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第二部:格差社会と公開処刑
第二十話:更地の上の勝利宣言
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「反射」の衝撃が収まった時、国境の荒野には、耳が痛くなるほどの静寂が訪れていました。
かつて「十万の兵」を自称し、誇らしげに土煙を上げていたラングリス王国の軍勢。ですが今、そこにあるのは、自分たちの放った魔法で焼き払われ、文字通り『更地』と化した虚無の光景だけでした。
「あ……あ、ああ……。嘘だ。こんなことが、あっていいはずがない……」
泥と灰にまみれたシグムンド様が、虚ろな目で辺りを見回しています。
彼が守ろうとした矜持も、奪い返そうとした私の技術も、すべては鏡に跳ね返された光の中に消えました。隣では、魔力を使い果たしたクロエ様が、ボロ雑巾のように地面に伏して、ピクリとも動きません。
「……陛下。不純物の除去、完了いたしましたわ」
私はレオンハルト陛下の隣で、静かに杖を収めました。
ミラー要塞はその輝きを失うことなく、悠然と聳え立っています。そこには、敗北し、無様に地を這うシグムンド様たちの姿が、今なお鮮明に映し出されていました。
「見事だ、アニエス。剣を一振りもせず、ただ『壁を立てる』だけで、これほどの軍勢を退けるとは。君は本当に、私の想像を遥かに超えていく」
陛下は私の手を取り、その甲に優しく口づけをしました。
その温かさに、私の心は満たされていきます。かつて母国の冷たい石壁の中で、誰にも認められずに計算式を書き続けていた日々が、ようやく報われたような気がしました。
私はバルコニーから、力なく立ち上がろうとするシグムンド様へ向けて、拡声の魔導具を使わずに声を届けました。
「シグムンド様。……ご覧なさい。これが、あなたが『地味で役に立たない』と切り捨てた、建築士の出す『答え』ですわ」
シグムンド様が、弾かれたように顔を上げます。
「アニエス……! 頼む、待ってくれ! 今の攻撃は、そう、クロエが勝手にやったことだ! 俺は、俺はまだお前を愛している! だからその壁を開けて、俺を迎え入れてくれ!」
その期に及んで放たれた、あまりに身勝手で、建築学的に言えば『構造欠陥だらけ』の言葉。
私は、心底から呆れた溜息を吐きました。
「愛? ……あなたの仰る愛とは、崩壊する城の支柱に私を据え、使い潰すことでしょう? そんな不安定な設計図、私は二度と描くつもりはございません。……兵をまとめ、瓦礫の国へお帰りなさい。そこがお似合いですわ」
私が指を鳴らすと、ミラー要塞の一部が変形し、巨大な『送風扇』が姿を現しました。
「不純物。……強制排除いたします」
ゴォォォォォ! という凄まじい暴風が巻き起こり、シグムンド様とクロエ様、そして生き残ったわずかな兵士たちは、木の葉のように母国の方角へと吹き飛ばされていきました。
これで、物理的な決着はつきました。
ですが、彼らはまだ理解していないのです。私が奪ったのは、ただの城や兵力ではないということを。
「陛下。……次は、法と論理の場で、あの国に引導を渡して差し上げましょう」
私は不敵に微笑みました。
母国ラングリスは、今や国家予算のすべてをこの無謀な進軍で使い果たし、さらに私の術式を不当にコピーしようとした『著作権侵害』という、国際的な大罪を犯しているのですから。
第二部、完結。
物語は、瓦礫の国を経済的・法的に追い詰める第三部――『知略と闇の胎動』編へと突入します。
最後まで読んでいただきありがとうございます! 第2部の締めくくりとして、圧倒的な勝利と冷徹なまでの突き放しを描きました。
かつて「十万の兵」を自称し、誇らしげに土煙を上げていたラングリス王国の軍勢。ですが今、そこにあるのは、自分たちの放った魔法で焼き払われ、文字通り『更地』と化した虚無の光景だけでした。
「あ……あ、ああ……。嘘だ。こんなことが、あっていいはずがない……」
泥と灰にまみれたシグムンド様が、虚ろな目で辺りを見回しています。
彼が守ろうとした矜持も、奪い返そうとした私の技術も、すべては鏡に跳ね返された光の中に消えました。隣では、魔力を使い果たしたクロエ様が、ボロ雑巾のように地面に伏して、ピクリとも動きません。
「……陛下。不純物の除去、完了いたしましたわ」
私はレオンハルト陛下の隣で、静かに杖を収めました。
ミラー要塞はその輝きを失うことなく、悠然と聳え立っています。そこには、敗北し、無様に地を這うシグムンド様たちの姿が、今なお鮮明に映し出されていました。
「見事だ、アニエス。剣を一振りもせず、ただ『壁を立てる』だけで、これほどの軍勢を退けるとは。君は本当に、私の想像を遥かに超えていく」
陛下は私の手を取り、その甲に優しく口づけをしました。
その温かさに、私の心は満たされていきます。かつて母国の冷たい石壁の中で、誰にも認められずに計算式を書き続けていた日々が、ようやく報われたような気がしました。
私はバルコニーから、力なく立ち上がろうとするシグムンド様へ向けて、拡声の魔導具を使わずに声を届けました。
「シグムンド様。……ご覧なさい。これが、あなたが『地味で役に立たない』と切り捨てた、建築士の出す『答え』ですわ」
シグムンド様が、弾かれたように顔を上げます。
「アニエス……! 頼む、待ってくれ! 今の攻撃は、そう、クロエが勝手にやったことだ! 俺は、俺はまだお前を愛している! だからその壁を開けて、俺を迎え入れてくれ!」
その期に及んで放たれた、あまりに身勝手で、建築学的に言えば『構造欠陥だらけ』の言葉。
私は、心底から呆れた溜息を吐きました。
「愛? ……あなたの仰る愛とは、崩壊する城の支柱に私を据え、使い潰すことでしょう? そんな不安定な設計図、私は二度と描くつもりはございません。……兵をまとめ、瓦礫の国へお帰りなさい。そこがお似合いですわ」
私が指を鳴らすと、ミラー要塞の一部が変形し、巨大な『送風扇』が姿を現しました。
「不純物。……強制排除いたします」
ゴォォォォォ! という凄まじい暴風が巻き起こり、シグムンド様とクロエ様、そして生き残ったわずかな兵士たちは、木の葉のように母国の方角へと吹き飛ばされていきました。
これで、物理的な決着はつきました。
ですが、彼らはまだ理解していないのです。私が奪ったのは、ただの城や兵力ではないということを。
「陛下。……次は、法と論理の場で、あの国に引導を渡して差し上げましょう」
私は不敵に微笑みました。
母国ラングリスは、今や国家予算のすべてをこの無謀な進軍で使い果たし、さらに私の術式を不当にコピーしようとした『著作権侵害』という、国際的な大罪を犯しているのですから。
第二部、完結。
物語は、瓦礫の国を経済的・法的に追い詰める第三部――『知略と闇の胎動』編へと突入します。
最後まで読んでいただきありがとうございます! 第2部の締めくくりとして、圧倒的な勝利と冷徹なまでの突き放しを描きました。
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