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追う者、追われる者編
第118話 - 再会
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––––東京都第7地区4番街第5セクター7–15 : 『東京未成年超能力者再教育機関』
政府は義務教育期間を18年間として、高校卒業までの18歳以下で犯罪を犯した未成年超能力者を再教育する『未成年超能力者再教育機関』を各都道府県は設置した。
未成年超能力犯罪者たちは高校卒業の年までこの機関で再教育プログラムを受けた後に就職、大学への進学、そして更なる拘束が必要とみなされた場合、『超能力犯罪者収容施設』への移送となる。
福岡県第3地区第2セクター (能古島)4–12 暴力団『鹿鳴組』総本部が倒壊した翌日午後4時半前、その東京未成年超能力者再教育機関に1台の特殊警察車両が入構する。
「面会の方は事前に発行されたバーコードIDを、警察関係者の方は警察手帳タブレットを読み取り部にかざして下さい」
運転席の窓が開き警察手帳タブレットをかざし、認証を行う。
「IDの認証に成功しました。このまま右側の通路を進行し、車両を駐車スペースにて駐車して下さい」
車はAIの指示通りに静かに発車する。
車内では携帯を握りしめ、気が気でない様子の月島愛香が助手席に座っている。その様子を運転席から坂口玲奈が横目に見ている。
「愛香、大丈夫? 別日にして良いのよ?」
玲奈は心配そうに愛香に声をかける。
「大丈夫よ。瑞希の所には花さんとお祖父ちゃんが付いてくれてる」
愛香は玲奈に答えるというよりも自分に言い聞かせるように話す。玲奈はその様子を静観して後に続く言葉を待つ。
「相手は私をご所望よ。私が行かない限り話が進まない」
「それでもみずが帰るまで延期にしてても良かったのよ。ほら、瀧さんと課長がそれぞれ十二音のメンバーを倒したって件があるんだから」
「玲奈もいつも言ってるじゃない。そういった類の事件は基本的に私たちには何も出来ないって。それに知りたいのよ。私も……」
愛香はそう言い残し、再び携帯に目を向ける。通知がきていない時点で瑞希に関する新たな情報はない。その事を理解していても自分は通知を見逃していないのか、また、通知がきても直ぐに内容を確認できるように身構えている。
「(私がしっかりしないとね……。相手が相手だけに……)」
玲奈はそう思いつつ愛香を見守る。
2人を乗せた警察車両はそのまま駐車スペースへと向かった。
#####
東京未成年超能力者再教育機関の教育指導員の1人、柚木 くるみはタブレットを操作しながら次の面会予定者の確認をする。
「(面接解禁されて直ぐの予約ね……。しかも警察関係者から)」
東京未成年超能力者再教育機関での規則として入校後、2ヶ月は面会を禁止される。その後、機関での様子を見てそれぞれの面接解禁日が定められる。
「(15歳にして多くの一般人を殺害し、高校で職員を誘拐・殺人未遂。とんでもない子よ)」
柚木は今回、ある少女の面会の記録係兼見張りの役割を命じられている。柚木はその少女が割り当てられている部屋の前へと立ち、一呼吸入れた後にノックする。
「はーい」
中から明るい、活発そうな少女の声が聞こえ、直ぐに扉が開く。
「柚木先生、こんにちはー。待ちくたびれちゃいましたよ~」
少し赤みがかった髪の毛をした可愛らしい少女が現れた。少女はルームメイトの女の子に「じゃあまたね!」と元気に別れを告げると部屋を出て柚木について行く。
「上野さん、調子はどうかしら?」
「元気ですよ、先生」
数ヶ月前に東京都第3地区を震撼させた張本人、上野菜々美は柚木の問いかけに対して愛想良く返事する。
「そう。なら良かった。上野さん、今日は警察関係者の方との面会よ。規則はちゃんと分かってるわね?」
「もちろん。入念に確認しました。いやー嬉しいなぁ」
柚木は上野の様子を見て少し困惑する。
「嬉しい? ご家族じゃなくて警察の方々なのよ?」
上野は笑顔を崩さずに返答する。
「だって大好きな幼馴染みのお姉さんだから。それに家族には直ぐに会えるしね」
柚木はその笑顔に若干背筋がゾクッとするのを感じる。
「(ここでの態度は模範的で正に優等生。何故こんな子がここにいるのか疑問に思うことが多々ある。愛想も良くて可愛いらしい。成績的にもすごく優秀。学校でも人気者だったはず)」
それでも時々、菜々美の笑顔を見るとどこか底知れない怖さを感じる。その底知れなさがまた暴発しないだろうか、という不安を柚木は感じるのだ。
「そうなのね。さぁ、上野さん面会室に行くわよ。付いてきて」
「はい」
2人が向かっているのは面会室A – 07。面会室に入る前に菜々美は持ち物検査と異不錠 (サイクスを抑え込むために首に装着される錠) の確認をされた後に入室する。
今回の事件に関して菜々美はただ一点を除いて素直に関与を認めている。東京第3地区高等学校の周辺で見つかった遺体に関しての関与を一貫して否定しているのだ。そして菜々美は事件の動機などは全く語らず黙秘を続けている。
––––月島愛香さんとならお話しますよ
これは菜々美がずっと言い続けている言葉である。高校での事件のきっかけは幼馴染みである月島瑞希を狙ってのものだった。そして菜々美はその姉・月島愛香との面会を求めた。
本来ならば禁じられる内容だが、愛香が捜査一課関係者であることから菜々美の望み通り今回の面接が設定された。
菜々美は職員から検査をされる。
「何も無いですよ~」
菜々美は明るい声でそう言いながら素直に応じる。
問題がなかったことを確認し、柚木は直筆で署名をした後に面会室A – 07へと菜々美を入室させる。
入室すると既に愛香と玲奈は座って待機していた。
「お姉ちゃん、お久しぶり」
菜々美は調子を崩さず、よりウキウキした様子で愛香に挨拶をした。
政府は義務教育期間を18年間として、高校卒業までの18歳以下で犯罪を犯した未成年超能力者を再教育する『未成年超能力者再教育機関』を各都道府県は設置した。
未成年超能力犯罪者たちは高校卒業の年までこの機関で再教育プログラムを受けた後に就職、大学への進学、そして更なる拘束が必要とみなされた場合、『超能力犯罪者収容施設』への移送となる。
福岡県第3地区第2セクター (能古島)4–12 暴力団『鹿鳴組』総本部が倒壊した翌日午後4時半前、その東京未成年超能力者再教育機関に1台の特殊警察車両が入構する。
「面会の方は事前に発行されたバーコードIDを、警察関係者の方は警察手帳タブレットを読み取り部にかざして下さい」
運転席の窓が開き警察手帳タブレットをかざし、認証を行う。
「IDの認証に成功しました。このまま右側の通路を進行し、車両を駐車スペースにて駐車して下さい」
車はAIの指示通りに静かに発車する。
車内では携帯を握りしめ、気が気でない様子の月島愛香が助手席に座っている。その様子を運転席から坂口玲奈が横目に見ている。
「愛香、大丈夫? 別日にして良いのよ?」
玲奈は心配そうに愛香に声をかける。
「大丈夫よ。瑞希の所には花さんとお祖父ちゃんが付いてくれてる」
愛香は玲奈に答えるというよりも自分に言い聞かせるように話す。玲奈はその様子を静観して後に続く言葉を待つ。
「相手は私をご所望よ。私が行かない限り話が進まない」
「それでもみずが帰るまで延期にしてても良かったのよ。ほら、瀧さんと課長がそれぞれ十二音のメンバーを倒したって件があるんだから」
「玲奈もいつも言ってるじゃない。そういった類の事件は基本的に私たちには何も出来ないって。それに知りたいのよ。私も……」
愛香はそう言い残し、再び携帯に目を向ける。通知がきていない時点で瑞希に関する新たな情報はない。その事を理解していても自分は通知を見逃していないのか、また、通知がきても直ぐに内容を確認できるように身構えている。
「(私がしっかりしないとね……。相手が相手だけに……)」
玲奈はそう思いつつ愛香を見守る。
2人を乗せた警察車両はそのまま駐車スペースへと向かった。
#####
東京未成年超能力者再教育機関の教育指導員の1人、柚木 くるみはタブレットを操作しながら次の面会予定者の確認をする。
「(面接解禁されて直ぐの予約ね……。しかも警察関係者から)」
東京未成年超能力者再教育機関での規則として入校後、2ヶ月は面会を禁止される。その後、機関での様子を見てそれぞれの面接解禁日が定められる。
「(15歳にして多くの一般人を殺害し、高校で職員を誘拐・殺人未遂。とんでもない子よ)」
柚木は今回、ある少女の面会の記録係兼見張りの役割を命じられている。柚木はその少女が割り当てられている部屋の前へと立ち、一呼吸入れた後にノックする。
「はーい」
中から明るい、活発そうな少女の声が聞こえ、直ぐに扉が開く。
「柚木先生、こんにちはー。待ちくたびれちゃいましたよ~」
少し赤みがかった髪の毛をした可愛らしい少女が現れた。少女はルームメイトの女の子に「じゃあまたね!」と元気に別れを告げると部屋を出て柚木について行く。
「上野さん、調子はどうかしら?」
「元気ですよ、先生」
数ヶ月前に東京都第3地区を震撼させた張本人、上野菜々美は柚木の問いかけに対して愛想良く返事する。
「そう。なら良かった。上野さん、今日は警察関係者の方との面会よ。規則はちゃんと分かってるわね?」
「もちろん。入念に確認しました。いやー嬉しいなぁ」
柚木は上野の様子を見て少し困惑する。
「嬉しい? ご家族じゃなくて警察の方々なのよ?」
上野は笑顔を崩さずに返答する。
「だって大好きな幼馴染みのお姉さんだから。それに家族には直ぐに会えるしね」
柚木はその笑顔に若干背筋がゾクッとするのを感じる。
「(ここでの態度は模範的で正に優等生。何故こんな子がここにいるのか疑問に思うことが多々ある。愛想も良くて可愛いらしい。成績的にもすごく優秀。学校でも人気者だったはず)」
それでも時々、菜々美の笑顔を見るとどこか底知れない怖さを感じる。その底知れなさがまた暴発しないだろうか、という不安を柚木は感じるのだ。
「そうなのね。さぁ、上野さん面会室に行くわよ。付いてきて」
「はい」
2人が向かっているのは面会室A – 07。面会室に入る前に菜々美は持ち物検査と異不錠 (サイクスを抑え込むために首に装着される錠) の確認をされた後に入室する。
今回の事件に関して菜々美はただ一点を除いて素直に関与を認めている。東京第3地区高等学校の周辺で見つかった遺体に関しての関与を一貫して否定しているのだ。そして菜々美は事件の動機などは全く語らず黙秘を続けている。
––––月島愛香さんとならお話しますよ
これは菜々美がずっと言い続けている言葉である。高校での事件のきっかけは幼馴染みである月島瑞希を狙ってのものだった。そして菜々美はその姉・月島愛香との面会を求めた。
本来ならば禁じられる内容だが、愛香が捜査一課関係者であることから菜々美の望み通り今回の面接が設定された。
菜々美は職員から検査をされる。
「何も無いですよ~」
菜々美は明るい声でそう言いながら素直に応じる。
問題がなかったことを確認し、柚木は直筆で署名をした後に面会室A – 07へと菜々美を入室させる。
入室すると既に愛香と玲奈は座って待機していた。
「お姉ちゃん、お久しぶり」
菜々美は調子を崩さず、よりウキウキした様子で愛香に挨拶をした。
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