272 / 343
連載
さわこさんと、仕入れ その2
しおりを挟む
今日の私は、バテアさんの転移魔法で、元々私が暮らしていた世界へ買い出しに来ています。
転移ドアをくぐると、いつものビルの合間の通路に出現しました。
真正面には、かつて私が経営していた居酒屋酒話が入っていたビルがございます。
最初の頃は、とても複雑な気持ちでそのビルを見ていたものでございます。
私が居酒屋を手放した直後は、がぁるずばぁ? とかいう、少しアレなお店が入店なさっていたものですから余計だったのかもしれません。
その後、そこは一度空き屋に戻った後、今は食堂が入店しているようですね。
出入り口の横にはお品書きが書かれた看板が掲げられ、白いエプロンを身につけた可愛らしい感じの女性が掃き掃除をなさっている姿がありました。
「どうしたのさわこ? 早く行くわよ」
「あ、はい、すいません」
バテアさんに声をかけられた私は、少し先に進まれているバテアさんの元へ駆け寄っていきました。
バテアさんは、ミリーネアさんの手をしっかりと握っています。
……何しろ、ちょっとでも油断しようものなら、自らの好奇心に任せて突然いなくなってしまいますからね、ミリーネアさんってば。
並んで歩いているバテアさんとミリーネアさん。
歩道の通行の妨げにならないように、私は2人の後ろにつきました。
いつものようにバスに乗って移動していきます。
ここでもミリーネアさんは、
「あの乗り物、変わってる!」
目を輝かせながら長距離高速バスに向かって駆け出そうとなさいまして、肝を冷やした次第です……ちょうどバテアさんが伸びをした瞬間だったとはいえ、一瞬にして10m以上先まで駆けだしていたミリーネアさん……いくらなんでも、本当に勘弁していただきたく……
「わ~……♪」
そんな私とバテアさんの心労などお構いなしとばかりに、ミリーネアさんはバスの窓際の席に座って、流れていく景色を見つめ続けています。
窓にべったりと顔をつけて、ぴくりともしていません。
「なんといいますか……子供を連れ歩いている母親の心境ですね」
「そうねぇ……それ、アタシも思ってた」
私の言葉に、バテアさんも苦笑なさっておいでです。
まだ目的の場所に1つとして到着していないのですが、すでに私とバテアさんは疲れを感じていました。
でも……楽しそうに窓の外を見つめているミリーネアさんを見ていると
「……まぁ、ミリーネアさんが喜んでおられますし」
「……仕方ない、か」
そんな言葉を交わしていた私とバテアさんでした。
◇◇
その後……
いつもの大手ショッピングモールへ移動し、親友のみはるが経営しているパワーストーンのお店へと移動。
「待ってたわよさわこ! それにバテアさん!」
そんな私達を、満面笑顔のみはるが出迎えてくれました。
「ど、どうしたのよみはる!?」
「いえね、さわことバテアさんが持って来てくれるパワーストーンが大好評なのよぉ。アクセサリーに加工して店頭に並べる度に、すぐ売れてくの! こんなのはじめてよ!」
みはるのパワーストーンのお店の一角には【MASEKI】と書かれたポップを中心に装飾された一角があるのですが、そこに並んでいるはずの商品は1つもありませんでした。みはるの言葉通りすべて売り切れているようですね。
あ、ちなみにこの【MASEKI】ってネーミングは、バテアさんの魔法道具のお店で販売している魔石をみはるに買い取ってもらっていますので、そこからきているんです。
以前は委託販売の形をとっていたのですが、今はすべて買い取ってもらっています。
それをみはるがアクセサリーに加工して販売しているものですから、委託販売していた頃よりも私達が受け取るお金がたくさんになっているんです。
「そんなわけでさわこ、それにバテアさん! 次回からもっとパワーストーンを持って来てくれる? 今までの5割まし……いえ、倍でもいいわ! 買取額も2割アップしちゃうから!」
「か、買取額のアップまではしなくてもいいから……と、とにかくバテアさんと相談して持ってくる量を増やすわね」
私の首に抱きついて満面笑顔のみはる。
そんなみはるに、私は苦笑しながら返事を返していました。
ちなみに……バテアさんによりますと、
「……うちの魔法道具のお店の売れ残りをさわこに買い取ってもらっているんだけど……何が評判になるかわからないもんねぇ」
とのことでして、次回からは、もう少し質のいい魔石も一緒に回してもらえることになりました。
「さっすがバテア姉さん! 即断即決最高! あ、ゆきかちゃん、あれ持って来て!」
「あ、はいはい」
みはるの言葉を受けて、パワーストーンのお店の店員さんのゆきかさんが冷蔵庫から出してきたのは……大きなお皿に山盛りになっているバニラアイスでした。
それを見るなり、満面笑顔のバテアさん。
「さっすがさわこの親友ね! みはるってばよくわかってるじゃない」
そう言うなり、スプーン片手にバニラアイスを豪快に食べ始めました。
お酒が大好きなバテアさんなのですが……私の世界のバニラアイスも大好きなんですよね……あはは。
「で、こっちのおチビさんにはこれでいいかしら?」
ミリーネアさんに、みはるが差し出したのはメロンクリームソーダでした。
これは、ベルやエンジェさんが大好物なんです。
「ほわぁ!? 緑でしゅわしゅわ~……」
それを見つめながら、満面笑顔のミリーネアさん。
グラスを手に持つと、中のジュースを眺めたり、上にのっているバニラアイスをつついたりしながら興味津々な様子です。
……とりあえず、これを食べている間は、迷子の心配をしなくて済みそうですね。
そんなことを考えながら、私はほうじ茶を口に運んでいました。
さすがみはるです。私の好みもしっかり把握してくれています。
◇◇
ミリーネアさんなのですが、メロンクリームソーダがすっごく気に入ったご様子でして、その後、私とバテアさんが業務用スーパーや善治郎さんのお店を回っている間中、
「緑……しゅわしゅわ……ひんやり……」
メロンクリームソーダのことを思い出しながら、何やら紙の束を取り出して、それにあれこれ書き込みし続けていたんです。
そのおかげで、大人しく私とバテアさんと一緒に行動してくださったものですから、本当に助かりました。
「次回からは、ミリーネアにメロンクリームソーダをあげとけばいいかもね」
「ホントですね」
転移ドアをくぐってバテアさんの巨木の家に戻ってきた私とバテアさんは、顔を見合わせながら笑い合っていました。
◇◇
その夜……
今夜も居酒屋さわこさんは元気に営業しております。
店内の端の席には、今夜もミリーネアさんが座っています。
吟遊詩人のミリーネアさんは、ここで歌を歌ってお店の雰囲気を盛り上げたり、お客様のリクエストにお応えして冒険譚なんかを歌っておられるんです。
ポロロン♪
ミリーネアさんは、ご機嫌な様子で小型のハープをかき鳴らしています。
お店の雰囲気を乱さないように、控えめに奏でられる音楽。
それに合わせて、歌を歌っていくミリーネアさん。
異国のお店の一角に~♪
緑のしゅわしゅわの秘宝がひとつ~♪
口にいれれば、たちまちとろけ~至福の時間がはじまる~♪
「おいおいミリーネア、それは何か財宝の歌なのか?」
「詳しく教えてくれよ」
その歌を聞きつけた冒険者の方々が興味津々な様子でミリーネアさんの周囲に集まっておられます。
……でも
冒険者の皆さんが期待している答えは返ってこないでしょうね。
だって、あれ……間違いなくメロンクリームソーダの歌ですもの。
思わず苦笑しながらも、私は料理をしながらミリーネアさんの方へ時折視線を向けていました。
幸い、皆さんもミリーネアさんのお話を楽しそうに聞いておられたのですが……あ、あれ? なんでしょうか……冒険者の方々が一斉に私の方に向かって駆け寄ってこられました!?
「さ、さわこさん! あんためろんくりぃむそうだっていう飲み物を作れるのかい?」
「え?」
「ミリーネアが『さわこならつくれるかも』って言ってたんだけど……なぁ、なんとかならないか?」
「あんな歌を聴かされたら、たまらないよぉ」
私の前で懇願し続けている冒険者の方々。
「え、えっと……まったく同じ物は無理ですけど、似たものなら……」
そう言いながら、私は魔法袋のウインドウを表示させまして、中身を確認していきました。
……バニラアイスはありますし……そうですね、ソーダ水をベースにして……
予想外の展開になりましたけれども、こういうのもなんだか楽しいですね。
ーつづく
転移ドアをくぐると、いつものビルの合間の通路に出現しました。
真正面には、かつて私が経営していた居酒屋酒話が入っていたビルがございます。
最初の頃は、とても複雑な気持ちでそのビルを見ていたものでございます。
私が居酒屋を手放した直後は、がぁるずばぁ? とかいう、少しアレなお店が入店なさっていたものですから余計だったのかもしれません。
その後、そこは一度空き屋に戻った後、今は食堂が入店しているようですね。
出入り口の横にはお品書きが書かれた看板が掲げられ、白いエプロンを身につけた可愛らしい感じの女性が掃き掃除をなさっている姿がありました。
「どうしたのさわこ? 早く行くわよ」
「あ、はい、すいません」
バテアさんに声をかけられた私は、少し先に進まれているバテアさんの元へ駆け寄っていきました。
バテアさんは、ミリーネアさんの手をしっかりと握っています。
……何しろ、ちょっとでも油断しようものなら、自らの好奇心に任せて突然いなくなってしまいますからね、ミリーネアさんってば。
並んで歩いているバテアさんとミリーネアさん。
歩道の通行の妨げにならないように、私は2人の後ろにつきました。
いつものようにバスに乗って移動していきます。
ここでもミリーネアさんは、
「あの乗り物、変わってる!」
目を輝かせながら長距離高速バスに向かって駆け出そうとなさいまして、肝を冷やした次第です……ちょうどバテアさんが伸びをした瞬間だったとはいえ、一瞬にして10m以上先まで駆けだしていたミリーネアさん……いくらなんでも、本当に勘弁していただきたく……
「わ~……♪」
そんな私とバテアさんの心労などお構いなしとばかりに、ミリーネアさんはバスの窓際の席に座って、流れていく景色を見つめ続けています。
窓にべったりと顔をつけて、ぴくりともしていません。
「なんといいますか……子供を連れ歩いている母親の心境ですね」
「そうねぇ……それ、アタシも思ってた」
私の言葉に、バテアさんも苦笑なさっておいでです。
まだ目的の場所に1つとして到着していないのですが、すでに私とバテアさんは疲れを感じていました。
でも……楽しそうに窓の外を見つめているミリーネアさんを見ていると
「……まぁ、ミリーネアさんが喜んでおられますし」
「……仕方ない、か」
そんな言葉を交わしていた私とバテアさんでした。
◇◇
その後……
いつもの大手ショッピングモールへ移動し、親友のみはるが経営しているパワーストーンのお店へと移動。
「待ってたわよさわこ! それにバテアさん!」
そんな私達を、満面笑顔のみはるが出迎えてくれました。
「ど、どうしたのよみはる!?」
「いえね、さわことバテアさんが持って来てくれるパワーストーンが大好評なのよぉ。アクセサリーに加工して店頭に並べる度に、すぐ売れてくの! こんなのはじめてよ!」
みはるのパワーストーンのお店の一角には【MASEKI】と書かれたポップを中心に装飾された一角があるのですが、そこに並んでいるはずの商品は1つもありませんでした。みはるの言葉通りすべて売り切れているようですね。
あ、ちなみにこの【MASEKI】ってネーミングは、バテアさんの魔法道具のお店で販売している魔石をみはるに買い取ってもらっていますので、そこからきているんです。
以前は委託販売の形をとっていたのですが、今はすべて買い取ってもらっています。
それをみはるがアクセサリーに加工して販売しているものですから、委託販売していた頃よりも私達が受け取るお金がたくさんになっているんです。
「そんなわけでさわこ、それにバテアさん! 次回からもっとパワーストーンを持って来てくれる? 今までの5割まし……いえ、倍でもいいわ! 買取額も2割アップしちゃうから!」
「か、買取額のアップまではしなくてもいいから……と、とにかくバテアさんと相談して持ってくる量を増やすわね」
私の首に抱きついて満面笑顔のみはる。
そんなみはるに、私は苦笑しながら返事を返していました。
ちなみに……バテアさんによりますと、
「……うちの魔法道具のお店の売れ残りをさわこに買い取ってもらっているんだけど……何が評判になるかわからないもんねぇ」
とのことでして、次回からは、もう少し質のいい魔石も一緒に回してもらえることになりました。
「さっすがバテア姉さん! 即断即決最高! あ、ゆきかちゃん、あれ持って来て!」
「あ、はいはい」
みはるの言葉を受けて、パワーストーンのお店の店員さんのゆきかさんが冷蔵庫から出してきたのは……大きなお皿に山盛りになっているバニラアイスでした。
それを見るなり、満面笑顔のバテアさん。
「さっすがさわこの親友ね! みはるってばよくわかってるじゃない」
そう言うなり、スプーン片手にバニラアイスを豪快に食べ始めました。
お酒が大好きなバテアさんなのですが……私の世界のバニラアイスも大好きなんですよね……あはは。
「で、こっちのおチビさんにはこれでいいかしら?」
ミリーネアさんに、みはるが差し出したのはメロンクリームソーダでした。
これは、ベルやエンジェさんが大好物なんです。
「ほわぁ!? 緑でしゅわしゅわ~……」
それを見つめながら、満面笑顔のミリーネアさん。
グラスを手に持つと、中のジュースを眺めたり、上にのっているバニラアイスをつついたりしながら興味津々な様子です。
……とりあえず、これを食べている間は、迷子の心配をしなくて済みそうですね。
そんなことを考えながら、私はほうじ茶を口に運んでいました。
さすがみはるです。私の好みもしっかり把握してくれています。
◇◇
ミリーネアさんなのですが、メロンクリームソーダがすっごく気に入ったご様子でして、その後、私とバテアさんが業務用スーパーや善治郎さんのお店を回っている間中、
「緑……しゅわしゅわ……ひんやり……」
メロンクリームソーダのことを思い出しながら、何やら紙の束を取り出して、それにあれこれ書き込みし続けていたんです。
そのおかげで、大人しく私とバテアさんと一緒に行動してくださったものですから、本当に助かりました。
「次回からは、ミリーネアにメロンクリームソーダをあげとけばいいかもね」
「ホントですね」
転移ドアをくぐってバテアさんの巨木の家に戻ってきた私とバテアさんは、顔を見合わせながら笑い合っていました。
◇◇
その夜……
今夜も居酒屋さわこさんは元気に営業しております。
店内の端の席には、今夜もミリーネアさんが座っています。
吟遊詩人のミリーネアさんは、ここで歌を歌ってお店の雰囲気を盛り上げたり、お客様のリクエストにお応えして冒険譚なんかを歌っておられるんです。
ポロロン♪
ミリーネアさんは、ご機嫌な様子で小型のハープをかき鳴らしています。
お店の雰囲気を乱さないように、控えめに奏でられる音楽。
それに合わせて、歌を歌っていくミリーネアさん。
異国のお店の一角に~♪
緑のしゅわしゅわの秘宝がひとつ~♪
口にいれれば、たちまちとろけ~至福の時間がはじまる~♪
「おいおいミリーネア、それは何か財宝の歌なのか?」
「詳しく教えてくれよ」
その歌を聞きつけた冒険者の方々が興味津々な様子でミリーネアさんの周囲に集まっておられます。
……でも
冒険者の皆さんが期待している答えは返ってこないでしょうね。
だって、あれ……間違いなくメロンクリームソーダの歌ですもの。
思わず苦笑しながらも、私は料理をしながらミリーネアさんの方へ時折視線を向けていました。
幸い、皆さんもミリーネアさんのお話を楽しそうに聞いておられたのですが……あ、あれ? なんでしょうか……冒険者の方々が一斉に私の方に向かって駆け寄ってこられました!?
「さ、さわこさん! あんためろんくりぃむそうだっていう飲み物を作れるのかい?」
「え?」
「ミリーネアが『さわこならつくれるかも』って言ってたんだけど……なぁ、なんとかならないか?」
「あんな歌を聴かされたら、たまらないよぉ」
私の前で懇願し続けている冒険者の方々。
「え、えっと……まったく同じ物は無理ですけど、似たものなら……」
そう言いながら、私は魔法袋のウインドウを表示させまして、中身を確認していきました。
……バニラアイスはありますし……そうですね、ソーダ水をベースにして……
予想外の展開になりましたけれども、こういうのもなんだか楽しいですね。
ーつづく
30
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。