いつか終わりがくるのなら

キムラましゅろう

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殺伐お茶会

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「今日もエゼキエル様にはお会い出来ませんの?」

「申し訳ございません。陛下はお風邪を召されておられまして、自室にて安静にされているのです」

「それなら尚の事、お見舞いに伺いたいわ。わたくしの顔を見れば、エゼキエル様もお元気になられるかもしれませんもの」

「仰る通りだとは思いますが、どうかご容赦くださいませ。ヴィルジニー殿下に感染うつしてはいけないという陛下の配慮にごさいますれば……」

「もう!なんの為にわざわざこの国に来たとお思いになっているのっ!?」

「誠に申~し訳ございません……」

と、このような会話が昨日今日とアンリエッタと隣国の第三王女ヴィルジニーとの間で繰り広げられている。


その様子を見て、ユリアナとシルヴィーがコソコソと毒吐いていた。

「コソコソ…なんて我儘な王女なんでしょう……アンリエッタ様が謝罪しているのにあんな言い方をするなんて」

「コソコソ…陛下に会えないからといってアンリエッタ様に文句いうなんて許せませんわよね。お門違いもいいところですわっ」

「……この際置いといてパート4。コソコソ…風邪で会えないと言われたら普通、さっさと帰りますわよね?」

「コソコソ…エゼキエル様のお顔を意地でも見て帰るつもりなのですわっ、ホントに図々しい!」

ユリアナとシルヴィーのコソコソ話がヒートアップしてきた時に、ヴィルジニー王女が二人の方に扇子を指して告げる。


「そこっ!先程から何をコソコソと仰っているのっ?不愉快ですわっ!」

それに対し、ユリアナがシレっと答える。

「あ~ら申し訳ございません。王女殿下のお話の邪魔をしてはいけないと思い、小声で話していただけでございますわ~」

「まぁ……憎たらしい。だいたいどうして、わたくしがこちらに参っているというのに他の正妃候補者の滞在を許しておられますのっ?」

ヴィルジニー王女がそう言うと、アンリエッタが答えた。

「正妃候補者全員に公平に接する、という陛下のご意思ですわ」

そのアンリエッタの言葉が気に入らないのか王女の八つ当たりの矛先が再びアンリエッタへと向けられた。

「ふん。ご自分のよりも上の立場になる正妃選びの世話をさせられるなんて、貴女って都合良く使われる程度の存在なのですね」

「アンリエッタ様になんて事をっ……!」

シルヴィーが憤慨する。
だがアンリエッタは意に介する様子もなく返した。


「あら、陛下に命じられた訳ではありませんわ。私は自ら進んでこのお役目を引き受けましたのよ?」

「悪趣味ですことっ」

「アンリエッタ様は面倒見の良いお方なのです!」


ーーうーん……
どうしましょうこの殺伐とした空気……
美味しいお茶とお茶菓子で交流を深めたかっただけなのに……


アンリエッタは困っていた。

王女が到着してからいうもの、お茶会と称して顔を合わせる度にこれである。


エゼキエルの正妃となるであろうヴィルジニー王女にはオリオルに悪い印象を持って欲しくはないのだが、
王女自身がツンツンしているのだからしょうがない。


ーーやっぱりエルに、自分の夫となる人にお会いしたいわよね……


アンリエッタはちくりと痛む胸を隠して思案し続けた。

とりあえずエゼキエルが目を覚まし次第すぐに面会のセッティングをしよう。

例え一瞬でも顔を見れば王女も安心するだろうし、エゼキエルだって王女に会ってみたい筈だ。

もし王女の滞在予定日数内に目が覚めなければ、その時はその時でまた何かしら手を打てばよい、と。



その後、ヴィルジニー王女は王太后に呼ばれているとして早々に退席して行った。

当然の如く王女が居なくなった途端にユリアナとシルヴィーによる大悪口大会になってしまい、これまたアンリエッタは困り顔でそれを聞いていたそうな。





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