ゴーストスロッター

クランキー

文字サイズ
小 中 大 特大
17 / 138
【第2章】

■第17話 : 強制された勝負

どう断っても断りきれないだろうと判断した優司。
しかし、一応ダメモトで断ってみることにした。

「いや、俺としてはあんまりやりたくないんだよね。
 俺、ホームレスだし、もし負けたら生活ができなくなるし……」

表情を曇らせながら、しおらしくしてみたが、やはり真鍋には通用しなかった。

「お前さ、もうちょっと空気読めよな?
 この状況で断れるとでも思ってんのか。
 いい返事をするまでは、ここを動くことはできないと思った方がいいぜ」

予想通りの返答だった。

「……わかったよ。結局、勝負するしかないんだろ」

ややイラつき気味に答える優司。

「おお! やっと引き受けてくれたか!
 いやあ、よかったよかった」

(何言ってんだ……。無理矢理じゃんよ。しらじらしい)

あからさまに不快そうな表情を浮かべてアピールしたが、真鍋は意に介さず話を続けた。

「でさ、勝負方式は、光平とやった『設定読み勝負』でいこうぜ?
 やっぱ同じような勝負じゃないとな」

「ああ、わかったよ。
 俺としては、出玉勝負だけは受けられないしね」

「おお、それも聞いたぜ。
 えらくヒキが弱いんだってな?
 でも、設定5・6ばっかツモって負けれるってのもある意味すごいヒキ強だけどな! ハッハッハッ!」

神経を逆なでされるようなセリフ。
この言葉に優司は、逆に勝負を受けてよかったとすら思い始めた。

「……勝負することは決まったんだからもういいんだろ?
 俺は、もうここで帰らせてもらうよ」

「おお、そうだったな。
 じゃあ、勝負の日とか場所とか伝えておくぜ。
 お前と会った時のために、前々から決めておいたんだ」

「え? そ、そっちが決めるの……?」

「なんだ? なんか問題でもあんのか?」

「…………」

「それともお前は、自分で全部決めなきゃ勝てないようなヘボなのか?」

この真鍋のセリフにカチンときて、優司は語気を強めた。

「い、いい加減してくれよなッ!
 なんなんだよさっきから!
 やけにネチネチとした言い方ばっかりしてきやがってさ!
 わかったよ、上等だよッ! 全部そっちが決めていいよ!」

冷静でいるつもりだったが、真鍋の言葉があまりにも侮辱的だったことに、ついに我慢できなくなってしまった。

「おお、今言ったよな? 俺が全部決めていいって」

「あ、ああ……」

「じゃあ決めさせてもらうぜ。
 勝負の日はちょうど一週間後、ホールは『シルバー』だ。
 あのホールで、夜10時の設定発表の時に、朝一掴んだ台が6なら勝ちっていうルール。
 戦利品は30万。これで決まりな」

「えッ?」

ホール名を聞いて、優司は凍りついた。

(『シルバー』……? あそこって確か……)

「じゃあそういうことで。
 当日の待ち合わせは『シルバー』の前でな。
 当然『シルバー』の場所は知ってるよな? あのデカいホールを知らないとは言わせないぜ。
 もちろん、朝は何時に並んでもOKだから。
 そんじゃあな!
 ……ああ、一応言っとくけど、逃げたらただじゃおかねぇから。絶対来いよ」

そう言い残し、真鍋達は去っていった。



◇◇◇◇◇◇



一人になり、改めて勝負ホールとなった『シルバー』について思索する優司。

(間違いない。絶対そうだ……)

そう呟きながら、ポケットから例の各ホールの特徴をまとめた小さなスロノートを取り出し、パラパラとめくっていった。

そして、『シルバー』についての情報が書かれているページを読み返した。

(やっぱり……
 クソッ! よりにもよってあんなホールで勝負なのかよ……)

優司のスロノートによると、『シルバー』とはここらへんのホールの中ではかなり読みづらい、設定読みには適さないホールだ。

設定の置き方がバラバラで、下手したらサイコロでも振って適当に決めてるんじゃないかと思えるほどの読みづらさなのだ。

(ヤバい……
 あんなホールで、読みを利かせて確実に設定6を掴むなんてのは不可能だ……)

改めて、事の重大さを知った。
なにしろ、この勝負に負けたら30万を支払わなければならないのだ。

せっかくある程度余裕を持てたのに、この勝負に負ければまたもやギリギリの生活に戻されてしまう。

(マジかよ……
 なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ……)

勝負を受けたことに、今更ながら激しく後悔する優司。
だが、ここにきてそんなことで落ち込んでいても何も始まらない。

(しょうがない。とりあえず、早く日高と会おう。さっきの真鍋の口ぶりから、日高なら何か知ってそうだし。
 あの真鍋ってヤツがなんでこんなに俺との勝負にこだわるのか調べないと。
 うまくいけば、日高が取り持ってくれてこの勝負をナシに出来るかもしれないし)

そう考えたと同時に、近くの公衆電話へと向かい、すぐに日高と連絡をとった。



◇◇◇◇◇◇



「よぉ! どうしたんだよ今日は?
 やけに深刻な声してたよなぁ?」

待ち合わせ場所の居酒屋へ現れた日高。

いつもなら仲間と一緒に来る日高だが、今日は一人で来てくれ、と優司が頼んだため、一人で待ち合わせ場所へとやってきた。

「やぁ、久しぶり……でもないか。昨日も会ったもんね」

「ほんとだよ。
 ってか、なんでいきなり一人で来てくれとか言い出したんだ? 何があったんだよ夏目」

「それなんだけどさ……。
 まあ、とりあえず軽く飲んでからにしようよ」

そう言って、近くの店員を呼びとめ、生ビールを二つ注文した。



「よぉ、そろそろいいんじゃないか?
 なんで今日は、俺と二人だけで飲もうと思ったんだ? 気になってしょうがねぇよ」

飲み始めて30分ほどしたところで、日高が切り出した。

「……ああ、それなんだけどさ」

少し間を置いた後、意を決して切り出した。

「あのさ、真鍋ってやつ知ってる?」

「えッ?」

名前を聞き、明らかに表情が変わる日高。

「真鍋ッ? 真鍋遼介のことか?」

「そう、その真鍋!
 やっぱり知ってるんだ。日高の事、下の名前で呼んでたくらいだから絶対知ってるとは思ったけど」

「……で、あいつがどうしたんだ?」

「今日さ、その真鍋にスロ勝負を吹っかけられたんだ。『お前が光平に勝ったヤツだろ?』って感じで」

「あいつが……」

「ねぇ、真鍋とはどういう関係なの?
 なんか恨まれるようなことでもしたの?」

「……遼介とは幼馴染なんだ。小・中学とずっと一緒だったからな」

「幼馴染……?
 全然そんなふうには思えなかったよ?
 なんか、憎しみ合ってるようにも見えたけど」

「まあ、今はそういう状態だな。
 でも、最初から仲が悪かったわけじゃない。
 つーか、つい最近まではよく一緒にツルんでたくらいだよ」

「…………」

「最近って言っても、1年くらい前までだけど……。
 あんなことさえなければ、今も普通にツルんでたんだろうなぁ」

「あんなこと?」

「ああ。凄くくだらないことから始まったんだけどな」

そう言って、日高は真鍋と疎遠になってしまったきっかけについて話し出した。
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~ 表紙

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。
恋愛 完結 ショートショート
文字数 9,943
女風体験記〜今話題の女性用風俗に行ってきたので感想載せます〜 表紙

女風体験記〜今話題の女性用風俗に行ってきたので感想載せます〜

女風に行った感想書いちゃうよ! (あくまでも私が体験したことです。全てのセラピスト様が同じ様な施術をしてるわけでは無いと思います。)
恋愛 完結 短編
文字数 10,166
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか... 表紙

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。
青春 完結 短編
文字数 11,294
百合ランジェリーカフェにようこそ! 表紙

百合ランジェリーカフェにようこそ!

 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
青春 連載中 長編 R15
文字数 59,023
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。 表紙

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。
恋愛 完結 短編 R15
文字数 1,856
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。 表紙

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
青春 連載中 長編 R15
文字数 31,050
還暦の性 若い彼との恋愛模様 表紙

還暦の性 若い彼との恋愛模様

還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話
恋愛 完結 短編
文字数 12,614
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。 表紙

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ファンタジー 完結 長編 R15
文字数 564,689