死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん

文字の大きさ
28 / 35

第28話:再会と決着

しおりを挟む
ルナリア聖教国と王国の国境付近で行われる、歴史的な「和平・通商条約締結式」。
会場となる神殿の周囲は、両国の騎士団によって厳重に警備されていた。だが、その華やかな舞台の裏側――会場の隅で泥だらけになりながら、石畳を磨いている三人の男女がいた。

かつてのアデナウアー公爵、ディートリヒ、そしてマリアだ。
彼らは「反逆者の家族」として、強制労働の一環でこの会場の清掃係として駆り出されていた。

「……見ろ、ルナリアの皇太子妃だ……」
「なんて美しさだ。まるで女神のようじゃないか」

周囲の騎士たちのざわめきと共に、黄金の馬車が到着した。
降りてきたのは、まばゆいばかりの白銀のドレスを纏い、皇太子シオンの腕に抱かれたエルゼだった。

その姿を見た瞬間、三人の目に狂気じみた希望が宿った。

「エ、エルゼ……! エルゼじゃないか!」
「お姉様! 私よ、マリアよ!」

彼らは制止する騎士たちの腕を振り切り、泥のついた体で赤絨毯の上へと転がり出た。そのまま、エルゼの足元に額を擦り付け、土下座の姿勢で縋り付く。

「エルゼ、許してくれ! 私が悪かった! お前の言う通りだ、私たちが無能だったんだ!」
「姉上、お願いだ、僕を助けて! ルナリアへ連れて行ってくれ、何でもするから!」
「お姉様ぁ! お腹が空いて死にそうなの、昔みたいに美味しいものを用意して!」

あまりの醜態に、会場は静まり返った。
エルゼは、足元で泥水を啜りながら泣き叫ぶ三人の男と女を、無表情で見下ろした。

その瞳には、怒りも、悲しみも、憐れみすらない。ただ、道端に落ちている石ころを見るような、完全なる「虚無」があった。

「……シオン様。この方たちは、どなたかしら?」

エルゼの鈴の音のような声が響いた。

「さあね。我が国の神聖な式典に紛れ込んだ、ただの不法入国者か、あるいは狂人だろう。不愉快な思いをさせてすまない、エルゼ」

シオンが彼女の肩を抱き寄せると、エルゼはふっと微笑んだ。

「……そう。私の知っている『家族』は、既に二年前、私が断頭台に向かった時に全員死にましたもの。……この汚らしい方々のことは、存じ上げませんわ」

「なっ……! エルゼ、何を……!」
「お姉様、嘘でしょ!? 私たちを捨てるっていうの!?」

エルゼは一歩前へ踏み出し、父の指先をドレスの裾で踏みつけるようにして、静かに言い放った。

「衛兵。このたちを追い出してちょうだい。式典の空気が汚れてしまうわ」

「はっ!」

騎士たちに引きずられていく三人。彼らは必死にエルゼの名前を呼び続けたが、エルゼは一度も振り返ることなく、シオンと共に神殿の奥へと消えていった。

前世で、私が必死に伸ばした手を振り払ったのは、あなたたち。
今世で、私が差し出した「地獄」を受け取るのは、あなたたち。

エルゼ・フォン・アデナウアーは、この日、名実ともに死んだ。
そして今、この国を統べる王妃としての、新しいエルゼが誕生したのだ。














定期アナウンス↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
           📖 読者の皆様へお願い 📖
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本日は数多ある素敵な作品の中から、本作を最後までお読みいただきまして、
心より、、本当に、心からの感謝を申し上げます……!!✨
。・゜・(ノД`)・゜・。

「この先、一体どんな運命が待ち受けているの……!?」
「物語の続きが気になって、もう待ちきれない!」
「なんだか面白そう! もっとこの世界に浸っていたい!」

もし、あなたの心にそんな小さな灯がともったのであれば、
作者としてこれほど光栄で、幸せなことはございません。

そこで、皆様にお願いがございます……!🙏✨
本作をこれからも盛り上げていくために、ぜひあなたの「お力」を貸してください!

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃         ✨ \ 応援の3大ステップ /✨                 ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃                                    ┃
┃ 1. 【 お 気 に 入 り 登 録 】 をポチッと!                  ┃
┃  (更新通知が届くようになり、最新話を最速でチェックできます!)   ┃
┃                                    ┃
┃ 2. 【 感 想 】 であなたの熱い想いを届けてください!.            ┃
┃  (一言「面白かった!」「あそこが良かった!」が魂の救いです!) ┃
┃                                  ┃
┃ 3. 【 い い ね 】 ボタンを連打(の気持ち)でプッシュ!            ┃
┃  (皆様からの評価が、執筆のガソリンとなり、筆が爆速になります!)┃
┃                                  ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

皆様からいただけるリアクションの一つひとつが、
孤独な執筆作業に打ち込む作者にとって、何よりの宝物であり、
次のエピソードを紡ぎ出すための「最強の魔法」になります……!🔥

「続きが読みたい!」というそのお声に応えるべく、
これからも全力全開、魂を込めて物語を書き進めてまいります!

あなたの温かい応援を、心より、切実にお待ちしております。
どうぞよろしくお願いいたします!!!(๑•̀ㅂ•́)و✧

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              THANK YOU FOR READING!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

毒家族から逃亡、のち側妃

チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」 十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。 まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。 夢は自分で叶えなきゃ。 ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

処理中です...