役立たずと捨てられた万能建築士、隣国で「聖域」を造って無双する。今さら復興のために戻れ? ご自分たちで瓦礫でも積んでいればよろしいのでは?

しょくぱん

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第三部:知略と闇の胎動

第二十一話:盗人猛々しい、国際法廷への提訴

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ミラー要塞によって軍事的に壊滅し、這々の体で母国ラングリスへと逃げ帰ったシグムンド様。しかし、彼らの「往生際の悪さ」は、私の計算を遥かに超えていました。

数週間後、レアルタ帝国の王宮に一通の書状が届きました。それはあろうことか、周辺諸国が加盟する『大陸平和維持機構』からの、国際法廷への召喚状。

「……ふふ、あははは! 陛下、これをご覧になって! 面白すぎてお腹が痛いわ!」

私は豪華な応接室で、書状を手に笑い転げてしまいました。隣でレオンハルト陛下が、呆れたように眉を寄せています。

「アニエス、笑い事ではないぞ。ラングリス王国はこう主張している。『アニエス・ラ・トールは、ラングリス王家が代々秘匿してきた国家最高機密の建築術式を盗み出し、それを手土産にレアルタ帝国へ亡命した泥棒である』と」

書状には、シグムンド様とバルド宰相の連名で、私の即時引き渡しと、これまでレアルタで建造したすべての施設の「権利譲渡」を求めるという、妄想じみた訴状が記されていました。

「私が盗んだ、ですって? 私が寝る間も惜しんで、たった一人で数式を組み上げ、石の強度を計算し、現場の泥にまみれて構築したあの術式を……あの方々は『王家の遺産』だと言い張るのですか」

私は笑いを止め、ゆっくりと立ち上がりました。瞳の中には、ミラー要塞の鏡面よりも鋭く冷たい光が宿っています。

「いいでしょう。その訴え、真っ向から受けて立ちますわ。……偽聖女クロエ様も、証人として出席されるのでしょう? ならば、世界中の人々の前で、どちらが『本物』であるか、白日の下に晒して差し上げますわ」

国際法廷が開かれるのは、中立地帯である「聖都オリヴィア」。
そこには、各国の王族や、権威ある魔導建築士たちが一堂に会します。シグムンド様たちは、数の暴力と権威を盾に、私を「犯罪者」に仕立て上げることで、無償で国の修復をさせようと企んでいるのでしょう。

「アニエス、私も同行しよう。我が帝国の顧問を泥棒扱いされて、黙っているほど私は寛容ではない」

「ありがとうございます、陛下。ですがご心配なく。……建築とは、嘘をつけない学問です。土台が腐っていれば、どれだけ言葉を飾っても崩れ去るのみ。彼らの『嘘』という名の欠陥住宅を、法廷という名の重力で粉砕して差し上げますわ」

私は、法廷に持ち込むための「特別な建材」の準備を始めました。
それは、言葉による反論よりも雄弁に、私の正しさを証明するための『実演用サンプルデモンストレーション・キット』。

第三部、知略の幕開け。
自分たちが何を敵に回したのか。シグムンド様たちは、法廷の冷たい床の上で思い知ることになるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます! いよいよ第3部のスタートです。
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