ゴーストスロッター

クランキー

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【第3章】

■第49話 : 不穏なスタート

「無事に取れたよ!」

ゆっくりと『巨人の星』のシマへ歩いてきた日高に、小さくガッツポーズを決める優司。

それは、巨人の星の設定1濃厚台を無事に確保できたことを意味する。
優司の本命台だ。
負債額が多い方が勝ちという条件なので。

開店後、「アホらしい」と思いつつも狙い台に向かってダッシュしたのが報われた形になった。

巨人のシマは全部で10台。
優司が選択したのは、左ハジから3番目。

「やったな夏目!
 あとは、最低稼動条件の5000Gを回すだけだな」

「いや、設定1なら回せば回すほど負けられるんだから、閉店までぶん回すよ!
 勝負終了は夜の11時だ。5000Gってのはあくまで最低条件だからね」

「……だな。
 じゃあ、9000Gは回すつもりで頑張れよ!」

「OK! 9000くらいなら楽勝だよ!」

二人とも若干テンションが上がっている。

久しぶりの勝負。
いつもと違う変則的ルール。
そして、紆余曲折あったここまでの過程。

それらを経て、ようやく始まった勝負。
自然といつもとは違うテンションとなる。

そんな中、再びニヤケ面を引っ提げて八尾が現れた。

八尾も同じく巨人を選択。
抑えたのは右ハジから2番目の台だった。

「よぉ夏目、やっぱ巨人かよ。まあ、機械割考えりゃ当然だよな。
 それにしても――」

「悪いけどさ、もうそういう挑発には乗らないことにしたんだ。
 無駄だからさっさと自分の席座れよな。
 いい加減、面倒くさいって」

機先を制され、口ごもる八尾。

「……そうかよ。まあいいや。
 じゃあ、用件だけ伝えるよ。
 勝負は、今この瞬間からスタートな。
 日高には、ちゃんと俺のゲーム数とか投資額をカウントしておくように言っておけよ。
 こっちは、信次をお前の後ろに張り付かせるから」

「わかった。
 でも、あんまり露骨に張り付かせないでくれよな。
 気になるから」

信次に一瞥し、吐き捨て気味に言い放つ優司。

八尾は、ふん、と鼻を鳴らした後、自分が確保した台の方へと戻っていった。
日高が、黙って八尾の後を追う。ゲーム数や投資額のカウントをするためだ。

(よし、これで舞台は整った。あとは、この巨人でサクサク投資すりゃいいだけだ。
 ……こんなに自分のヒキの弱さを頼もしく感じるのは初めてだな)

複雑な気持ちを抱えながら、ついに勝負が始まった。



◇◇◇◇◇◇



投資1000円、稼動スタートから約2分。
頭上のゲーム数カウンターが示す数値は「28」。

そして、リール上には一直線に並ぶ「7・7・7」。

なんと意外にも、優司はたったの1000円でビッグボーナスをゲットしてしまった。
これには自分でも呆れるばかり。

もちろん優司に抜かりはない。
設定1濃厚で、かつ前日128Gヤメされている台を選択したのだ。
巨人の場合、設定変更されてもゲーム数のリセットはないため、負けるための台選びならば完璧である。

(マジかよ……
 こんな時に限って1本で当たっちゃうなんて……
 でも、こればっかりはしょうがないか)

気を取り直してBIGを消化。
ナビ通り打ち、395枚のコインを得る。
初代巨人の星のBIGは、ナビ通り打てば毎回395枚を獲得できる。

そしてBIG終了直後……。

(……え? い、今『ピキーン』って鳴った……よな?)

今回の勝負においてはとてもありがたくない存在である、BIG終了後の『ピキーン』。
これは、速攻連チャンが確定する演出。

渋々プレイを再開し、10Gほど消化したところで再びボーナス。
そしてまたもやBIG……。

(いい加減にしてくれよ…………なんなんだよこの展開…………) 

だが、優司の悲劇はまだ始まったばかりであった。
感想 6

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