TRACKER

セラム

文字の大きさ
63 / 172
夏休み前編 (超能力者管理委員会編)

番外編① - 推測と結果の狭間で

しおりを挟む
 日本月光党、超能力者管理委員会・委員長 葉山順也。またの名を"不協の十二音" 指揮者・"MAESTROマエストロ"。

 MAESTROマエストロの超能力は"予測"に"結果"を引き寄せその"過程"を知る、"予測と結果の狭間でオルタナティヴ・ユニヴァース"。

 起こりうる結果を推測し、2択以上の選択肢を創り出して答えを選択する。実際に起こった事象と葉山が選択した回答が一致した場合、その結果までに対象が辿った過程を知ることが出来る。
 回答形式や問題を複雑化することで知ることの出来る過程の内容が変化する。知ることの出来る内容は事前には分からず、葉山のサイクスに判断は委ねられる。

1. 対象者とその期間を決める
2. インナー・サイクスの状態で選択肢の設定と予測を確定する
3. 発動後はサイクスの使用を許可されるが、直接サイクスを使って対象者を自らの予測へ導くことは出来ない。言葉を使って巧みに誘導することのみが許される。(ただし、脅迫は除く)

 この超能力 (葉山はこの一連の流れを"ゲーム"と呼んでいる) が予測に結果を引き寄せると言われる所以は葉山の予測が正しかった後にある。
 選んだ選択肢と実際に起こった事象が一致した場合、葉山は"選択しなかった推測"へと過程を無視して結果を変更することが出来る。
 ただし、葉山の予測が外れると1つ前のゲーム (2時間前以内) において結果を変えている場合、元の結果へと引き戻される。(葉山が知った過程には影響が及ばない)
 結果の変更を適用していない、または前回のゲームが2時間以上前の場合は影響されない代わりにサイクスを2時間使用出来なくなる。

4. もし"予測と結果の狭間でオルタナティヴ・ユニヴァース"によって知った過程の内容に超能力が含まれる場合、また、葉山の推測の対象が相手の超能力でそれが正しかった場合、それは"持ち曲レパートリー"として具現化された譜面に記譜される。
5. "持ち曲レパートリー"を使用する場合、"予測と結果の狭間でオルタナティヴ・ユニヴァース"を1度成功させる必要がある。その後、任意の人数を"並行世界ヌブル"へと連れて行き、そこで"持ち曲レパートリー"から選んで"発動演奏"する。
 発動した超能力は最低でも演奏される音楽が終わるまで使用し続けなければならない。超能力の併用をすることは不可能で、1度使った超能力をまた使うには1度現実世界へ戻って再び"並行世界ヌブル"に戻る必要がある。

 葉山は超能力者管理委員会においても暇つぶしに"予測と結果の狭間でオルタナティヴ・ユニヴァース"を使用し、遊び目的と自分の予測を上回る人材の発掘を試みていた。

 まず欠席した第3回超能力者管理委員会から第4回超能力者管理委員会開始30分前に期限を定め、日月党を除く4党に派遣されたメンバー (4×3=12人) に対象を設定。
 その後、葉山は『葉山の動向を超能力を使って探り、行き先を特定した (A)』、『葉山の動向を超能力を使わずに探り、行き先を特定した (B)』、『葉山の動向を超能力を使わずに探り、行き先を特定出来なかった (C)』、『葉山の動向を探らない (D)』の4つの選択肢を用意。日陽党 (A)、日光党 (A)、自由党 (C)、異共党 (A)として更に4つの回答全てが正しかった時のみを正当とすることで難易度を上げた。

 結果、葉山の推測は全て正しく、各党が辿った過程を知り、4択であったことも加味され使用された超能力、白井と木戸の超能力 (異共党は派遣された議員以外の超能力を使用した為に対象外として知ることは出来なかった) を知ることが可能となった。

「(僕の予測を上回ってくる党はありませんか……)」

 葉山は自由党の結果を (B)へ変更し、全ての委員会メンバーが月島姉妹と接触を図ったことを分かっている状態にした。

「(期限をこの委員会終了後、対象を日月党を除く全てのメンバーに対象を定める。九州地方を取りにくる (a)か否か (b)の選択肢を定め全て (b)と推測する)」

 葉山はこれまでの委員会でメンバーの力量を見限っていたが「月島瑞希」というワードに注目される中、冷静に状況を判断し、九州地区の重要性に目を向けられる者はいるのか試すゲームを気まぐれに開始したのである。

 白井は北海道地方・近畿地方・関東地方を既に有したことで満足感を示しており、葉山の発言に驚きを持ったものの全く疑念を抱く様子はない。

「(やはり白井さんは単純ですねー。扱いやすい)」

 葉山は嘲笑する。また、他の党も目立った動きがないことから諦めて自ら九州地方を希望した。

*****

「我々日本光明党も九州地方を希望しようと考えていました」

*****

 石野の言葉により、葉山の推測は外れた。これにより1つの前のゲームにおいて葉山は国民自由党の結果を変更していた為にこれがキャンセルされ、国民自由党は葉山の行き先を知らない状態となった。

*****

「差し支えなければ葉山委員長、前回はどのようなご用だったのですか?」

*****

 これが伊田の発言に繋がった。

「(非超能力者である石野さんが九州に目を向ける余裕があるとは……面白い存在になるかもしれませんねぇ……)」

 葉山は不気味に笑って車に乗り込む。

 本人は"予測と結果の狭間でオルタナティヴ・ユニヴァース"を不確定要素が多い為に最強の超能力とはみなしていない。しかしながらこの超能力ちからが気まぐれに世に混乱をもたらすのに好都合であるとも考えている。

 使い方を間違えれば自分にもどのような混乱が訪れるのか分からない。そのリスクと不確定要素が葉山に、"MAESTROマエストロ"に刺激を与えるのである。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~

月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。 大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう! 忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。 で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。 酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。 異世界にて、タケノコになっちゃった! 「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」 いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。 でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。 というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。 竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。 めざせ! 快適生活と世界征服? 竹林王に、私はなる!

神様の許嫁

衣更月
ファンタジー
信仰心の篤い町で育った久瀬一花は、思いがけずに神様の許嫁(仮)となった。 神様の名前は須久奈様と言い、古くから久瀬家に住んでいるお酒の神様だ。ただ、神様と聞いてイメージする神々しさは欠片もない。根暗で引きこもり。コミュニケーションが不得手ながらに、一花には無償の愛を注いでいる。 一花も須久奈様の愛情を重いと感じながら享受しつつ、畏敬の念を抱く。 ただ、1つだけ須久奈様の「目を見て話すな」という忠告に従えずにいる。どんなに頑張っても、長年染み付いた癖が直らないのだ。 神様を見る目を持つ一花は、その危うさを軽視し、トラブルばかりを引き当てて来る。 *** 1部完結 2部より「幽世の理」とリンクします。 ※「幽世の理」と同じ世界観です。 2部完結 ※気まぐれで短編UP

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん
ファンタジー
 戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。  3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。  家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。  そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。  こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。  身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

処理中です...