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【第2章】
■第17話 : 強制された勝負
どう断っても断りきれないだろうと判断した優司。
しかし、一応ダメモトで断ってみることにした。
「いや、俺としてはあんまりやりたくないんだよね。
俺、ホームレスだし、もし負けたら生活ができなくなるし……」
表情を曇らせながら、しおらしくしてみたが、やはり真鍋には通用しなかった。
「お前さ、もうちょっと空気読めよな?
この状況で断れるとでも思ってんのか。
いい返事をするまでは、ここを動くことはできないと思った方がいいぜ」
予想通りの返答だった。
「……わかったよ。結局、勝負するしかないんだろ」
ややイラつき気味に答える優司。
「おお! やっと引き受けてくれたか!
いやあ、よかったよかった」
(何言ってんだ……。無理矢理じゃんよ。しらじらしい)
あからさまに不快そうな表情を浮かべてアピールしたが、真鍋は意に介さず話を続けた。
「でさ、勝負方式は、光平とやった『設定読み勝負』でいこうぜ?
やっぱ同じような勝負じゃないとな」
「ああ、わかったよ。
俺としては、出玉勝負だけは受けられないしね」
「おお、それも聞いたぜ。
えらくヒキが弱いんだってな?
でも、設定5・6ばっかツモって負けれるってのもある意味すごいヒキ強だけどな! ハッハッハッ!」
神経を逆なでされるようなセリフ。
この言葉に優司は、逆に勝負を受けてよかったとすら思い始めた。
「……勝負することは決まったんだからもういいんだろ?
俺は、もうここで帰らせてもらうよ」
「おお、そうだったな。
じゃあ、勝負の日とか場所とか伝えておくぜ。
お前と会った時のために、前々から決めておいたんだ」
「え? そ、そっちが決めるの……?」
「なんだ? なんか問題でもあんのか?」
「…………」
「それともお前は、自分で全部決めなきゃ勝てないようなヘボなのか?」
この真鍋のセリフにカチンときて、優司は語気を強めた。
「い、いい加減してくれよなッ!
なんなんだよさっきから!
やけにネチネチとした言い方ばっかりしてきやがってさ!
わかったよ、上等だよッ! 全部そっちが決めていいよ!」
冷静でいるつもりだったが、真鍋の言葉があまりにも侮辱的だったことに、ついに我慢できなくなってしまった。
「おお、今言ったよな? 俺が全部決めていいって」
「あ、ああ……」
「じゃあ決めさせてもらうぜ。
勝負の日はちょうど一週間後、ホールは『シルバー』だ。
あのホールで、夜10時の設定発表の時に、朝一掴んだ台が6なら勝ちっていうルール。
戦利品は30万。これで決まりな」
「えッ?」
ホール名を聞いて、優司は凍りついた。
(『シルバー』……? あそこって確か……)
「じゃあそういうことで。
当日の待ち合わせは『シルバー』の前でな。
当然『シルバー』の場所は知ってるよな? あのデカいホールを知らないとは言わせないぜ。
もちろん、朝は何時に並んでもOKだから。
そんじゃあな!
……ああ、一応言っとくけど、逃げたらただじゃおかねぇから。絶対来いよ」
そう言い残し、真鍋達は去っていった。
◇◇◇◇◇◇
一人になり、改めて勝負ホールとなった『シルバー』について思索する優司。
(間違いない。絶対そうだ……)
そう呟きながら、ポケットから例の各ホールの特徴をまとめた小さなスロノートを取り出し、パラパラとめくっていった。
そして、『シルバー』についての情報が書かれているページを読み返した。
(やっぱり……
クソッ! よりにもよってあんなホールで勝負なのかよ……)
優司のスロノートによると、『シルバー』とはここらへんのホールの中ではかなり読みづらい、設定読みには適さないホールだ。
設定の置き方がバラバラで、下手したらサイコロでも振って適当に決めてるんじゃないかと思えるほどの読みづらさなのだ。
(ヤバい……
あんなホールで、読みを利かせて確実に設定6を掴むなんてのは不可能だ……)
改めて、事の重大さを知った。
なにしろ、この勝負に負けたら30万を支払わなければならないのだ。
せっかくある程度余裕を持てたのに、この勝負に負ければまたもやギリギリの生活に戻されてしまう。
(マジかよ……
なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ……)
勝負を受けたことに、今更ながら激しく後悔する優司。
だが、ここにきてそんなことで落ち込んでいても何も始まらない。
(しょうがない。とりあえず、早く日高と会おう。さっきの真鍋の口ぶりから、日高なら何か知ってそうだし。
あの真鍋ってヤツがなんでこんなに俺との勝負にこだわるのか調べないと。
うまくいけば、日高が取り持ってくれてこの勝負をナシに出来るかもしれないし)
そう考えたと同時に、近くの公衆電話へと向かい、すぐに日高と連絡をとった。
◇◇◇◇◇◇
「よぉ! どうしたんだよ今日は?
やけに深刻な声してたよなぁ?」
待ち合わせ場所の居酒屋へ現れた日高。
いつもなら仲間と一緒に来る日高だが、今日は一人で来てくれ、と優司が頼んだため、一人で待ち合わせ場所へとやってきた。
「やぁ、久しぶり……でもないか。昨日も会ったもんね」
「ほんとだよ。
ってか、なんでいきなり一人で来てくれとか言い出したんだ? 何があったんだよ夏目」
「それなんだけどさ……。
まあ、とりあえず軽く飲んでからにしようよ」
そう言って、近くの店員を呼びとめ、生ビールを二つ注文した。
「よぉ、そろそろいいんじゃないか?
なんで今日は、俺と二人だけで飲もうと思ったんだ? 気になってしょうがねぇよ」
飲み始めて30分ほどしたところで、日高が切り出した。
「……ああ、それなんだけどさ」
少し間を置いた後、意を決して切り出した。
「あのさ、真鍋ってやつ知ってる?」
「えッ?」
名前を聞き、明らかに表情が変わる日高。
「真鍋ッ? 真鍋遼介のことか?」
「そう、その真鍋!
やっぱり知ってるんだ。日高の事、下の名前で呼んでたくらいだから絶対知ってるとは思ったけど」
「……で、あいつがどうしたんだ?」
「今日さ、その真鍋にスロ勝負を吹っかけられたんだ。『お前が光平に勝ったヤツだろ?』って感じで」
「あいつが……」
「ねぇ、真鍋とはどういう関係なの?
なんか恨まれるようなことでもしたの?」
「……遼介とは幼馴染なんだ。小・中学とずっと一緒だったからな」
「幼馴染……?
全然そんなふうには思えなかったよ?
なんか、憎しみ合ってるようにも見えたけど」
「まあ、今はそういう状態だな。
でも、最初から仲が悪かったわけじゃない。
つーか、つい最近まではよく一緒にツルんでたくらいだよ」
「…………」
「最近って言っても、1年くらい前までだけど……。
あんなことさえなければ、今も普通にツルんでたんだろうなぁ」
「あんなこと?」
「ああ。凄くくだらないことから始まったんだけどな」
そう言って、日高は真鍋と疎遠になってしまったきっかけについて話し出した。
しかし、一応ダメモトで断ってみることにした。
「いや、俺としてはあんまりやりたくないんだよね。
俺、ホームレスだし、もし負けたら生活ができなくなるし……」
表情を曇らせながら、しおらしくしてみたが、やはり真鍋には通用しなかった。
「お前さ、もうちょっと空気読めよな?
この状況で断れるとでも思ってんのか。
いい返事をするまでは、ここを動くことはできないと思った方がいいぜ」
予想通りの返答だった。
「……わかったよ。結局、勝負するしかないんだろ」
ややイラつき気味に答える優司。
「おお! やっと引き受けてくれたか!
いやあ、よかったよかった」
(何言ってんだ……。無理矢理じゃんよ。しらじらしい)
あからさまに不快そうな表情を浮かべてアピールしたが、真鍋は意に介さず話を続けた。
「でさ、勝負方式は、光平とやった『設定読み勝負』でいこうぜ?
やっぱ同じような勝負じゃないとな」
「ああ、わかったよ。
俺としては、出玉勝負だけは受けられないしね」
「おお、それも聞いたぜ。
えらくヒキが弱いんだってな?
でも、設定5・6ばっかツモって負けれるってのもある意味すごいヒキ強だけどな! ハッハッハッ!」
神経を逆なでされるようなセリフ。
この言葉に優司は、逆に勝負を受けてよかったとすら思い始めた。
「……勝負することは決まったんだからもういいんだろ?
俺は、もうここで帰らせてもらうよ」
「おお、そうだったな。
じゃあ、勝負の日とか場所とか伝えておくぜ。
お前と会った時のために、前々から決めておいたんだ」
「え? そ、そっちが決めるの……?」
「なんだ? なんか問題でもあんのか?」
「…………」
「それともお前は、自分で全部決めなきゃ勝てないようなヘボなのか?」
この真鍋のセリフにカチンときて、優司は語気を強めた。
「い、いい加減してくれよなッ!
なんなんだよさっきから!
やけにネチネチとした言い方ばっかりしてきやがってさ!
わかったよ、上等だよッ! 全部そっちが決めていいよ!」
冷静でいるつもりだったが、真鍋の言葉があまりにも侮辱的だったことに、ついに我慢できなくなってしまった。
「おお、今言ったよな? 俺が全部決めていいって」
「あ、ああ……」
「じゃあ決めさせてもらうぜ。
勝負の日はちょうど一週間後、ホールは『シルバー』だ。
あのホールで、夜10時の設定発表の時に、朝一掴んだ台が6なら勝ちっていうルール。
戦利品は30万。これで決まりな」
「えッ?」
ホール名を聞いて、優司は凍りついた。
(『シルバー』……? あそこって確か……)
「じゃあそういうことで。
当日の待ち合わせは『シルバー』の前でな。
当然『シルバー』の場所は知ってるよな? あのデカいホールを知らないとは言わせないぜ。
もちろん、朝は何時に並んでもOKだから。
そんじゃあな!
……ああ、一応言っとくけど、逃げたらただじゃおかねぇから。絶対来いよ」
そう言い残し、真鍋達は去っていった。
◇◇◇◇◇◇
一人になり、改めて勝負ホールとなった『シルバー』について思索する優司。
(間違いない。絶対そうだ……)
そう呟きながら、ポケットから例の各ホールの特徴をまとめた小さなスロノートを取り出し、パラパラとめくっていった。
そして、『シルバー』についての情報が書かれているページを読み返した。
(やっぱり……
クソッ! よりにもよってあんなホールで勝負なのかよ……)
優司のスロノートによると、『シルバー』とはここらへんのホールの中ではかなり読みづらい、設定読みには適さないホールだ。
設定の置き方がバラバラで、下手したらサイコロでも振って適当に決めてるんじゃないかと思えるほどの読みづらさなのだ。
(ヤバい……
あんなホールで、読みを利かせて確実に設定6を掴むなんてのは不可能だ……)
改めて、事の重大さを知った。
なにしろ、この勝負に負けたら30万を支払わなければならないのだ。
せっかくある程度余裕を持てたのに、この勝負に負ければまたもやギリギリの生活に戻されてしまう。
(マジかよ……
なんで俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ……)
勝負を受けたことに、今更ながら激しく後悔する優司。
だが、ここにきてそんなことで落ち込んでいても何も始まらない。
(しょうがない。とりあえず、早く日高と会おう。さっきの真鍋の口ぶりから、日高なら何か知ってそうだし。
あの真鍋ってヤツがなんでこんなに俺との勝負にこだわるのか調べないと。
うまくいけば、日高が取り持ってくれてこの勝負をナシに出来るかもしれないし)
そう考えたと同時に、近くの公衆電話へと向かい、すぐに日高と連絡をとった。
◇◇◇◇◇◇
「よぉ! どうしたんだよ今日は?
やけに深刻な声してたよなぁ?」
待ち合わせ場所の居酒屋へ現れた日高。
いつもなら仲間と一緒に来る日高だが、今日は一人で来てくれ、と優司が頼んだため、一人で待ち合わせ場所へとやってきた。
「やぁ、久しぶり……でもないか。昨日も会ったもんね」
「ほんとだよ。
ってか、なんでいきなり一人で来てくれとか言い出したんだ? 何があったんだよ夏目」
「それなんだけどさ……。
まあ、とりあえず軽く飲んでからにしようよ」
そう言って、近くの店員を呼びとめ、生ビールを二つ注文した。
「よぉ、そろそろいいんじゃないか?
なんで今日は、俺と二人だけで飲もうと思ったんだ? 気になってしょうがねぇよ」
飲み始めて30分ほどしたところで、日高が切り出した。
「……ああ、それなんだけどさ」
少し間を置いた後、意を決して切り出した。
「あのさ、真鍋ってやつ知ってる?」
「えッ?」
名前を聞き、明らかに表情が変わる日高。
「真鍋ッ? 真鍋遼介のことか?」
「そう、その真鍋!
やっぱり知ってるんだ。日高の事、下の名前で呼んでたくらいだから絶対知ってるとは思ったけど」
「……で、あいつがどうしたんだ?」
「今日さ、その真鍋にスロ勝負を吹っかけられたんだ。『お前が光平に勝ったヤツだろ?』って感じで」
「あいつが……」
「ねぇ、真鍋とはどういう関係なの?
なんか恨まれるようなことでもしたの?」
「……遼介とは幼馴染なんだ。小・中学とずっと一緒だったからな」
「幼馴染……?
全然そんなふうには思えなかったよ?
なんか、憎しみ合ってるようにも見えたけど」
「まあ、今はそういう状態だな。
でも、最初から仲が悪かったわけじゃない。
つーか、つい最近まではよく一緒にツルんでたくらいだよ」
「…………」
「最近って言っても、1年くらい前までだけど……。
あんなことさえなければ、今も普通にツルんでたんだろうなぁ」
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