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第二部:格差社会と公開処刑
第十九話:輝ける絶望、ミラー要塞の完成
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地響きと共に、国境の荒野が割れた。
突撃を開始したラングリス王国の十万の兵たちが目にしたのは、レアルタ帝国の守備兵ではなく、地中から突き出してきた「巨大な鏡の刃」の群れだった。
「な……なんだ、これは!? 壁だと聞いていたが、これではまるで……巨大な宝石の森ではないか!」
シグムンド様が馬を止め、驚愕に目を見開く。
私が展開した【神域要塞:反射する断罪の鏡壁】は、ただの障壁ではない。全方位がマナを反射する「魔導鏡」で構成された、高さ五十メートルを超える巨大な多角形要塞だ。
「美しいでしょう? 陛下。この壁は、私を『地味』だと笑った方々のために、最高に『派手』に仕上げておきましたわ」
私はレオンハルト陛下の隣で、余裕の笑みを浮かべた。
要塞の表面は太陽の光を集め、ラングリス軍の目を眩ませる。錆びた鎧を纏った兵士たちは、自分たちの醜い姿が千倍、万倍に増幅されて映し出される鏡の壁を前に、本能的な恐怖で足を止めてしまった。
「怯むな! 相手はただの石細工だ! クロエ、聖女の光で粉砕しろ!」
シグムンド様の命令に、クロエ様が必死の形相で応じる。
「分かっていますわ! こんな見掛け倒しの壁、私の神聖魔術で消し炭にしてあげます! 喰らいなさい、【聖光爆裂波】!」
クロエ様が放ったのは、彼女が持つ全マナを注ぎ込んだ最大級の攻撃魔法だった。
かつてなら、私が裏で構造を補強して受け流していたはずの力。それが今、巨大な光の渦となってミラー要塞へと激突する。
だが、その瞬間。
「……反射《リフレクト》を開始しますわ」
私が指先を軽く動かすと、鏡の壁が幾何学的な模様を描きながら角度を変えた。
物理法則を無視した角度で組み合わさった魔導鏡は、クロエ様の攻撃を「吸収」することなく、その威力を三倍に増幅させて、そのままラングリス軍の陣営へと叩き返したのだ。
「え……? 嘘、私の魔法が、戻って――」
ドォォォォォォォン!!
凄まじい爆発音が荒野を震わせた。
自分たちの放った聖光に飲み込まれたのは、他ならぬラングリス軍の主力部隊だった。
悲鳴を上げる暇もなく、彼らが持っていた瓦礫の盾や錆びた槍は、自国の「聖女」の光によって文字通り蒸発していく。
「あ、あああ……俺の軍が! 俺の十万の兵が、一瞬で半分に……!」
爆風に煽られ、落馬したシグムンド様が泥の中で這いずり回る。
後方に控えていた兵士たちも、自分たちの影を映し出す鏡の壁に戦意を完全に喪失し、武器を投げ出して逃げ惑い始めた。
「これこそが、建築学における『力の等価交換』ですわ。私を拒絶した力は、そのままあなたたちを破壊する力となる。……当然の帰結ですわね」
私はバルコニーから、光り輝く要塞の勇姿を見つめた。
鏡の表面には、燃え盛る自軍の陣地を見て絶望するシグムンド様と、魔力切れで老婆のように萎びたクロエ様の姿が、残酷なほど鮮明に映し出されている。
「アニエス……君の建築は、もはや一つの軍隊を凌駕しているな。……いや、一つの『神話』だ」
レオンハルト陛下が感嘆の溜息を漏らす。
だが、私の仕事はまだ終わっていない。
第2部の締めくくりとして、彼らには自分たちがどれほど『空虚』な存在であったかを、徹底的に理解していただかなくては。
「さて、シグムンド様。……残りの半分も、掃除して差し上げましょうか?」
私は冷徹な瞳で、瓦礫の中で泣き叫ぶ元婚約者を見据えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
突撃を開始したラングリス王国の十万の兵たちが目にしたのは、レアルタ帝国の守備兵ではなく、地中から突き出してきた「巨大な鏡の刃」の群れだった。
「な……なんだ、これは!? 壁だと聞いていたが、これではまるで……巨大な宝石の森ではないか!」
シグムンド様が馬を止め、驚愕に目を見開く。
私が展開した【神域要塞:反射する断罪の鏡壁】は、ただの障壁ではない。全方位がマナを反射する「魔導鏡」で構成された、高さ五十メートルを超える巨大な多角形要塞だ。
「美しいでしょう? 陛下。この壁は、私を『地味』だと笑った方々のために、最高に『派手』に仕上げておきましたわ」
私はレオンハルト陛下の隣で、余裕の笑みを浮かべた。
要塞の表面は太陽の光を集め、ラングリス軍の目を眩ませる。錆びた鎧を纏った兵士たちは、自分たちの醜い姿が千倍、万倍に増幅されて映し出される鏡の壁を前に、本能的な恐怖で足を止めてしまった。
「怯むな! 相手はただの石細工だ! クロエ、聖女の光で粉砕しろ!」
シグムンド様の命令に、クロエ様が必死の形相で応じる。
「分かっていますわ! こんな見掛け倒しの壁、私の神聖魔術で消し炭にしてあげます! 喰らいなさい、【聖光爆裂波】!」
クロエ様が放ったのは、彼女が持つ全マナを注ぎ込んだ最大級の攻撃魔法だった。
かつてなら、私が裏で構造を補強して受け流していたはずの力。それが今、巨大な光の渦となってミラー要塞へと激突する。
だが、その瞬間。
「……反射《リフレクト》を開始しますわ」
私が指先を軽く動かすと、鏡の壁が幾何学的な模様を描きながら角度を変えた。
物理法則を無視した角度で組み合わさった魔導鏡は、クロエ様の攻撃を「吸収」することなく、その威力を三倍に増幅させて、そのままラングリス軍の陣営へと叩き返したのだ。
「え……? 嘘、私の魔法が、戻って――」
ドォォォォォォォン!!
凄まじい爆発音が荒野を震わせた。
自分たちの放った聖光に飲み込まれたのは、他ならぬラングリス軍の主力部隊だった。
悲鳴を上げる暇もなく、彼らが持っていた瓦礫の盾や錆びた槍は、自国の「聖女」の光によって文字通り蒸発していく。
「あ、あああ……俺の軍が! 俺の十万の兵が、一瞬で半分に……!」
爆風に煽られ、落馬したシグムンド様が泥の中で這いずり回る。
後方に控えていた兵士たちも、自分たちの影を映し出す鏡の壁に戦意を完全に喪失し、武器を投げ出して逃げ惑い始めた。
「これこそが、建築学における『力の等価交換』ですわ。私を拒絶した力は、そのままあなたたちを破壊する力となる。……当然の帰結ですわね」
私はバルコニーから、光り輝く要塞の勇姿を見つめた。
鏡の表面には、燃え盛る自軍の陣地を見て絶望するシグムンド様と、魔力切れで老婆のように萎びたクロエ様の姿が、残酷なほど鮮明に映し出されている。
「アニエス……君の建築は、もはや一つの軍隊を凌駕しているな。……いや、一つの『神話』だ」
レオンハルト陛下が感嘆の溜息を漏らす。
だが、私の仕事はまだ終わっていない。
第2部の締めくくりとして、彼らには自分たちがどれほど『空虚』な存在であったかを、徹底的に理解していただかなくては。
「さて、シグムンド様。……残りの半分も、掃除して差し上げましょうか?」
私は冷徹な瞳で、瓦礫の中で泣き叫ぶ元婚約者を見据えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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