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プロローグ 密告という名の手紙
『あなたの婚約者、王宮で素敵な出会いを果たしたみたいですよ』
ある日、魔女のジュジュ(17)の元に届いた一通の手紙にこんな事が記されていた。
婚約者、というのは魔術師協会に定められた将来の伴侶となる予定のクラム=ハリソン(20)の事だろうか。
「素敵な出会い……?」
ジュジュは手紙にもう一度目を通す。
しかし何度読んでも同じ事が書かれていた。
王宮で素敵な出会い……
「誰と?」
多分これは女性の筆跡だ。
今までにもジュジュの元には婚約者クラムに懸想する女性から度々手紙が届いていた。
『クラム様を解放しなさい』とか
『魔術師協会に勝手に婚姻を決められてハリソン様がお可哀想だわ』とか
『古の魔女だかイニシャルの魔女(上手いこというな)だか知らないけど、王宮魔術騎士団のホープと呼ばれるハリソン卿と得体の知れない魔術師が釣り合う訳がないでしょう。身の程を知りなさい』とか。
そんな数々の“クラム=ハリソンと婚約を解消しろ”という手紙を受け取ってきたのだが、これは初めてのパターンだ。
ジュジュは首を傾げる。
自慢のふわサラのオレンジブラウンの髪が肩をすべる。
「密告……?」
何の密告?
これは……アンタの婚約者浮気してるぞw、的な密告?
「浮気、ねぇ……」
先週クラムに会った時、とくに変わった様子はなかった。
いつも通りジュジュの家に転移魔法でやって来て、先週頼んでおいた買い物を持参し、ジュジュの手には余る大工仕事や力仕事をやってくれる。
そしてジュジュの作る食事を全部平らげてたわいもない話をして(主に話すのはジュジュだが)夕方には帰って行くという……。
そんないつも通りのルーティンをこなしていたクラム。
そんな彼が浮気をしているとは俄には信じ難い。
「でも……」
手紙と共に添えられていた一枚の写真。
ジュジュはそれを手に取り見つめる。
そこにはクラムとピンクブロンドの髪の可愛らしい女性とが仲睦まじく腕を絡ましている姿が写しだされていた。
「うーーん……」
ジュジュは腕組みをして考える。
これは……確かめに行った方がいいのだろうか。
この写真、とくに魔術の干渉を受けた痕跡はない。
という事は偽造されたものではなく、その場にあった光景をありのままに魔道具が写しだした一枚…という事になる。
「………確かめに行こう」
こうやって悶々鬱々とする日々を送るくらいならさっさと王都に行って確かめればいい。
王都までかなりの距離があるがこの古の森の魔力を借りれば一瞬で転移出来る。
「……帰りは……何地点か転移を繰り返せばいいか……よしっ」
そうと決まれば善は急げ。
ジュジュは二年ぶりに古の森から離れるべく仕度を始めた。
胸に一抹の不安を抱えながら………
───────────────────────
始まりましたよ新連載。
はじめましての方もそうでない方もお久しぶりの方もよろしくお願いします!
関連作品
『夫婦にまつわるすれ違い、または溺愛を描く短編集』
第35話・古の森の魔女の恋
第36話・古の森の魔女の恋~魔女が番う季節~
なんと、明日の朝にも更新があるそうな!?
ある日、魔女のジュジュ(17)の元に届いた一通の手紙にこんな事が記されていた。
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何の密告?
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「でも……」
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「うーーん……」
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胸に一抹の不安を抱えながら………
───────────────────────
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