77 / 83
外伝 イズミルと後宮の隠し部屋
彼女は意外と……
しおりを挟む
「なぁに?また来たの?」
「だってご本人に直接お訊きするのが一番いいと思いますもの」
「貴女ねぇ、これは一応勝負なのよ?」
「でも折角ご本人と接する事が出来るのに、それを使わない手はありませんわよね?」
「……それもそうねぇ。え?そうなるのかしら?」
「ふふふ」
このところ、イズミルは度々隠し部屋に居るダンテルマの元へと足繁く通っていた。
正確に言うなれば、
ダンテルマの残された魂の一部に会いに行っている……だが。
最後であり最悪であると本人が言っている呪詛の在りかを紐解く為の手段として、イズミルはかつてダンテルマが書いた私信を調べている。
その中で分からない事がある度に、こうやって直接本人に訊きに来ているのであった。
「という訳で「どういう訳よ」また質問にお答えくださいませ」
途中で横槍がはいったが気にせずそう告げ、
イズミルはグレガリオ所蔵のダンテルマ直筆の手紙を開いた。
「この、『貴方の最愛の二人の恋人、孤高の騎士も深窓の令嬢も…』とありますが、この意味がよく分からなくて……恋人は騎士と令嬢のどちらかなのでしょう?二人、というのは?」
イズミルのその問いかけに、ダンテルマは端的に答える。
「ああ、それはその手紙を宛てた人物が両刀使いだからよ」
「両刀使い……?」
訊き慣れぬ言葉にイズミルは首を傾げた。
「異性も同性も両方愛せるって事♡」
「あ!なるほど!合点がいきましたわ」
謎が解けてスッキリした顔をするイズミルが持つ手紙を見ながらダンテルマは言った。
「それにしてもよくそんな物が残っているわね。まさか数百年後に私が書いた手紙がこんなにも多く残っているなんて驚きよ」
「わたくしの恩師アルメラス=グレガリオがダンテルマ様の大ファンなのです。師匠は貴女の手紙や私物とされている物のコレクターでもあるのですわ」
ーー師匠、ちゃんとアピールしておきましたわよ。
と、イズミルは心の中でひとり言ちた。
「へぇ。狂妃と言われ、最悪な逸話ばかりの私のファンなんて、かなり変わっているのねぇ」
「師匠はいつも、ダンテルマ様はチャーミングだと言っておられますわ」
「ふぅん」
ダンテルマは愛人達以外にこうやって、好意を寄せられる事が少なかったのだろうか、満更でもなさそうに少し照れた様子で顔を背けた。
ーーやっぱり。意外と素直な方なのよね。
イズミルはダンテルマと接するようになってそんな彼女の一面を見るようになっていた。
実際、彼女は質問した事に全て答えてくれる。
意地悪をしたり、嘘の答えを言ったりズルをする様子もない。
かつて規範の書の一部を取り出す為にイズミルが開けたユニコーンの封印箱は愛人の一人である魔術師が教えてくれたのだとか、
大金を渡して、異国までその封印箱を買いに行って貰ったのだとか、王室規範に仕掛けた様々な呪詛もその魔術師に教わりながら施術した事などを色々と語って聞かせてくれた。
もともと魔力量の多かったダンテルマ。
必要な知識さえ教えて貰えば直ぐにそれを自分で施行出来たらしい。
ーーでもそれって、口で言うほど簡単な事ではないと思うわ。
魔力を高め、整え、術式を正しく理解して唱える。
どの呪詛や封印術も、薬物を濫用するような人間に扱えるような簡単なものではない。
その考えが頭に浮かんだ時に、
イズミルはある答えに辿り着いたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつもイズミルとグレアムのお話にお付き合い頂きありがとうございます。
作者の近況報告の方でもお伝えしましたが、
エントリーしていた恋愛小説大賞を辞退する事になりました。
只今、別作品でアルファポリスさんと書籍化のお話を進めさせて頂いております。
そういった、現在書籍化作業を抱えた投稿者はエントリー出来ない決まりになっているそうです。
ましゅろう、痛恨の確認ミスでございました。
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
エントリーする前に担当編集者さんにきちんと確認しておくべきでした……。
このお話に清き一票を投じて下さった皆さま……このような事態となり、本当に申し訳ありません。
。゚(゚´ω`゚)゚。
恋愛小説大賞エントリーは取り下げましたが、
イズミルのお話は完結に向けて続きます。
も~ましゅろうのオタンコナスぅ~と謗って頂きながら、引き続きお読みいただけますと幸いです!
完結まであと少し。
何卒よろしくお願い申し上げます!
本当にご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。゚(゚´Д`゚)゚。
「だってご本人に直接お訊きするのが一番いいと思いますもの」
「貴女ねぇ、これは一応勝負なのよ?」
「でも折角ご本人と接する事が出来るのに、それを使わない手はありませんわよね?」
「……それもそうねぇ。え?そうなるのかしら?」
「ふふふ」
このところ、イズミルは度々隠し部屋に居るダンテルマの元へと足繁く通っていた。
正確に言うなれば、
ダンテルマの残された魂の一部に会いに行っている……だが。
最後であり最悪であると本人が言っている呪詛の在りかを紐解く為の手段として、イズミルはかつてダンテルマが書いた私信を調べている。
その中で分からない事がある度に、こうやって直接本人に訊きに来ているのであった。
「という訳で「どういう訳よ」また質問にお答えくださいませ」
途中で横槍がはいったが気にせずそう告げ、
イズミルはグレガリオ所蔵のダンテルマ直筆の手紙を開いた。
「この、『貴方の最愛の二人の恋人、孤高の騎士も深窓の令嬢も…』とありますが、この意味がよく分からなくて……恋人は騎士と令嬢のどちらかなのでしょう?二人、というのは?」
イズミルのその問いかけに、ダンテルマは端的に答える。
「ああ、それはその手紙を宛てた人物が両刀使いだからよ」
「両刀使い……?」
訊き慣れぬ言葉にイズミルは首を傾げた。
「異性も同性も両方愛せるって事♡」
「あ!なるほど!合点がいきましたわ」
謎が解けてスッキリした顔をするイズミルが持つ手紙を見ながらダンテルマは言った。
「それにしてもよくそんな物が残っているわね。まさか数百年後に私が書いた手紙がこんなにも多く残っているなんて驚きよ」
「わたくしの恩師アルメラス=グレガリオがダンテルマ様の大ファンなのです。師匠は貴女の手紙や私物とされている物のコレクターでもあるのですわ」
ーー師匠、ちゃんとアピールしておきましたわよ。
と、イズミルは心の中でひとり言ちた。
「へぇ。狂妃と言われ、最悪な逸話ばかりの私のファンなんて、かなり変わっているのねぇ」
「師匠はいつも、ダンテルマ様はチャーミングだと言っておられますわ」
「ふぅん」
ダンテルマは愛人達以外にこうやって、好意を寄せられる事が少なかったのだろうか、満更でもなさそうに少し照れた様子で顔を背けた。
ーーやっぱり。意外と素直な方なのよね。
イズミルはダンテルマと接するようになってそんな彼女の一面を見るようになっていた。
実際、彼女は質問した事に全て答えてくれる。
意地悪をしたり、嘘の答えを言ったりズルをする様子もない。
かつて規範の書の一部を取り出す為にイズミルが開けたユニコーンの封印箱は愛人の一人である魔術師が教えてくれたのだとか、
大金を渡して、異国までその封印箱を買いに行って貰ったのだとか、王室規範に仕掛けた様々な呪詛もその魔術師に教わりながら施術した事などを色々と語って聞かせてくれた。
もともと魔力量の多かったダンテルマ。
必要な知識さえ教えて貰えば直ぐにそれを自分で施行出来たらしい。
ーーでもそれって、口で言うほど簡単な事ではないと思うわ。
魔力を高め、整え、術式を正しく理解して唱える。
どの呪詛や封印術も、薬物を濫用するような人間に扱えるような簡単なものではない。
その考えが頭に浮かんだ時に、
イズミルはある答えに辿り着いたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつもイズミルとグレアムのお話にお付き合い頂きありがとうございます。
作者の近況報告の方でもお伝えしましたが、
エントリーしていた恋愛小説大賞を辞退する事になりました。
只今、別作品でアルファポリスさんと書籍化のお話を進めさせて頂いております。
そういった、現在書籍化作業を抱えた投稿者はエントリー出来ない決まりになっているそうです。
ましゅろう、痛恨の確認ミスでございました。
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
エントリーする前に担当編集者さんにきちんと確認しておくべきでした……。
このお話に清き一票を投じて下さった皆さま……このような事態となり、本当に申し訳ありません。
。゚(゚´ω`゚)゚。
恋愛小説大賞エントリーは取り下げましたが、
イズミルのお話は完結に向けて続きます。
も~ましゅろうのオタンコナスぅ~と謗って頂きながら、引き続きお読みいただけますと幸いです!
完結まであと少し。
何卒よろしくお願い申し上げます!
本当にご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。゚(゚´Д`゚)゚。
102
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。
アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。
今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。
私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。
これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる