恋人が聖女のものになりました

キムラましゅろう

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わたくしの騎士はわたくしのもの

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今回、なんとなく微エロ注意です☆




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ユラ……ごめん……俺、やっぱり自分の気持ちにウソがつけねぇ」

「ライルの気持ち?それってどういう事?」

「ごめん、ユラ……」

いつになく神妙な面持ちのライルに、ユラルの心臓が早鐘を打つ。

「ライ、ル……?」

「俺、この頃変なんだ。ルナリア様のつるペタが愛しくて仕方ないんだ……」

「ど、どういう事?ライルはおっぱい星人じゃない!」

おっぱい星人って何?と自分で言っておいてそう思ったが今はそれどころではない。

無事に王都から戻ってくれて安堵したのも束の間、突然のライルの変化にユラルは訳が分からず狼狽えた。

「胸がナインぺったんでも、俺はルナリア様の事を愛してしまったんだ……もうユラルのボインにはソソられない……」

「そんな……あんなに好き勝手揉んでおいて……」

ユラルはそっ……と釘バットくんのグリップを握った。

だけど胸が痛くて苦しくて、力を入れて握れない。

やはり聖女の力には抗えなかったという事なのか。

どうしても逆らえない運命なのか……

「本当にすまない。ただで許してくれとは言わない。思い切り俺を殴れっ!お前を捨てて、ルナリア様との人生を選ぶ俺をっ!!」

その言葉を聞いた途端、ユラルは思いっきり釘バットくん百号を振り上げた。

「言われなくともフルボッコにしてやるわよっ!!」


………と、そこで目が覚めた。


「はっ!?ゆ、夢っ……?」


夢見が悪かった所為でユラルは全身が冷たい汗でぐっしょりだ。


嫌な夢だった。

ライルが自分以外の女性を愛するなんて……

本当に夢で良かった、いや、夢でもイヤだった。

ーーていうか釘バットくん、夢の中では百本目に突入していたわね……


ユラルはのそりと起き上がる。

その時、上掛けのリネンが肩から滑り落ち……
自分の裸の胸が露わになる。


「ぎゃーーーーっ!!」


ーー思い出したっ!!昨日、狂犬と化したライルにお持ち帰りをされたんだった~~!!

ユラルは隣をがばりと見る。
そこにはツヤツヤと幸せそうに眠るライルがいた。

ーーなんてこったい!!
勢いに任せてとんでもない事をっ!!

でもだって、ライルがライルのままで戻ってくれて嬉しかったから……

辛うじて一線は超えてないし……

純潔は守られた、と言って良いはず!

大ス○タ祭りだったけど!

でもお、お泊まりもしてしまったし……

お父さまとお姉さまに殺される……(ライルが)

どうしようどうしようどうしよう!


その時、頭を抱えていたユラルを
眠っていた筈のライルが後ろから抱きしめてきた。

「ライル……起きたの?」

「うん。ユラ♡おはよう」

「♡を付けないで。なんか生々しいから」

「ごめん♡愛してるぞユラ♡」

「だから♡をつけるな」


そんなこんなで、
たっぷりとユラルを供給出来てイキイキと生き返ったライルと共に戦々恐々としながら、自宅に戻ったユラルだったが……

姉がエントランスでいつもと変わらない様子で出迎えてくれた。

「あ、おかえりなさいユラル。昨夜は遅くまで枢機卿夫人のお手伝いで大変だったそうね。ロアンヌさんという方から、ユラルが夫人のお屋敷に泊まるとご丁寧に連絡を下さったのよ。あら、ライルも一緒だったのね」

「………へ?」

ーーなんてこったい!ロアンヌさんにアリバイ工作をさせてしまったとは……!
でも助かりました、ありがとうございます。
後で菓子折り持ってお礼に伺わねば……

でも……恥ずか死ぬっ!!


気持ちが昂ってこんな事……ライルの事を盛りの付いた狂犬なんて偉そうには言えないなと、自戒するユラルであった。



◇◇◇◇◇



一方、国教会バレスデン総本部では聖女ルナリアが首を傾げていた。


「うーん?昨日、わたくしのライルはどうして他の女を抱きしめていたのかしら?」

わたくしの騎士は全てわたくしのものであるはずなのに。

幼い頃からそう教えられて育ってきたというのに。

一番新しいわたくしの騎士ライルだけは何かが違うのよね~。

幼い時に、先代の聖女から教わった不思議な方法。

好ましい、欲しいと思った相手に、ちょっと見つめたり、側に居続けると相手もわたくしの事を好きになると教えられた。

「ワタクシ達聖女は結婚はおろか、たった一人の異性を愛する事も許されない。だったらせめて、自分好みの殿方を夢中にさせて侍らすくらい許されるべきよね?小さな聖女さん、ワタクシが貴女にその方法を教えてあげますからね」

そう言った先代聖女の妖艶な笑みが忘れられないわ。

その方法は成長して、聖女に選定される程神聖力が強くなったら自然と扱えるようになった。

でも不思議ね。
いつも自分から進んでその方法を行っているわけではないのよ?

いつの間にか相手がわたくしに夢中になっているだけ。

放っといても騎士も神官も侍従達もみーんな、わたくしの虜になってしまうの。

彼らの中には奥さんや恋人や婚約者がいると聞くけれど、それはわたくしには関係のない事だと思わない?

むしろ、わたくしは誰を選ぶ事も出来ないのだからわたくしの側にいる者はわたくしだけを選ぶべきなのよ。

だってわたくしはこの国の聖女なのだから。

でもわからないの。

どうしてライルはわたくしが一番にならないのか。

手や肩に直接触れても、特別に力を強めて見つめても、わたくしを見る目が何も変わらないの。

彼の涼やかで美しい瞳がわたくしを見て熱を帯びる事もその視線に恋情が宿ることもない。

不思議だわ。

べつに構わないのだけれどね、

騎士や見目の良い男なんていくらでも居るのだからライルがわたくしの虜にならなくても。

でもね、彼はわたくしの騎士なのよ。

わたくしの騎士はわたくしだけのものであるべきなの。

一体どうすればいいのかしら。

ライルが抱きしめていたあの女を何処かへやれば彼はわたくしだけを見てくれる?

でもそんな事を考えるのは聖女らしくないんじゃないかしらとも思うのよね。

それならやっぱりライル自身にもっともっと触れて力を注ぎ込んでみようかしら?

先代の聖女が言っていた、

“相手の心の隙間に入り込んで力を満たす”

心の隙間。
それは下心だったり、何か喪失した直後の悲しみの心だったり。
寂しさや、出世欲など満たされない何かを渇望する心の事を言うらしいの。

その心の中の隙間に神聖力を滑り込ませるのですって。

それが無意識に出来るのだから、やっぱりわたくし達聖女は凄いわよね。

そうやってライルの心の隙間を探してみましょう。

早く出仕して来ないかしら♪


え?今日はやんごとなき理由で休みの申請を取った?

やんごとなき理由ってなぁに?

体調でも悪いのかしら?

それならわたくしが無償で癒してあげるのに。

誰かに聖騎士団の独身寮までライルを迎えに行かせましょう。

え?昨日は外泊した?

侍従の一人が連れ込み宿に入って行くの見たと言うけれど、連れ込み宿って何かしら?

市井の事は全くわからないわ。

まぁ仕方ないわね。

今日はゆっくりみんなとお茶でも飲んで、旅の疲れを癒しましょう♪

うふふ。そうしましょう。
















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