【完結】王配に選ばれなかった男の妻となった私のお話

キムラましゅろう

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プロローグ 波乱の幕開け?

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ハリエット(21)とルキウス(18)の婚姻は、思えば初顔合わせの時から波乱に満ちていた。

ハリエットは母方の伯父と。そしてルキウスは入婿であったという東方人ハーフの祖父が立ち会い人となり、二人は婚約式のために対面した。
その際に、挨拶も早々にルキウスが言った発言で、大荒れに荒れたのだ。

「すまない。正直に打ち明けるが、僕はまだ気持ちの切り替えが出来ていないんだ。貴族としてこの世に生を受けた責務は理解しているつもりだ。
だけど……僕は幼い頃から王配候補として生きて、つい最近その慣れ親しんだ世界から放り出されたばかりなんだ。今は混乱の真っ只中で、全てを忘れて新しい人生を歩む覚悟ができるようになるまでかなりの時間を要するかもしれない……だから婚姻はしばらく待って欲しいんだ」

一番にそう告げられ、ハリエットは逆にした。
今回の初顔合わせは、両家の縁談が既に成立した上でのもの。
婚約承諾書に署名をする婚約式であるこの場で、この期に及んでそのような事を宣うのだから当然である。

「ルキウスお前っ……!まだそのような女々しい世迷言を申すのか!」
という彼の祖父が眦をつり上げてがなり立てる声を聞きながら、ハリエットは努めて冷静にルキウスに問うた。

「……端的にお尋ねいたします。“しばらく”とはどのくらいの期間なのでしょうか?」

「わからない。長いかもしれないし短いかもしれない。それほど僕の心は今はまだ、激浪の海の中にあるn……「えぇーい!でぇーいっ!!」

ルキウスの世迷言は、彼の祖父のルーツである東方の国にて最上級の怒りの表現である“秘技・ちゃぶ台返し”により遮られた。
もっとも返されたのはちゃぶ台ではなくハリエットの屋敷のローテーブルであるが。
先に挨拶と署名を行うために、まだお茶が出されていない状況であったのが不幸中の幸いともいえよう。

その後は、
「お祖父じい様っ、な、なんということをっ!」
と狼狽えるルキウスや
「やかましいっ!!いつまでもウジウジウジウジとっ!貴様それでも男かっ!!」
と怒髪天を衝くルキウスの祖父の怒号と、
「いやはや困りましたなぁ。これは一体どういうことですかな?」
と問い質す伯父の冷ややかな声と、
ひっくり返されたテーブルと散乱した書類を戻そうと慌てる家令や従者やメイドたちとで大騒ぎとなり、婚約式どころではなくなった。

それでも不思議と纏まるものは纏まるもので、初対面は散々であったにも関わらず、ハリエットとルキウスの縁談は纏まった。

そしてあれよあれよと挙式となり、あれよあれよと初夜を迎えたのであった。





◇───────────────────◇


連載ハジマリマシタ。

著者近況でもご報告したように、
今作は長く虚無っていた作者のリハビリ作品となるため、ゆっくりまったり更新(書けた分だけを投稿するスタイル)いたします。

そしてそしてごめんなさい、視力低下のために今回は第一話目と最終話のみ感想欄を解放させていただきます。
.˚‧º·(´ฅдฅ`)‧º·˚.ゴベンヨ~!

それでもこのお話をお楽しみいただけましたら幸いです。

どうぞよろしくお願いします((*_ _)ペコリ


明日の朝も更新ありますぞ~
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