、あの家から逃げ出せていない。心が、あそこに置いてきた自分を否定できずにいた。
そんな私を、シオンは鼻で笑った。
「『頑張った証』? 笑わせるな。これは、君が君自身の魂を切り売りして、他人に差し出してきた『敗北の記録』だ」
「敗北……?」
「そうだ。君は、守りたかった家族に負けたのではない。君を愛さない奴らのために自分を殺すという、愚かな誘惑に負けたんだ」
シオンの言葉は、熱に浮かされた私の心に、氷水を注ぐような残酷さで突き刺さった。
今まで誰も、私にそんなことは言わなかった。
レオン様も、父も、母も、「それが君の使命だ」と笑っていた。
この男は、初対面のくせに、私の十九年間のすべてを「愚かだ」と一蹴したのだ。
「……あなたに、何がわかるんですか……! 私は、そうするしか……他に、生きる方法が……っ」
込み上げたのは、怒りか、それとも悲しみか。
私はもがこうとしたが、シオンは力強く私の肩を押さえつけた。
「死ぬのを忘れたような目をしているくせに、口だけは達者だな」
彼は私の瞳を、逃がさないようにじっと覗き込んだ。
「雪山で言ったはずだ。生きたいのなら、それを証明しろと。……君は今、何のために呼吸をしている? 妹の傷を治すためか? 両親の顔色を伺うためか?」
「それは……」
「何も思いつかないなら、今はただ、この粥を食え。他人のためではなく、自分の胃袋を満たすためだけに手を動かせ。それが、君が最初にするべき『自立』だ」
シオンはサイドテーブルから、湯気の立つ木の器を手に取った。
中には、刻んだ野菜と豆が入ったシンプルな粥。
私の家で出されていた、あの冷え切った残飯のようなスープとは違う。
立ち上る湯気は、優しくて、温かくて、それだけで鼻の奥がツンと痛くなるような匂いがした。
シオンは無言でスプーンを私の唇に寄せた。
私は戸惑いながらも、僅かに口を開く。
熱い液体が舌の上を転がり、喉を通る。
その瞬間。
私の体中に、衝撃が走った。
「っ……あ……」
味が、する。
塩気の奥にある野菜の甘み、穀物の滋味深い香り。
家族と食事をしていた時、私はいつも彼らの「不快感」を魔法で引き受けていた。だから、何を食べていても土を噛んでいるような感覚しかなかった。
だが、今。
この何でもない、名もなき旅人に差し出された粥が、驚くほど鮮やかに私の味覚を叩き起こした。
「美味しい……。美味しいです、これ……」
一度溢れ出した涙は、もう止まらなかった。
私はシオンの手から器を奪うように受け取り、包帯の巻かれた震える手で、夢中で粥を口に運んだ。
熱い。痛い。苦しい。
けれど、そのすべてが「自分のもの」であるという実感が、泥だらけだった私の心を洗い流していくようだった。
シオンは、そんな私を急かすこともなく、ただ静かに暖炉の火を見つめていた。
「……君の名前は?」
「……アリア。アリア・ローランです」
「そうか。アリア」
初めて、その名前が「道具」ではなく「一人の人間」を呼ぶ響きとして耳に届いた。
シオンは立ち上がり、扉の方へ向かった。
「ここはもうローラン領ではない。レムルシア公国……知識と静寂を愛する者の国だ。君が自分を『スペア』だと名乗らない限り、君をその役割に引き戻す者はいない」
扉に手をかけ、彼は振り返らずに言った。
「しっかり眠れ。明日は、君に『嫌いな食べ物』を聞く。自分に意思があることを、少しずつ思い出せ」
バタン、と静かに扉が閉まった。
部屋に残されたのは、暖炉の爆ぜる音と、空になった木の器。
私は、まだ痛む手をそっと胸に当てた。
心臓が動いている。
誰のためでもない、私のためだけに、トクン、トクンと規則正しく刻まれる鼓動。
窓の外、雪に閉ざされた世界で、私は初めて「アリア」としての一歩を踏み出した。
この時、私はまだ知らなかった。
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