7 / 7
エピローグ リリーは結果オーライだと思った
しおりを挟む
グレインに言いたい事を言って
さっさと逃げたリリー。
『思い立ったら吉日』を座右の銘にしている彼女は、婚約解消手続き諸々の書類を持ってその足で役所へと向かった。
辻馬車を降りて役所を見上げるリリー。
書類を提出したらもう本当に全てが終わる。
互いの幸せの為だとわかっているのにどうしても足が前に動かない。
〈しっかりしなさいリリー!嫌でもなんでもやらなきゃいけない事なのよっ〉
太ももをパァンッと叩いて叱咤する。
〈逃げちゃダメよ逃げちゃダメよ……!〉
リリーは自分を奮い立たせて歩き出した。
なんとか足は前に進んだものの、しかしどうにも思うように動かない。
深層心理がここまで身体に影響を及ぼすとは……などと、妙な発見に思考を取られながらも引きずるように足を動かし続けた。
傍から見ればかなり怪しい人間である。
〈くっ……やっぱりヘイワード様を待てば良かった……!〉
と、今更してもしょうがない後悔をしていたその時、馬の嘶きがすぐ側で聞こえた。
驚いて前方を見ると、騎乗したヘイワードがそこに居た。
「リリー……!」
「ヘ、ヘイワード様っ!?」
丁度今考えいた人物が、白馬の王子様ならぬ白馬に乗ったヘイワードとして突然現れた。
リリーは驚き過ぎて思わず腰を抜かしそうになったが、そんなリリーをヘイワードは慌てて下馬して支える。
「良かった……なんとか間に合ったようだ」
「ど、どうしてここにヘイワード様がっ?」
「実は今日、王宮へ行っていたんだ。それで色々と話を聞いていて……そしたら血相を変えたグレインが戻って来た……慌ててホテルに戻ったら書類と共にリリーが居なくなっていたから焦ったよっ……でも行き先はここしかないと思ってホテルで馬を借りて追いかけて来たんだっ……」
普段落ち着いて物事を口にするヘイワードらしからぬ要領を得ない話し方に、リリーは別の意味で驚いていた。
〈ヘイワード様がこんな調子になるなんてよっぽどの事だわ、何かあったのかしら……〉
そのよっぽどの張本人がヘイワードに向かって言った。
「大丈夫ですかヘイワード様……とりあえず落ち着いて下さい」
「落ち着くのは後だ、今すぐ王宮に向かうよっ」
そう言ってヘイワードはリリーを抱き上げ馬に乗せた。そして自身もひらりと後ろに騎乗する。
「お、王宮っ!?なぜ王宮にっ?なぜわたしがっ?」
「話は後、喋ってると舌を噛むから気をつけてっ」
ヘイワードはそのまま馬で駆け出した。
頭の中が「???」でいっぱいのリリーを他所に
ヘイワードはどんどん馬を走らせる。
やがてあっという間に王宮に着き、ヘイワードに子どもの手を引かれる様なエスコートをされながら王宮内を進んで行った。
侍従であろう男がヘイワードとリリーを確認すると
「どうぞこちらです!王太子殿下が執務室でお待ちですっ」
と言ってリリー達を導いた。
〈王太子殿下っ!?執務室っ!?〉
二つのワードに目を見張るリリーを連れて、ヘイワードはこれまたどんどん進んで行った。
大きくて立派な扉の前に立つ。
リリーが思わず〈チークかマホガニー製かしら?〉と考えてしまうほど良い風合いの扉をヘイワードがノックをする。
ノックと同時に扉が開かれた。
そしてヘイワードと共に入室しようとしたリリーの目に、とんでもないものが飛び込んで来た。
「…………………え゛?」
総勢10名以上の男たちがリリーの前で土下座していたのである。
土下座集団の先頭にはグレインと、王族特有の肩章が付いた服装から見て、どうやら王太子と思われる人物が並んでいた。
「………………ちょ、えっ、まっ……!?」
リリーは目の前の光景に絶句した。
一体何が起きているというのか。
何故この男たちはこんな東方の国の儀礼を行っているのか。
リリーは若干、いや大いに引いていた。
やがてヘイワードがコホンと咳払いをして口を開く。
「……殿下、どうかお顔をお上げ下さい。皆さんも」
ヘイワードの口から出た「殿下」という言葉に
〈やっぱり!?〉と、リリーはさらにドン引きする。
しかしグレインも王太子一同も前頭葉を擦り減らす勢いで平伏したまま顔を上げようとはしない。
一番に口火を切ったのはグレインだった。
「っリリーっ!!悪かった!!全て誤解なんだっ!!でも誤解を与える行動をした俺が全て悪いっ!!本当にっ……本当にゴメンっ!!!」
グレインのその言葉を引き継ぐように隣の王太子シルヴァンが言った。
「いやっ、全ての責任はこの一連の捜査を指揮した私にあるっ……!犯人検挙を優先し過ぎて、最も効率の良い選択を取ってしまったっ、悪いのは全て私だっ……!」
シルヴァンのその言葉を皮切りに他の側近や騎士たちが口々に、
「いや、最初にこの策を提案した私に責任がっ……!」とか
「遠方ならバレないからいいだろうとタカを括っていた俺がっ」とか
「ウチの嫁が怖すぎてビビった俺が悪かったんだっ」とか
「第二王子側の動向しか気を配らなかった私がっ」などと言い出した。
大の大人の男たちにひれ伏されて、リリーはなんと言って良いのか全くわからない。
わからないが、まずひと言、言うなれば……
「あの……何を以って土下座され、そんなに謝られているのかサッパリわからないのですが……?」
リリーがそう告げると、皆一斉に静まった。
そしてヘイワードが苦笑しながら
「慌てて連れて来ただけなのでまだ説明していません」と言うと、
「重ね重ね失礼しましたっ!」と再び平伏した。
その時、再びノックの音と共に扉が開かれる。
侍従により開けられた扉から入って来たのは……
「ジョゼット様っ!?」「ジョゼっ!?」
ヘイワードの妻であり、リリーが実の姉のように慕うライト伯爵夫人ジョゼットが王太子の執務室に姿を現した。
いつの間に王都に来ていたのか、驚愕して目を丸くするリリーにジョゼットは微笑みながら答えてくれた。
「やっぱり心配になって……男共だけに任せておいては私の可愛いリリーが幸せにはなれませんからね。後から追いかけて来たのよ」
とそう言って、優雅な仕草で夫のヘイワードへ手を差し出した。
ヘイワードはジョゼットの手を取り、室内へとエスコートする。
「大の男が何人揃って頭を床にのめり込ませても一緒ですわよ。ここはグレイン様と殿下だけ残って後はお下がり下さいな」
シルヴァンが手をついたまま顔を上げてジョゼットに言った。
「お、お久しぶりですねジョゼット。嫁がれる前に挨拶に来てくれた時以来でしょうか」
その言葉にジョゼットが笑顔で返した。
「ええ。殿下、お久しぶりでございます。とりあえずはこの度の事件の早期収束、ご苦労様にございました」
〈……そうだった。ジョゼット様のおばあ様は降嫁された元王女さまで、王太子殿下とはハトコ同士になるのだったわ〉
ジョゼット自身も元侯爵家の末娘で、そんな令嬢がなぜ田舎伯爵の妻になったかというと……まぁ要するにジョゼットの一目惚れからの押しかけ婚だった訳である。
こうしてジョゼットの鶴のひと声で、執務室にはリリーとグレイン、そしてシルヴァンとヘイワード夫妻がだけが残り、後の者は退室して行った。
そして一連の薬物捜査の一部始終を聞かされる。
リリーは頭の中で整理しながらグレインに言った。
「えっと……それじゃあ……恋人が出来た訳ではなく、恋人役をして、そのノーマさんという人を護衛していたの?」
「……うん……」
「わざわざ肩まで抱いて?」
「それは……実はあの時は奴らの尾行をこちらに引きつけるための作戦中だったんだ」
聞くところによると、一通りの捜査協力が終わったノーマをルギス側の目を欺き、秘密裏に王都外へ逃すために二手に分かれて陽動したそうだ。
あの時、本物のノーマは黒髪のカツラを被って変装して、他の騎士と既に王都を脱出していたらしい。
一方、グレインの方が陽動で、ノーマに仮装した関係者がグレインと共にノーマのアパートへ二人仲良く帰っていくフリをして尾行を引きつけたのだという。
ちなみに、あの時グレインが肩を抱いていたのは、妊娠が発覚した為に魔術師団を退団したアミシュ=ル=コルベールの代わりに出仕する事になった、彼女の次兄である。
「……………男?」
「うん……」
「赤い髪で長髪だったわよ?小柄だったし」
「ル=コルベール家は赤い髪が多いらしい。髪は魔法で長くして、体格は……彼は昔は虚弱だったらしいんだ。だから小柄なんだよ」
「……………男」
「うん……」
いっぺんに入ってきた情報量の多さに呆然とするリリーの代わりに、ジョゼットが引き継いだ。
「大凡の事情はわかりました。謝罪を受け入れるかは、リリーが落ち着くまでお待ち下さいな。では、補償の話に移りましょうか?」
ジョゼットはこれぞ淑女の鑑!といった微笑みを湛え、王太子シルヴァンへ言った。
「補償?」
「ええ。国民に説明して頂くのは当然として、こちらといたしましては心意的ストレス被害を受けたリリーのために誠意を示して頂きたく存じます♪」
ニッコリと微笑みを浮かべたままジョゼットの隣でヘイワードはハンカチで汗を拭い続けている。
シルヴァンはカクカクと首を縦に振り、答えた。
「も、もちろんだ。迷惑を掛けたお詫びとして、出来る限りの事はさせて貰おう」
「まぁ!流石は王太子でいらっしゃいますこと!……でもとりあえずはリリーがこのままグレイン様との婚約を継続する気があるかどうかで、また補償内容が変わって来ますわね」
ジョゼットはそう言ってリリーの方へと向き直った。
「リリー、ここは私に任せて、貴女は別室でグレイン様とお話をしていらっしゃい。ちゃんと話した上で、リリーが出した結論を私は無条件で応援するわ。グレイン様との婚約を解消するも良し、継続するも良し……ね?」
ジョゼットの話を聞き、グレインの方をちらっと見ると、情けない顔をしながらリリーの返事を待っている様子だった。
〈そうね、どちらにせよ二人で話し合わなくちゃ。わたし達の事なんだもの〉
リリーは頷いた。
それを受けグレインはリリーの手を取り、別室へと移動する。
リリーは素直にそれに従い付いて行った。
グレインに取られた手を眺めながらリリーはポツリと言う。
「なんでさっきはノーマさんに手を握られていたの……?」
「……故郷に帰るミス・ノーマの見送りを拝命したんだ。数ヶ月間護衛した間柄だったし、俺が適任だろうと。そうしたら馬車に乗る寸前の彼女が感極まって両手で握手をしてきたんだ、ホントにそれだけだよ……?ありがとうありがとうと、何度も言われていただけだよ……?」
グレインが焦りながら言う。
「ふーん……」
「それにそもそもミス・ノーマには故郷に恋人がいるそうだよ」
「へー……」
グレインはぎゅっとしっかりリリーの手を握りしめたまま、談話室の一つに入っていった。
そこは小さな応接ソファーが向かい合って配置された、簡素だが落ち着く雰囲気の部屋だった。
リリーがソファーに座ると、グレインは再びその前で両手をついた。
「リリー……!辛い思いをさせて、悲しい思いをさせて本当にゴメンっ……!」
再び謝り出したグレインにリリーは疑問を投げかける。
「どうして何も話してくれなかったの?連絡してくれたら、そりゃぁ多少はやさぐれるかもしれないけど我慢したのに」
「それについては、もちろん守秘義務があったのもあるけど、連絡を取る事で奴らの目がキミに向けられる危険性があったんだ。俺も護衛対象と同じく監視されていたし。現に手紙を調べられていた……。もし俺の弱点としてキミを人質に取られたら、俺はきっと、殿下を裏切って奴らの言いなりになったと思う」
「ダメよそんなの」
背任行為を口にしたグレインにリリーは目を丸くして制した。
「だって俺にはそれだけリリーが大切だから。殿下や国にはもちろん忠誠を誓っているし、国の為に薬物をなんとかしたいという思いもあった。でも一番は、リリーが安心して暮らせる国を守りたいと思ったからだよ」
「……グレイン……」
グレインはガバリと半身を起こし、リリーの膝に縋りついた。
「リリー……リリー、本当にゴメン、どうしようもなくアホで間抜けな俺を許し欲しい……どうか、どうかもう一度だけチャンスを与えて欲しいっ……!」
「…………」
リリーは考えた。
はて?
そもそもなぜグレインと婚約を解消しなくてはならないと思ったんだったっけ?
……それはグレインに恋人が出来たと思ったから
でもそれは任務の上での役目で恋人ではなかった。
それでもバレないと思って何も話してくれなかったのは辛いわ。
わかってる。
わたしは世間知らずだけど、彼が家族だから恋人だから婚約者だからと全てを話せるような簡単な仕事をしている人ではないという事も。
リリーは心の中で自分に問いかけ続ける。
じゃあリリー、あなたは一体どうしたいの?
グレインにどうして欲しいの?
わたしは……
わたしはグレインに………
「わたしだけを見てもらいたい」
思わず口から溢れていた。
グレインが顔を上げてリリーを見る。
「わたしだけを好きでいて欲しい」
言葉と一緒に涙も溢れ落ちていた。
ぽろぽろポロポロと、涙と言葉が一緒に溢れてゆく。
「例え仕事でも他の人と恋人にならないで」
「……うん」
「例え相手が男の人でもわたし以外の肩を抱かないで」
「うん」
「握手は……ダメとは言わないけど、女の人は絶対にダメ」
「うん」
「親戚のオジさんみたいな手紙じゃなく、前みたいにラブレターを書いて」
「うん」
「グレイン」
グレインはリリーの涙を親指の腹でそっと拭った。
「グレイン……」
グレインは静かにリリーの言葉を待った。
「グレイン、わたし、やっぱりあなたのお嫁さんになりたい……女性家庭教師リリーもカッコいいけど、やっぱりわたし、あなたのお嫁さんがいいのっ……」
だって、
だってこんなにも好きだから。
好きだったから許せなかったし、好きだから許したい。
「っリリー……!」
グレインがたまらずといった様子でリリーをかき抱いた。
「リリーっ…!ゴメン、ゴメン、ありがとうっ……!」
グレインが泣いているのがわかった。
声を出してはいないけど、涙を流して泣いているのがリリーにはわかった。
リリーも抱きしめ返しながら、どうしようもないけど愛おしい婚約者の頭を撫でてあげた。
こうして結局リリーはグレインを許した。
グレイン不在のままで色々と突っ走って来たけど、会って話せば簡単な事だった。
リリーとグレインがその後執務室へと戻ると、交渉人ジョゼットの巧みな交渉術により、シルヴァンのポケットマネーから多額の補償を勝ち取っていた。
まず一つ目は、いくらこれから王太子の名の下に事件の捜査説明をしたとしても、心無い人間の悪意に大切なリリーを晒せないとして、ジョゼットはリリーの王都移住に反対した。
その為にジョゼットは超高額の魔道具、転移魔法具をシルヴァンに買わせて、それを使ってグレインが毎日ライト伯爵領から王都へ出仕する事となったのだ。
そして、リリーのウエディングドレスと結婚式の費用は全てシルヴァン持ちとなった。
〈ジョ、ジョゼット様ってば凄いわっ……!全て王太子のポケットマネーでこれだけの事をさせるなんて……!〉
リリーは尊敬の眼差しをジョゼットに向けた。
ジョゼットはリリーに言う。
「良かったわ……。リリーと本当の姉妹になれるのを楽しみにしていたのよ?もし、それが叶わなかった時はグレイン様をどうしてくれようかと思いあぐねていたんだからっ」
「ジョゼット様……わたしも嬉しいです。もうお義姉さまって呼んでもいいですか?」
リリーが涙目で言うと、ジョゼットに思いっきり抱きしめられた。
「もちろん良いに決まってるじゃないっ!あぁリリー!ホントに可愛いわっ!グレイン様には勿体ないくらいっ!」
そう言ってジョゼットはリリーをぎゅうぎゅう抱きしめた。
その様子を見ながら、ヘイワードはこっそりシルヴァンに耳打ちする。
「お疲れ様です殿下……相手が悪かったですね、でも可愛い義妹が幸せになれるなら、私も嬉しいです」
「……幸せそうで何よりだよ。まぁ今回は全面的に私の判断ミスだ。国の為に尽力する者にきちんと応えたいと思っていたはずなのに、いつの間にか功を焦っていたんだな」
グレインの肩をシルヴァンがぽんと叩く。
「悪かった、グレイン。上に立つ者として、勉強し直すよ」
「殿下……」
今回、勉強代としては決して安くない額を支払う事になった王太子シルヴァン。
3年後彼は王位を継ぎ、さらに30年後に可愛い天使と出会う事になるのだが、それはまた別の話である。
違法薬物の件もとりあえずは落ち着きを見せたので、グレインは久しぶりに休暇を貰いリリー達と共に領地へ帰る事となった。
行きは長距離馬車に揺られてだが、帰りは王太子に貰った転移魔法具で楽々である。
「この魔道具があれば、結婚式までもちょくちょく帰って来られるんじゃない?」
リリーが言うとグレインは、
「もう寮を引き払って毎日通おうかな」
と本気で考え出した。
その様子を眺めながらリリーは思った。
〈色々あったけど、結局はわたしだけが得して終わってない?これっていいのかしら……〉
少し気が咎めるリリーだが、
こうなったものは仕方ない。
有り難く享受する事にした。
結果オーライである。
その後リリーはグレインと無事に結ばれ、
ライト伯爵領で夫と義兄夫婦に溺愛されながら幸せに暮らした。
人妻になっても母親になっても、前に向かって突っ走る性分は変わらなかったが、彼女の周りにはいつも笑顔が絶えず、幸せな人生を送ったそうだ。
おしまい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7話完結のド短編、これにて完結です。
サクっと読める程度でしか考えておらず、読者さまをモヤらしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
しかも最終話、色々詰め込み過ぎて長くなってしまってゴメンなさい。(汗)
ヒロインを悲しませると読者様に怒られるんだぞ!とは、ロイドの時もワルターの時もキャラに言って聞かせたのですが、今回グレインも晴れて仲間入りしました。
いや、アルジノンもセルジオもか☆
でも比較的マシだったシモンやヴィンセントも必ず読者様を怒らせていましたから、怒られないヒーローを書くのは無理かなとも思いました。
今回のお話、皆さまにおかれましては
「ち、ましゅろうめ、イラつくものを読ませておって」と、色々と思うところも有りますでしょうが、どうかお許し頂けると有り難いです。
それともう一つだけ……
昨日、お寄せ頂いた感想の中で一つだけ、これは感想ではなく悪口では?と思ってしまうものがありました。
基本、どのような感想もご意見として承認させて頂いておりますが、これはさすがに心が折れる。書く意欲が無くなる……と思うような内容でしたので、トラブルを避ける為に承認不可とさせて頂きました。
お心当たりのある方、承認しなかった事につきましては、この場をお借りてお詫び申し上げます。
さてさて、懲りずに宣伝です。
でも他サイトさんだからダメかしら?
なので簡潔に……日曜日の夜に
『だから言ったのに~婚約者は予言持ち~』の小説家になろう版の番外編最終話を投稿します。
なろう版の特典としてお約束していた分をようやく書けました。
主人公ジュリの息子、大賢者の愛子ルイスのお話です。
久しぶりに大賢者サマにセリフを与えましたよ。
でも彼、いろんな所に出てるからあまり久しぶりという感じがしなかったりして?
もし宜しければそちらも覗いて頂けると光栄です。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
キムラましゅろう
さっさと逃げたリリー。
『思い立ったら吉日』を座右の銘にしている彼女は、婚約解消手続き諸々の書類を持ってその足で役所へと向かった。
辻馬車を降りて役所を見上げるリリー。
書類を提出したらもう本当に全てが終わる。
互いの幸せの為だとわかっているのにどうしても足が前に動かない。
〈しっかりしなさいリリー!嫌でもなんでもやらなきゃいけない事なのよっ〉
太ももをパァンッと叩いて叱咤する。
〈逃げちゃダメよ逃げちゃダメよ……!〉
リリーは自分を奮い立たせて歩き出した。
なんとか足は前に進んだものの、しかしどうにも思うように動かない。
深層心理がここまで身体に影響を及ぼすとは……などと、妙な発見に思考を取られながらも引きずるように足を動かし続けた。
傍から見ればかなり怪しい人間である。
〈くっ……やっぱりヘイワード様を待てば良かった……!〉
と、今更してもしょうがない後悔をしていたその時、馬の嘶きがすぐ側で聞こえた。
驚いて前方を見ると、騎乗したヘイワードがそこに居た。
「リリー……!」
「ヘ、ヘイワード様っ!?」
丁度今考えいた人物が、白馬の王子様ならぬ白馬に乗ったヘイワードとして突然現れた。
リリーは驚き過ぎて思わず腰を抜かしそうになったが、そんなリリーをヘイワードは慌てて下馬して支える。
「良かった……なんとか間に合ったようだ」
「ど、どうしてここにヘイワード様がっ?」
「実は今日、王宮へ行っていたんだ。それで色々と話を聞いていて……そしたら血相を変えたグレインが戻って来た……慌ててホテルに戻ったら書類と共にリリーが居なくなっていたから焦ったよっ……でも行き先はここしかないと思ってホテルで馬を借りて追いかけて来たんだっ……」
普段落ち着いて物事を口にするヘイワードらしからぬ要領を得ない話し方に、リリーは別の意味で驚いていた。
〈ヘイワード様がこんな調子になるなんてよっぽどの事だわ、何かあったのかしら……〉
そのよっぽどの張本人がヘイワードに向かって言った。
「大丈夫ですかヘイワード様……とりあえず落ち着いて下さい」
「落ち着くのは後だ、今すぐ王宮に向かうよっ」
そう言ってヘイワードはリリーを抱き上げ馬に乗せた。そして自身もひらりと後ろに騎乗する。
「お、王宮っ!?なぜ王宮にっ?なぜわたしがっ?」
「話は後、喋ってると舌を噛むから気をつけてっ」
ヘイワードはそのまま馬で駆け出した。
頭の中が「???」でいっぱいのリリーを他所に
ヘイワードはどんどん馬を走らせる。
やがてあっという間に王宮に着き、ヘイワードに子どもの手を引かれる様なエスコートをされながら王宮内を進んで行った。
侍従であろう男がヘイワードとリリーを確認すると
「どうぞこちらです!王太子殿下が執務室でお待ちですっ」
と言ってリリー達を導いた。
〈王太子殿下っ!?執務室っ!?〉
二つのワードに目を見張るリリーを連れて、ヘイワードはこれまたどんどん進んで行った。
大きくて立派な扉の前に立つ。
リリーが思わず〈チークかマホガニー製かしら?〉と考えてしまうほど良い風合いの扉をヘイワードがノックをする。
ノックと同時に扉が開かれた。
そしてヘイワードと共に入室しようとしたリリーの目に、とんでもないものが飛び込んで来た。
「…………………え゛?」
総勢10名以上の男たちがリリーの前で土下座していたのである。
土下座集団の先頭にはグレインと、王族特有の肩章が付いた服装から見て、どうやら王太子と思われる人物が並んでいた。
「………………ちょ、えっ、まっ……!?」
リリーは目の前の光景に絶句した。
一体何が起きているというのか。
何故この男たちはこんな東方の国の儀礼を行っているのか。
リリーは若干、いや大いに引いていた。
やがてヘイワードがコホンと咳払いをして口を開く。
「……殿下、どうかお顔をお上げ下さい。皆さんも」
ヘイワードの口から出た「殿下」という言葉に
〈やっぱり!?〉と、リリーはさらにドン引きする。
しかしグレインも王太子一同も前頭葉を擦り減らす勢いで平伏したまま顔を上げようとはしない。
一番に口火を切ったのはグレインだった。
「っリリーっ!!悪かった!!全て誤解なんだっ!!でも誤解を与える行動をした俺が全て悪いっ!!本当にっ……本当にゴメンっ!!!」
グレインのその言葉を引き継ぐように隣の王太子シルヴァンが言った。
「いやっ、全ての責任はこの一連の捜査を指揮した私にあるっ……!犯人検挙を優先し過ぎて、最も効率の良い選択を取ってしまったっ、悪いのは全て私だっ……!」
シルヴァンのその言葉を皮切りに他の側近や騎士たちが口々に、
「いや、最初にこの策を提案した私に責任がっ……!」とか
「遠方ならバレないからいいだろうとタカを括っていた俺がっ」とか
「ウチの嫁が怖すぎてビビった俺が悪かったんだっ」とか
「第二王子側の動向しか気を配らなかった私がっ」などと言い出した。
大の大人の男たちにひれ伏されて、リリーはなんと言って良いのか全くわからない。
わからないが、まずひと言、言うなれば……
「あの……何を以って土下座され、そんなに謝られているのかサッパリわからないのですが……?」
リリーがそう告げると、皆一斉に静まった。
そしてヘイワードが苦笑しながら
「慌てて連れて来ただけなのでまだ説明していません」と言うと、
「重ね重ね失礼しましたっ!」と再び平伏した。
その時、再びノックの音と共に扉が開かれる。
侍従により開けられた扉から入って来たのは……
「ジョゼット様っ!?」「ジョゼっ!?」
ヘイワードの妻であり、リリーが実の姉のように慕うライト伯爵夫人ジョゼットが王太子の執務室に姿を現した。
いつの間に王都に来ていたのか、驚愕して目を丸くするリリーにジョゼットは微笑みながら答えてくれた。
「やっぱり心配になって……男共だけに任せておいては私の可愛いリリーが幸せにはなれませんからね。後から追いかけて来たのよ」
とそう言って、優雅な仕草で夫のヘイワードへ手を差し出した。
ヘイワードはジョゼットの手を取り、室内へとエスコートする。
「大の男が何人揃って頭を床にのめり込ませても一緒ですわよ。ここはグレイン様と殿下だけ残って後はお下がり下さいな」
シルヴァンが手をついたまま顔を上げてジョゼットに言った。
「お、お久しぶりですねジョゼット。嫁がれる前に挨拶に来てくれた時以来でしょうか」
その言葉にジョゼットが笑顔で返した。
「ええ。殿下、お久しぶりでございます。とりあえずはこの度の事件の早期収束、ご苦労様にございました」
〈……そうだった。ジョゼット様のおばあ様は降嫁された元王女さまで、王太子殿下とはハトコ同士になるのだったわ〉
ジョゼット自身も元侯爵家の末娘で、そんな令嬢がなぜ田舎伯爵の妻になったかというと……まぁ要するにジョゼットの一目惚れからの押しかけ婚だった訳である。
こうしてジョゼットの鶴のひと声で、執務室にはリリーとグレイン、そしてシルヴァンとヘイワード夫妻がだけが残り、後の者は退室して行った。
そして一連の薬物捜査の一部始終を聞かされる。
リリーは頭の中で整理しながらグレインに言った。
「えっと……それじゃあ……恋人が出来た訳ではなく、恋人役をして、そのノーマさんという人を護衛していたの?」
「……うん……」
「わざわざ肩まで抱いて?」
「それは……実はあの時は奴らの尾行をこちらに引きつけるための作戦中だったんだ」
聞くところによると、一通りの捜査協力が終わったノーマをルギス側の目を欺き、秘密裏に王都外へ逃すために二手に分かれて陽動したそうだ。
あの時、本物のノーマは黒髪のカツラを被って変装して、他の騎士と既に王都を脱出していたらしい。
一方、グレインの方が陽動で、ノーマに仮装した関係者がグレインと共にノーマのアパートへ二人仲良く帰っていくフリをして尾行を引きつけたのだという。
ちなみに、あの時グレインが肩を抱いていたのは、妊娠が発覚した為に魔術師団を退団したアミシュ=ル=コルベールの代わりに出仕する事になった、彼女の次兄である。
「……………男?」
「うん……」
「赤い髪で長髪だったわよ?小柄だったし」
「ル=コルベール家は赤い髪が多いらしい。髪は魔法で長くして、体格は……彼は昔は虚弱だったらしいんだ。だから小柄なんだよ」
「……………男」
「うん……」
いっぺんに入ってきた情報量の多さに呆然とするリリーの代わりに、ジョゼットが引き継いだ。
「大凡の事情はわかりました。謝罪を受け入れるかは、リリーが落ち着くまでお待ち下さいな。では、補償の話に移りましょうか?」
ジョゼットはこれぞ淑女の鑑!といった微笑みを湛え、王太子シルヴァンへ言った。
「補償?」
「ええ。国民に説明して頂くのは当然として、こちらといたしましては心意的ストレス被害を受けたリリーのために誠意を示して頂きたく存じます♪」
ニッコリと微笑みを浮かべたままジョゼットの隣でヘイワードはハンカチで汗を拭い続けている。
シルヴァンはカクカクと首を縦に振り、答えた。
「も、もちろんだ。迷惑を掛けたお詫びとして、出来る限りの事はさせて貰おう」
「まぁ!流石は王太子でいらっしゃいますこと!……でもとりあえずはリリーがこのままグレイン様との婚約を継続する気があるかどうかで、また補償内容が変わって来ますわね」
ジョゼットはそう言ってリリーの方へと向き直った。
「リリー、ここは私に任せて、貴女は別室でグレイン様とお話をしていらっしゃい。ちゃんと話した上で、リリーが出した結論を私は無条件で応援するわ。グレイン様との婚約を解消するも良し、継続するも良し……ね?」
ジョゼットの話を聞き、グレインの方をちらっと見ると、情けない顔をしながらリリーの返事を待っている様子だった。
〈そうね、どちらにせよ二人で話し合わなくちゃ。わたし達の事なんだもの〉
リリーは頷いた。
それを受けグレインはリリーの手を取り、別室へと移動する。
リリーは素直にそれに従い付いて行った。
グレインに取られた手を眺めながらリリーはポツリと言う。
「なんでさっきはノーマさんに手を握られていたの……?」
「……故郷に帰るミス・ノーマの見送りを拝命したんだ。数ヶ月間護衛した間柄だったし、俺が適任だろうと。そうしたら馬車に乗る寸前の彼女が感極まって両手で握手をしてきたんだ、ホントにそれだけだよ……?ありがとうありがとうと、何度も言われていただけだよ……?」
グレインが焦りながら言う。
「ふーん……」
「それにそもそもミス・ノーマには故郷に恋人がいるそうだよ」
「へー……」
グレインはぎゅっとしっかりリリーの手を握りしめたまま、談話室の一つに入っていった。
そこは小さな応接ソファーが向かい合って配置された、簡素だが落ち着く雰囲気の部屋だった。
リリーがソファーに座ると、グレインは再びその前で両手をついた。
「リリー……!辛い思いをさせて、悲しい思いをさせて本当にゴメンっ……!」
再び謝り出したグレインにリリーは疑問を投げかける。
「どうして何も話してくれなかったの?連絡してくれたら、そりゃぁ多少はやさぐれるかもしれないけど我慢したのに」
「それについては、もちろん守秘義務があったのもあるけど、連絡を取る事で奴らの目がキミに向けられる危険性があったんだ。俺も護衛対象と同じく監視されていたし。現に手紙を調べられていた……。もし俺の弱点としてキミを人質に取られたら、俺はきっと、殿下を裏切って奴らの言いなりになったと思う」
「ダメよそんなの」
背任行為を口にしたグレインにリリーは目を丸くして制した。
「だって俺にはそれだけリリーが大切だから。殿下や国にはもちろん忠誠を誓っているし、国の為に薬物をなんとかしたいという思いもあった。でも一番は、リリーが安心して暮らせる国を守りたいと思ったからだよ」
「……グレイン……」
グレインはガバリと半身を起こし、リリーの膝に縋りついた。
「リリー……リリー、本当にゴメン、どうしようもなくアホで間抜けな俺を許し欲しい……どうか、どうかもう一度だけチャンスを与えて欲しいっ……!」
「…………」
リリーは考えた。
はて?
そもそもなぜグレインと婚約を解消しなくてはならないと思ったんだったっけ?
……それはグレインに恋人が出来たと思ったから
でもそれは任務の上での役目で恋人ではなかった。
それでもバレないと思って何も話してくれなかったのは辛いわ。
わかってる。
わたしは世間知らずだけど、彼が家族だから恋人だから婚約者だからと全てを話せるような簡単な仕事をしている人ではないという事も。
リリーは心の中で自分に問いかけ続ける。
じゃあリリー、あなたは一体どうしたいの?
グレインにどうして欲しいの?
わたしは……
わたしはグレインに………
「わたしだけを見てもらいたい」
思わず口から溢れていた。
グレインが顔を上げてリリーを見る。
「わたしだけを好きでいて欲しい」
言葉と一緒に涙も溢れ落ちていた。
ぽろぽろポロポロと、涙と言葉が一緒に溢れてゆく。
「例え仕事でも他の人と恋人にならないで」
「……うん」
「例え相手が男の人でもわたし以外の肩を抱かないで」
「うん」
「握手は……ダメとは言わないけど、女の人は絶対にダメ」
「うん」
「親戚のオジさんみたいな手紙じゃなく、前みたいにラブレターを書いて」
「うん」
「グレイン」
グレインはリリーの涙を親指の腹でそっと拭った。
「グレイン……」
グレインは静かにリリーの言葉を待った。
「グレイン、わたし、やっぱりあなたのお嫁さんになりたい……女性家庭教師リリーもカッコいいけど、やっぱりわたし、あなたのお嫁さんがいいのっ……」
だって、
だってこんなにも好きだから。
好きだったから許せなかったし、好きだから許したい。
「っリリー……!」
グレインがたまらずといった様子でリリーをかき抱いた。
「リリーっ…!ゴメン、ゴメン、ありがとうっ……!」
グレインが泣いているのがわかった。
声を出してはいないけど、涙を流して泣いているのがリリーにはわかった。
リリーも抱きしめ返しながら、どうしようもないけど愛おしい婚約者の頭を撫でてあげた。
こうして結局リリーはグレインを許した。
グレイン不在のままで色々と突っ走って来たけど、会って話せば簡単な事だった。
リリーとグレインがその後執務室へと戻ると、交渉人ジョゼットの巧みな交渉術により、シルヴァンのポケットマネーから多額の補償を勝ち取っていた。
まず一つ目は、いくらこれから王太子の名の下に事件の捜査説明をしたとしても、心無い人間の悪意に大切なリリーを晒せないとして、ジョゼットはリリーの王都移住に反対した。
その為にジョゼットは超高額の魔道具、転移魔法具をシルヴァンに買わせて、それを使ってグレインが毎日ライト伯爵領から王都へ出仕する事となったのだ。
そして、リリーのウエディングドレスと結婚式の費用は全てシルヴァン持ちとなった。
〈ジョ、ジョゼット様ってば凄いわっ……!全て王太子のポケットマネーでこれだけの事をさせるなんて……!〉
リリーは尊敬の眼差しをジョゼットに向けた。
ジョゼットはリリーに言う。
「良かったわ……。リリーと本当の姉妹になれるのを楽しみにしていたのよ?もし、それが叶わなかった時はグレイン様をどうしてくれようかと思いあぐねていたんだからっ」
「ジョゼット様……わたしも嬉しいです。もうお義姉さまって呼んでもいいですか?」
リリーが涙目で言うと、ジョゼットに思いっきり抱きしめられた。
「もちろん良いに決まってるじゃないっ!あぁリリー!ホントに可愛いわっ!グレイン様には勿体ないくらいっ!」
そう言ってジョゼットはリリーをぎゅうぎゅう抱きしめた。
その様子を見ながら、ヘイワードはこっそりシルヴァンに耳打ちする。
「お疲れ様です殿下……相手が悪かったですね、でも可愛い義妹が幸せになれるなら、私も嬉しいです」
「……幸せそうで何よりだよ。まぁ今回は全面的に私の判断ミスだ。国の為に尽力する者にきちんと応えたいと思っていたはずなのに、いつの間にか功を焦っていたんだな」
グレインの肩をシルヴァンがぽんと叩く。
「悪かった、グレイン。上に立つ者として、勉強し直すよ」
「殿下……」
今回、勉強代としては決して安くない額を支払う事になった王太子シルヴァン。
3年後彼は王位を継ぎ、さらに30年後に可愛い天使と出会う事になるのだが、それはまた別の話である。
違法薬物の件もとりあえずは落ち着きを見せたので、グレインは久しぶりに休暇を貰いリリー達と共に領地へ帰る事となった。
行きは長距離馬車に揺られてだが、帰りは王太子に貰った転移魔法具で楽々である。
「この魔道具があれば、結婚式までもちょくちょく帰って来られるんじゃない?」
リリーが言うとグレインは、
「もう寮を引き払って毎日通おうかな」
と本気で考え出した。
その様子を眺めながらリリーは思った。
〈色々あったけど、結局はわたしだけが得して終わってない?これっていいのかしら……〉
少し気が咎めるリリーだが、
こうなったものは仕方ない。
有り難く享受する事にした。
結果オーライである。
その後リリーはグレインと無事に結ばれ、
ライト伯爵領で夫と義兄夫婦に溺愛されながら幸せに暮らした。
人妻になっても母親になっても、前に向かって突っ走る性分は変わらなかったが、彼女の周りにはいつも笑顔が絶えず、幸せな人生を送ったそうだ。
おしまい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7話完結のド短編、これにて完結です。
サクっと読める程度でしか考えておらず、読者さまをモヤらしてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
しかも最終話、色々詰め込み過ぎて長くなってしまってゴメンなさい。(汗)
ヒロインを悲しませると読者様に怒られるんだぞ!とは、ロイドの時もワルターの時もキャラに言って聞かせたのですが、今回グレインも晴れて仲間入りしました。
いや、アルジノンもセルジオもか☆
でも比較的マシだったシモンやヴィンセントも必ず読者様を怒らせていましたから、怒られないヒーローを書くのは無理かなとも思いました。
今回のお話、皆さまにおかれましては
「ち、ましゅろうめ、イラつくものを読ませておって」と、色々と思うところも有りますでしょうが、どうかお許し頂けると有り難いです。
それともう一つだけ……
昨日、お寄せ頂いた感想の中で一つだけ、これは感想ではなく悪口では?と思ってしまうものがありました。
基本、どのような感想もご意見として承認させて頂いておりますが、これはさすがに心が折れる。書く意欲が無くなる……と思うような内容でしたので、トラブルを避ける為に承認不可とさせて頂きました。
お心当たりのある方、承認しなかった事につきましては、この場をお借りてお詫び申し上げます。
さてさて、懲りずに宣伝です。
でも他サイトさんだからダメかしら?
なので簡潔に……日曜日の夜に
『だから言ったのに~婚約者は予言持ち~』の小説家になろう版の番外編最終話を投稿します。
なろう版の特典としてお約束していた分をようやく書けました。
主人公ジュリの息子、大賢者の愛子ルイスのお話です。
久しぶりに大賢者サマにセリフを与えましたよ。
でも彼、いろんな所に出てるからあまり久しぶりという感じがしなかったりして?
もし宜しければそちらも覗いて頂けると光栄です。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
キムラましゅろう
応援ありがとうございます!
33
お気に入りに追加
3,600
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(210件)
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ましゅろう先生、無関係の、、、を読み返しまして、グレインと思われる台詞を探しました。るちあん 謁見で 短い 手足で懸命に、かな? と思いましたが いかがでしょうか?
国王の側近として側にいるはずですから、グレインかもしれませんね🤭💕
ご想像におまかせします🥰✨
楽しく拝読させていただきました。
元サヤで良かったです。
ただあそこで土下座した十人前後と人々は全員妻、又は婚約者持ちってことだからージョゼット様からお相手の方々に事の顛末を語って頂いて冷たーーーーーい視線で見られて溜息を吐かれた挙げ句
「まったく••••••••」後無言
とかの目にあえばいいのに
お読みいただきありがとうございました😊💕
あはは!ホントですね😁もちろん、彼らには時間差でジョゼ様からのお仕置きがあったと思います😆🎶
面白い作品でした
読めて良かったです
お読みいただきありがとうございます😊💕
こちらこそありがとうございました😊🎶