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第19話:決別の日
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夜明け前、王都を包む深い霧の中に、一台の馬車が音もなく消えていった。
御者台に座るのはトニ。そして客車の中には、アデナウアー公爵家の「中身」を全て詰め込んだ私と、隣国から迎えに来たシオンがいる。
「……本当に行かなくていいのか? 最後に一言、罵ってやらなくていいのか」
シオンが私の手を握り、静かに問いかける。
「いいえ。言葉は、通じる相手にのみ価値があるものですわ。あの方々には、これから訪れる沈黙こそが、最大の罰になりますから」
私は一度も振り返ることなく、国境へと続く道を見据えた。
◆
数時間後。アデナウアー公爵家の屋敷に、運命の朝がやってきた。
「……おい、エルゼ! 朝食はどうした! 洗顔の水も冷え切っているぞ!」
父が寝癖のついた頭で寝室から這い出し、廊下で叫んだ。だが、いつもなら即座に飛んでくる侍女も、不機嫌そうに書類を運んでくるエルゼの姿もない。
屋敷の中は、不気味なほどにしんと静まり返っていた。
父が不審に思い、エルゼの執務室のドアを乱暴に開ける。
「エルゼ! どこに――」
言葉が止まった。
そこには、長年彼女が座っていた机の上に、一通の封筒と、山のような「赤い紙」が置かれていた。
「……なんだ、これは」
震える手で封筒を開ける。中には、エルゼの美しい筆跡でこう記されていた。
『お父様、ディートリヒ、マリア。
私は本日をもって、アデナウアーの姓を捨て、全ての義務から解放される道を選びました。
委任状に基づき、この屋敷の土地、建物、および残された僅かな資産は、昨日付で全て私の個人商会へと譲渡・売却済みです。
現在、この屋敷は私の所有物ですが、あなたたちのために本日正午までは開放しておいてあげますわ。
追伸:金庫の中身は、私の「正当な退職金」として全て回収いたしました』
「……っ、嘘だろ……?」
父は狂ったように一階の金庫室へ駆け下りた。重厚な扉を開けると、そこには金貨一枚どころか、ネズミ一匹さえいない空っぽの空間が広がっていた。
「金が……ない。どこにも、一ペニーもないぞ!」
そこへ、騒ぎを聞きつけたディートリヒとマリアが、パジャマ姿で駆け込んできた。
「お父様! 玄関に、見たこともない男たちが大勢押し寄せていますわ! 『借金の返済期限が過ぎた、屋敷から出ろ』って!」
「僕のところにも騎士団が来た! 『重要書類を返せ、さもなくば反逆罪で連行する』って……! エルゼは!? エルゼに何とかさせろよ!」
三人は互いに責任をなすりつけ合い、空っぽの金庫の前で怒鳴り散らした。
だが、彼らを助ける者はもうどこにもいない。
正午。
王宮の執行官と借金取りたちが屋敷に踏み込んだ時、かつての名門公爵家は、文字通り「もぬけの殻」となっていた。
家具も、絵画も、銀食器も、有能な使用人も。
全てはエルゼという名の「家の心臓」と共に、国境の向こう側へと去ったのだ。
「……あ、ああ……。エルゼぇぇぇ! 戻ってこい! 戻ってきてくれぇぇ!」
父の絶叫が、家具のなくなった虚ろな広間に虚しく響き渡った。
◆
その頃。
私はルナリア聖教国の国境警備局で、新しい身分証を受け取っていた。
「エルゼ・フォン・ルナリア。……いいえ、まだそれは早いな」
シオンが私の肩を抱き、悪戯っぽく微笑む。
「ようこそ、自由の国へ。エルゼ。君の復讐の第2章……そして、私との新しい生活の始まりだ」
窓の外には、王国の淀んだ空気とは違う、輝くような黄金色の太陽が昇っていた。
私は初めて、心の底から深く、安らかな息を吐き出した。
定期アナウンス↓
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📖 読者の皆様へお願い 📖
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本日は数多ある素敵な作品の中から、本作を最後までお読みいただきまして、
心より、、本当に、心からの感謝を申し上げます……!!✨
。・゜・(ノД`)・゜・。
「この先、一体どんな運命が待ち受けているの……!?」
「物語の続きが気になって、もう待ちきれない!」
「なんだか面白そう! もっとこの世界に浸っていたい!」
もし、あなたの心にそんな小さな灯がともったのであれば、
作者としてこれほど光栄で、幸せなことはございません。
そこで、皆様にお願いがございます……!🙏✨
本作をこれからも盛り上げていくために、ぜひあなたの「お力」を貸してください!
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孤独な執筆作業に打ち込む作者にとって、何よりの宝物であり、
次のエピソードを紡ぎ出すための「最強の魔法」になります……!🔥
「続きが読みたい!」というそのお声に応えるべく、
これからも全力全開、魂を込めて物語を書き進めてまいります!
あなたの温かい応援を、心より、切実にお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします!!!(๑•̀ㅂ•́)و✧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
THANK YOU FOR READING!
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「エルゼ! どこに――」
言葉が止まった。
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正午。
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「……あ、ああ……。エルゼぇぇぇ! 戻ってこい! 戻ってきてくれぇぇ!」
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◆
その頃。
私はルナリア聖教国の国境警備局で、新しい身分証を受け取っていた。
「エルゼ・フォン・ルナリア。……いいえ、まだそれは早いな」
シオンが私の肩を抱き、悪戯っぽく微笑む。
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