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外伝 イズミルと後宮の隠し部屋
グレアム君は甘えん坊
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「まぁまぁまぁ!グレアム……なんと懐かしい姿に戻って……」
狂妃ダンテルマの呪いによりグレアムが子どもの姿に変えられたと知らせを受け、急いで駆けつけた太王太后リザベル。
そしてそのグレアムの姿を見て開口一番発した言葉がこれだった。
チビグレアムが祖母の顔をきょとんと見ながら言う。
「おばぁ様は……かなり老けられましたね、いえ、あまりお変わりがない?」
「オホホホ、このおクソガキ感、間違いなくかつてのグレアムだわ♪」
そう言いながらリザベルはチビグレアムの頬をつねった。
「い、いひゃいおはぁはみゃ!」
(痛いおばぁ様)
「まぁ~この頬の感触も久しぶりだわ~」
母親代わりとしてグレアムを育てあげた祖母のリザベル。
グレアム八歳当時から二十年の時を隔てての対面なのだから、リザベルがいきなり老けて見えるのも仕方ないとして、変わりないと言うとは……。
ーー子どもの時のグレアム様は裏表のないお子様だったのね。
イズミルは興味深そうに見つめている。
イズミルがグレアムに初めて会った時、彼は既に十七歳で完璧な貴公子然としていた。
なのでそんなグレアムがとても新鮮な感じがするのだ。
女性不審を拗らせてからは少し残念な方に変わった……とは、リザベルが前に言っていたが。
呪いを掛けられて子どもの姿に戻った事やこれまで過ごして来た年月の事を、チビグレアムはランスロットから全て聞かされたという。
幼い頃からグレアムを知るランスロットが八歳当時のグレアムの事を思い出して、おそらく簡潔にであれば状況は理解出来るだろうと判断して話したらしい。
……さすがに後宮で起きたあの事件の事は話していないそうだが。
「……父上が既に身罷られ、俺は王太子ではなく国王に……そして本当の俺は二十八歳……不思議な気分だ……」
チビグレアムがソファーに座り、クッキーを食べながら言った。
イズミルも側に座り、労わるようにグレアムに声を掛ける。
「俄には信じ難いお話ですわよね……大丈夫ですか?グレアム様……」
チビグレアムはクッキーを咀嚼しながらじっ…とイズミルの方を見た。
「?」
イズミルは何も言わず自分の顔を見るチビグレアムを不思議に思いながらも、口の周りに付いているクッキーの欠片をハンカチで取ってあげた。
素直に口元を拭かれながらチビグレアムが言う。
「……そなたは……本当に俺の妃なのか?」
「ええ。正真正銘、わたくしは貴方の妻ですわ」
「そ、そうか……」
グレアムは頬を染めて俯いた。
「グレアム様?」
そして少し言い辛そうにモジモジとしながら尋ねてきた。
「俺たちは……政略結婚であろう?それでも俺たちは仲良くしていたか?」
「そうですわね、仲良し夫婦だと思いますわ」
八年間も非接触だったなんて、とても言えない。
「そうか!じゃあ遠慮は要らないな!」
「遠慮?何の遠慮でしょうか?」
「これだ!」
「えっ?」
グレアムはいきなり、イズミルの膝に頭を乗せてきた。
所謂“膝まくら”というものである。
「おばぁ様によくして貰うんだ。でもおばぁ様が自分以外にはしてはいけないと、将来婚約者か妃になった人でないとしてはいけないと言われたんだ」
「なるほど……確かに無闇やたらに人にして貰うものではありませんわね」
「であろう?でもイズミルが俺の妃なら、そなたにはして貰っても良いという事だ!」
「ふふ。確かにそうですわね」
「頭を撫でてくれ」
「はい。グレアム様」
イズミルはグレアム君の言う通りに髪を梳いたりしながら優しく頭を撫でてやった。
チビグレアムはとてもご満悦のようだ。
ーーふふ。お可愛らしい。
そういえばリザベルが言っていた事がある。
子どもの頃のグレアムは実はとても甘えただったと。
早くに母親と引き離され、王太子として厳しく教育された反動であったのだろうと話していた。
イズミルは嬉しそうに甘えるグレアムが愛おしいと思った。
ーー大人のグレアム様もこんな風に甘えて下さったらいいのに。
でも今はせめて、チビグレアムを思う存分甘やかせてあげたいと思うイズミルであった。
その日の午後、グレガリオがイズミルとチビグレアムが過ごす居室へとやって来てこう告げた。
「解呪の方法、いくつか試してみたい術がありますのじゃ」
早くも解呪され、グレアムは元に戻る事ができるのだろうか……?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日はちと短くてごめんなさい。゚(゚´ω`゚)゚。
いつも応援ありがとうございます!
本当に感謝しても感謝してもしきれませぬ……!
(//∇//)♡
狂妃ダンテルマの呪いによりグレアムが子どもの姿に変えられたと知らせを受け、急いで駆けつけた太王太后リザベル。
そしてそのグレアムの姿を見て開口一番発した言葉がこれだった。
チビグレアムが祖母の顔をきょとんと見ながら言う。
「おばぁ様は……かなり老けられましたね、いえ、あまりお変わりがない?」
「オホホホ、このおクソガキ感、間違いなくかつてのグレアムだわ♪」
そう言いながらリザベルはチビグレアムの頬をつねった。
「い、いひゃいおはぁはみゃ!」
(痛いおばぁ様)
「まぁ~この頬の感触も久しぶりだわ~」
母親代わりとしてグレアムを育てあげた祖母のリザベル。
グレアム八歳当時から二十年の時を隔てての対面なのだから、リザベルがいきなり老けて見えるのも仕方ないとして、変わりないと言うとは……。
ーー子どもの時のグレアム様は裏表のないお子様だったのね。
イズミルは興味深そうに見つめている。
イズミルがグレアムに初めて会った時、彼は既に十七歳で完璧な貴公子然としていた。
なのでそんなグレアムがとても新鮮な感じがするのだ。
女性不審を拗らせてからは少し残念な方に変わった……とは、リザベルが前に言っていたが。
呪いを掛けられて子どもの姿に戻った事やこれまで過ごして来た年月の事を、チビグレアムはランスロットから全て聞かされたという。
幼い頃からグレアムを知るランスロットが八歳当時のグレアムの事を思い出して、おそらく簡潔にであれば状況は理解出来るだろうと判断して話したらしい。
……さすがに後宮で起きたあの事件の事は話していないそうだが。
「……父上が既に身罷られ、俺は王太子ではなく国王に……そして本当の俺は二十八歳……不思議な気分だ……」
チビグレアムがソファーに座り、クッキーを食べながら言った。
イズミルも側に座り、労わるようにグレアムに声を掛ける。
「俄には信じ難いお話ですわよね……大丈夫ですか?グレアム様……」
チビグレアムはクッキーを咀嚼しながらじっ…とイズミルの方を見た。
「?」
イズミルは何も言わず自分の顔を見るチビグレアムを不思議に思いながらも、口の周りに付いているクッキーの欠片をハンカチで取ってあげた。
素直に口元を拭かれながらチビグレアムが言う。
「……そなたは……本当に俺の妃なのか?」
「ええ。正真正銘、わたくしは貴方の妻ですわ」
「そ、そうか……」
グレアムは頬を染めて俯いた。
「グレアム様?」
そして少し言い辛そうにモジモジとしながら尋ねてきた。
「俺たちは……政略結婚であろう?それでも俺たちは仲良くしていたか?」
「そうですわね、仲良し夫婦だと思いますわ」
八年間も非接触だったなんて、とても言えない。
「そうか!じゃあ遠慮は要らないな!」
「遠慮?何の遠慮でしょうか?」
「これだ!」
「えっ?」
グレアムはいきなり、イズミルの膝に頭を乗せてきた。
所謂“膝まくら”というものである。
「おばぁ様によくして貰うんだ。でもおばぁ様が自分以外にはしてはいけないと、将来婚約者か妃になった人でないとしてはいけないと言われたんだ」
「なるほど……確かに無闇やたらに人にして貰うものではありませんわね」
「であろう?でもイズミルが俺の妃なら、そなたにはして貰っても良いという事だ!」
「ふふ。確かにそうですわね」
「頭を撫でてくれ」
「はい。グレアム様」
イズミルはグレアム君の言う通りに髪を梳いたりしながら優しく頭を撫でてやった。
チビグレアムはとてもご満悦のようだ。
ーーふふ。お可愛らしい。
そういえばリザベルが言っていた事がある。
子どもの頃のグレアムは実はとても甘えただったと。
早くに母親と引き離され、王太子として厳しく教育された反動であったのだろうと話していた。
イズミルは嬉しそうに甘えるグレアムが愛おしいと思った。
ーー大人のグレアム様もこんな風に甘えて下さったらいいのに。
でも今はせめて、チビグレアムを思う存分甘やかせてあげたいと思うイズミルであった。
その日の午後、グレガリオがイズミルとチビグレアムが過ごす居室へとやって来てこう告げた。
「解呪の方法、いくつか試してみたい術がありますのじゃ」
早くも解呪され、グレアムは元に戻る事ができるのだろうか……?
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今日はちと短くてごめんなさい。゚(゚´ω`゚)゚。
いつも応援ありがとうございます!
本当に感謝しても感謝してもしきれませぬ……!
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