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外伝 イズミルと後宮の隠し部屋
見つかった隠し部屋 ②
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後宮の地下で、隠し部屋が見つかったとグレアムから聞かされたイズミル。
聞けばその隠し部屋には封印術が施されているという。
そして解呪、解印、浄化のスペシャリストであるイズミルに、一度その封印を見て貰いたいと側近達が言っているらしいのだ。
「勿論ですわ。わたくしでお役にたてるなら、喜んで協力させて頂きます」
「うむ……」
しかしイズミルのその言葉に、グレアムはあまり良い顔をしなかった。
「グレアム様?」
ソファーに座り、腕組みをして眉間にシワを寄せるグレアムにイズミルは尋ねた。
「どうかなさいましたか?」
「いや……キミがこの手の事をアルメラス=グレガリオの下で懸命に学び、誰よりもその分野に長けているのは知っているつもりだ。だがしかし、俺は別の者に任せようと思っている」
「え、何故ですか?」
「……危険を伴わないと言い切れん。キミにもしもの事があったらどうするんだ」
「ですが、他に誰か当てがあるのですか?」
「俺がこじ開ける」
「陛下」
「……すまん、冗談だ。封印を舐めているわけではないのだ」
確かにグレアムの桁外れの魔力量なら無理やりこじ開け、危険なものがあれば即吹き飛ばす事は簡単だろう。
しかし封印魔術とはそんな単純なものではない。
きちんと調べた上で対処せねば何が起こるか分からないのだ。
それを分かった上でグレアムが渋るその理由。
イズミルはなんだか擽ったくなった。
イズミルはグレアムに提案した。
「他の者に任せようとお考えなら、師匠にご相談されては如何でしょう?」
「グレガリオに?」
「はい。師匠の教え子の中にはわたくしよりも優秀な者がいるはずですわ。その方を紹介して貰いましょう」
「なるほど、それは名案だな。……安心したよ」
「?何がでしょう」
「キミが自分が出張ると言い出さなくて」
「ふふふ。グレアム様がお嫌な事は致しませんわ」
「そうしてくれ。これからも我が身一番で考えて欲しい。キミは俺の大切な唯一の妃なのだから」
そう言ってグレアムは隣に座るイズミルの手にそっと自身の手を重ねた。
「グレアム様……」
そしてその手を重ねたまま、互いの唇も重なった。
そしてグレアムはすぐに王立ハイラント大学の名誉教授、アルメラス=グレガリオに協力を要請した。
グレガリオからの返書には、
『委細承知』とだけ書かれていた。
あとはグレガリオ推薦の者が到着するのを待つだけだと思っていたら……
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ♪呼ばれて飛び出でて来ちゃったよーん♪」
グレガリオ本人が飄々と王宮へとやって来た。
「……師匠。何も自らいらっしゃらなくとも……」
イズミルが高齢の恩師にもの憂げに言う。
「だって~。後宮の地下の隠し部屋なんて、怨念やら呪いやら面白そうなモノがわんさか出て来そうじゃろ?もしかしたら儂の愛するダンテルマ様の隠し部屋かもしれんしの。研究者としてはじっとはしておられんわい」
「そうでした。師匠はそういうお方でしたわね」
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ♪」
そう言いながらもグレガリオは他にも数名の助手を連れて来ていたので、きっと大丈夫だろう。
そして善は急げと、グレガリオはさっそく封印の解術に取り掛かった。
解術にはグレアムも立ち会うと言っていたが……
後になって思えば、あの時イズミルは虫の知らせというか何か胸騒ぎを感じていたのだ。
それがまさか的中してこのような事態になるなど……。
解術を終え、グレアムはそのまま隠し部屋の調査にも立ち会った。
そして事が起こり、
変わり果てた姿でイズミルの元へと戻ったグレアムを見て、イズミルは絶句したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
口から砂糖が出そうなイズミルとグレアム。
でもちょっとしばらくはお預けかな?
聞けばその隠し部屋には封印術が施されているという。
そして解呪、解印、浄化のスペシャリストであるイズミルに、一度その封印を見て貰いたいと側近達が言っているらしいのだ。
「勿論ですわ。わたくしでお役にたてるなら、喜んで協力させて頂きます」
「うむ……」
しかしイズミルのその言葉に、グレアムはあまり良い顔をしなかった。
「グレアム様?」
ソファーに座り、腕組みをして眉間にシワを寄せるグレアムにイズミルは尋ねた。
「どうかなさいましたか?」
「いや……キミがこの手の事をアルメラス=グレガリオの下で懸命に学び、誰よりもその分野に長けているのは知っているつもりだ。だがしかし、俺は別の者に任せようと思っている」
「え、何故ですか?」
「……危険を伴わないと言い切れん。キミにもしもの事があったらどうするんだ」
「ですが、他に誰か当てがあるのですか?」
「俺がこじ開ける」
「陛下」
「……すまん、冗談だ。封印を舐めているわけではないのだ」
確かにグレアムの桁外れの魔力量なら無理やりこじ開け、危険なものがあれば即吹き飛ばす事は簡単だろう。
しかし封印魔術とはそんな単純なものではない。
きちんと調べた上で対処せねば何が起こるか分からないのだ。
それを分かった上でグレアムが渋るその理由。
イズミルはなんだか擽ったくなった。
イズミルはグレアムに提案した。
「他の者に任せようとお考えなら、師匠にご相談されては如何でしょう?」
「グレガリオに?」
「はい。師匠の教え子の中にはわたくしよりも優秀な者がいるはずですわ。その方を紹介して貰いましょう」
「なるほど、それは名案だな。……安心したよ」
「?何がでしょう」
「キミが自分が出張ると言い出さなくて」
「ふふふ。グレアム様がお嫌な事は致しませんわ」
「そうしてくれ。これからも我が身一番で考えて欲しい。キミは俺の大切な唯一の妃なのだから」
そう言ってグレアムは隣に座るイズミルの手にそっと自身の手を重ねた。
「グレアム様……」
そしてその手を重ねたまま、互いの唇も重なった。
そしてグレアムはすぐに王立ハイラント大学の名誉教授、アルメラス=グレガリオに協力を要請した。
グレガリオからの返書には、
『委細承知』とだけ書かれていた。
あとはグレガリオ推薦の者が到着するのを待つだけだと思っていたら……
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ♪呼ばれて飛び出でて来ちゃったよーん♪」
グレガリオ本人が飄々と王宮へとやって来た。
「……師匠。何も自らいらっしゃらなくとも……」
イズミルが高齢の恩師にもの憂げに言う。
「だって~。後宮の地下の隠し部屋なんて、怨念やら呪いやら面白そうなモノがわんさか出て来そうじゃろ?もしかしたら儂の愛するダンテルマ様の隠し部屋かもしれんしの。研究者としてはじっとはしておられんわい」
「そうでした。師匠はそういうお方でしたわね」
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ♪」
そう言いながらもグレガリオは他にも数名の助手を連れて来ていたので、きっと大丈夫だろう。
そして善は急げと、グレガリオはさっそく封印の解術に取り掛かった。
解術にはグレアムも立ち会うと言っていたが……
後になって思えば、あの時イズミルは虫の知らせというか何か胸騒ぎを感じていたのだ。
それがまさか的中してこのような事態になるなど……。
解術を終え、グレアムはそのまま隠し部屋の調査にも立ち会った。
そして事が起こり、
変わり果てた姿でイズミルの元へと戻ったグレアムを見て、イズミルは絶句したのであった。
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口から砂糖が出そうなイズミルとグレアム。
でもちょっとしばらくはお預けかな?
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