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連載
さわこさんと、オネの1日
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ベッドで目を覚ました私です。
昨日が週末の休日
今日は年始の祝日
そんな2連休2日目の朝です。
昨夜は年越し晩酌で盛り上がった私達でした。
こちらの世界にはテレビがございませんので、紅白もガキ使もみることが出来なかったのですが、
お酒を飲んで
料理を食べて
楽しくお話して
そんな時間を過ごした私達なのですが、それがとても楽しかった次第でございます。
元いた世界で暮らしていた頃には、一人でテレビを見ながら過ごすことが多かった私ですが、こちらの世界では、こうして楽しい時間を友に過ごすことが出来る友人達がいるおかげで、毎日楽しく過ごせている次第でございます。
年越しということで、年越しそばを準備したのですが、
「さわこ、このお蕎麦って美味しいわね」
「……うん、美味しい!」
と、バテアさんもリンシンさんもすごく気に入られた次第なんですよ。
このお蕎麦は、善治郎さんの知り合いのお蕎麦屋さんからお蕎麦を購入させていただいたものなので、格別だったのかもしれませんね。
だし汁は、私がかつお節ベースで作成したのですが、どうやらお蕎麦の美味しさを引き立てることが出来たようです。
そんなわけで、年越し蕎麦を
バテアさんは3杯
リンシンさんは6杯
それぞれそんなにお召し上がりになった次第なんですよ。
私は、お蕎麦とおうどんを小盛りで一杯ずついただきました。
と、いいますのも、このおうどんはベルとエンジェさんが2人で頑張って踏み踏みしてくれたうどんなんですよ。一緒に年越しうどんを食べる約束になっておりましたので、その約束を果たしたというわけです。
……ただ
『さーちゃん!一緒に年越しうどん食べるにゃ!』
『さわこ! 一緒に食べましょう!』
そう言っていたベルとエンジェさんはといいますと……残念ながら2人は早々に寝入ってしまいまして、
エンジェさんは私の横で
ベルはコタツで寝ているリンシンさんの隣で
それぞれ今も寝息を立てている次第です。
朝ご飯はお雑煮にするつもりですので、おうどんはお昼にしましょうか。
◇◇
布団から起きだした私は、窓辺へ歩み寄っていきました。
まだ薄暗い外。
周囲は一面の銀世界です。
昨日のお昼からは、役場のヒーロさんに依頼されたバテアさんが、魔法で雪を溶かして回っておられたのですが……夜にまた降り積もったのでしょうね。
空を見上げますと、山と空の境界線近くが白み始めております。
もうすぐ、今年の初日の出ですね。
元いた世界では、ベランダから初日の出を眺めてから、比較的近くにあったお稲荷様へ初詣に出かけるのが習慣になっていた私ですが、こちらの世界には初詣という習慣がないそうなので、今年はお預けになりそうです。
……でも、まったく行かないと、ちょっと気持ち悪いかな……
そうですねぇ……バテアさんにお願いして、明日の朝にでも私の世界につれていってもらおうかな……
ワノン酒造工場で働いている、私と同じく、私の世界からこちらの世界にやってきている和音も行きたがるかもしれませんし一声かけてみようと思います……あ、でも和音の場合
『酒造りが忙しいのよ~』
とか言いだしかねないかな?
窓辺に立ち、窓の外を見つめながら、私はそんなことを考えておりました。
すると
「……ん? わさこ、起きてたの?」
ベッドからバテアさんの声が聞こえてきました。
私のことを「さわこ」ではなく「わさこ」呼称なさっておいでですので、まだ寝ぼけておいでですね。
「あ、はい。先ほど目が覚めたものですから、ついでに初日の出を拝んでおこうかと思いまして……」
私がそう言うと、バテアさんはあくびをしながらベッドから降りてこられました。
「初日の出……あぁ、そっか。今日はオネの1日だったわね」
そう言うとバテアさんは私の首に腕を回し
「今年もよろしくね、わさこ」
そう言いながら、私を抱き寄せられました。
身長はバテアさんの方が10センチ近く高いですので、私の頭はバテアさんの肩によりそう格好になってしまいます。
以前は、こういった過剰なスキンシップに不慣れだったものですから、抱き寄せられただけで顔を赤くしていた私なのですが、最近はこれぐらいではなともなくなったといいますか、晩酌の度に肩を抱かれていますしね……もう慣れっこです。
「はい、こちらこそよろしくお願い……」
そこまで口にした私は、ここであることに気がつきました。
私を抱き寄せているバテアさん……素っ裸です。
そうなんです。
バテアさんってばお酒を飲んで寝るとほぼ毎晩素っ裸になって寝ていらっしゃるんですよ……
「ちょ!? ばばばバテアさん、服を着てください!風邪ひきますってば!?」
ベッドに脱ぎ捨ててあるバテアさんの服を取りに戻る私。
「大丈夫よわさこぉ、室内は温度調節魔石で適温なんだしさ……まぁ、ちょっと肌寒いけど」
そんな私に、再度大あくびをしながら話しかけるバテアさん。
なんといいますか……相変わらずマイペースといいますか、なんといいますか……
でもまぁ、これもバテアさんらしいといえばらしいんですけどね。
ベッドに戻ると、布団の中ではエンジェさんが笑顔で寝息を立てています。
ベッドの横にあるこたつでは、リンシンさんとベルとエミーリアさんが仲良く川の字になって寝ています。
こたつに布団を突っ込みまして、みんな足だけこたつにいれて寝ています。
モフモフの髪の毛で、横向きで寝ているミリーネアさん。
その髪に抱きつくようにして寝ているベル。
そのベルを後ろから抱きしめるようにして寝ているリンシンさん。
なんだか、仲睦まじい川の字になっています。
ここは、最初はバテアさんお1人だけのお家でした。
そこに、私が居候させてもらうことになりました。
リンシンさんも、しばらくお邪魔することになり……いつしかそのままお住まいになられています。
ベルは、放浪していたのを保護いたしました。
エンジェさんは、私が大事にしていたクリスマスツリーが付喪神になってしまった次第です。
そこに、流しのミリーネアさんが加わったこのお家。
縁が縁を呼んで、こうしてみんなで仲良く一緒に暮らせているわけなのですが……なんだかとっても不思議な感じがいたします
ベッドに散らかっていたバテアさんの寝間着を手に取った私は、窓際に立っているバテアさんの元に駆け寄りました。
「さ、バテアさん、これを来てくださいね」
「ん、わかった」
そう言っているバテアさんの口には、いつものバニラ最中がくわえられていました。
私がベッドに衣服を回収に行っている際に、魔石冷蔵庫から持ってこられたのでしょうね。
「さわこ、今日の朝ご飯は何?」
「今朝はお雑煮ですよ。昨日作っておいたおせち料理と一緒に頂くつもりです」
「お雑煮って、昨日ついたお餅を入れるっていう、あれ?」
「はい、そうです」
「お餅、美味しかったからねぇ。楽しみだわ」
「ご期待に添えるように、頑張りますね」
「そういえば、お餅ってすごい量作ってたじゃない? あれ、ひょっとして居酒屋でも使うの?」
「はい、明日の新年の営業開始に合わせましてお雑煮や、焼き餅なんかをお出ししようかと思っているんですよ」
「へぇ、そりゃまた人気になりそうね。となると、このお雑煮に合う日本酒も調べておかないといけないわね」
「そんな事を言いながら……実はお酒を飲みたいだけなんじゃないんですか?」
「い、いや、そんなことはないわよ。あくまでもお店でお勧めるす際に参考よ、参考」
「ふふ。まぁ、そう言うことにしておきましょうか」
私とバテアさんは、窓際でそんな会話を交わしておりました。
気がつくと、山のてっぺんから朝日がゆっくり顔を出し始めています。
私とバテアさんは、その光景を見つめながら何でも無い会話を続けておりました。
ーつづく
昨日が週末の休日
今日は年始の祝日
そんな2連休2日目の朝です。
昨夜は年越し晩酌で盛り上がった私達でした。
こちらの世界にはテレビがございませんので、紅白もガキ使もみることが出来なかったのですが、
お酒を飲んで
料理を食べて
楽しくお話して
そんな時間を過ごした私達なのですが、それがとても楽しかった次第でございます。
元いた世界で暮らしていた頃には、一人でテレビを見ながら過ごすことが多かった私ですが、こちらの世界では、こうして楽しい時間を友に過ごすことが出来る友人達がいるおかげで、毎日楽しく過ごせている次第でございます。
年越しということで、年越しそばを準備したのですが、
「さわこ、このお蕎麦って美味しいわね」
「……うん、美味しい!」
と、バテアさんもリンシンさんもすごく気に入られた次第なんですよ。
このお蕎麦は、善治郎さんの知り合いのお蕎麦屋さんからお蕎麦を購入させていただいたものなので、格別だったのかもしれませんね。
だし汁は、私がかつお節ベースで作成したのですが、どうやらお蕎麦の美味しさを引き立てることが出来たようです。
そんなわけで、年越し蕎麦を
バテアさんは3杯
リンシンさんは6杯
それぞれそんなにお召し上がりになった次第なんですよ。
私は、お蕎麦とおうどんを小盛りで一杯ずついただきました。
と、いいますのも、このおうどんはベルとエンジェさんが2人で頑張って踏み踏みしてくれたうどんなんですよ。一緒に年越しうどんを食べる約束になっておりましたので、その約束を果たしたというわけです。
……ただ
『さーちゃん!一緒に年越しうどん食べるにゃ!』
『さわこ! 一緒に食べましょう!』
そう言っていたベルとエンジェさんはといいますと……残念ながら2人は早々に寝入ってしまいまして、
エンジェさんは私の横で
ベルはコタツで寝ているリンシンさんの隣で
それぞれ今も寝息を立てている次第です。
朝ご飯はお雑煮にするつもりですので、おうどんはお昼にしましょうか。
◇◇
布団から起きだした私は、窓辺へ歩み寄っていきました。
まだ薄暗い外。
周囲は一面の銀世界です。
昨日のお昼からは、役場のヒーロさんに依頼されたバテアさんが、魔法で雪を溶かして回っておられたのですが……夜にまた降り積もったのでしょうね。
空を見上げますと、山と空の境界線近くが白み始めております。
もうすぐ、今年の初日の出ですね。
元いた世界では、ベランダから初日の出を眺めてから、比較的近くにあったお稲荷様へ初詣に出かけるのが習慣になっていた私ですが、こちらの世界には初詣という習慣がないそうなので、今年はお預けになりそうです。
……でも、まったく行かないと、ちょっと気持ち悪いかな……
そうですねぇ……バテアさんにお願いして、明日の朝にでも私の世界につれていってもらおうかな……
ワノン酒造工場で働いている、私と同じく、私の世界からこちらの世界にやってきている和音も行きたがるかもしれませんし一声かけてみようと思います……あ、でも和音の場合
『酒造りが忙しいのよ~』
とか言いだしかねないかな?
窓辺に立ち、窓の外を見つめながら、私はそんなことを考えておりました。
すると
「……ん? わさこ、起きてたの?」
ベッドからバテアさんの声が聞こえてきました。
私のことを「さわこ」ではなく「わさこ」呼称なさっておいでですので、まだ寝ぼけておいでですね。
「あ、はい。先ほど目が覚めたものですから、ついでに初日の出を拝んでおこうかと思いまして……」
私がそう言うと、バテアさんはあくびをしながらベッドから降りてこられました。
「初日の出……あぁ、そっか。今日はオネの1日だったわね」
そう言うとバテアさんは私の首に腕を回し
「今年もよろしくね、わさこ」
そう言いながら、私を抱き寄せられました。
身長はバテアさんの方が10センチ近く高いですので、私の頭はバテアさんの肩によりそう格好になってしまいます。
以前は、こういった過剰なスキンシップに不慣れだったものですから、抱き寄せられただけで顔を赤くしていた私なのですが、最近はこれぐらいではなともなくなったといいますか、晩酌の度に肩を抱かれていますしね……もう慣れっこです。
「はい、こちらこそよろしくお願い……」
そこまで口にした私は、ここであることに気がつきました。
私を抱き寄せているバテアさん……素っ裸です。
そうなんです。
バテアさんってばお酒を飲んで寝るとほぼ毎晩素っ裸になって寝ていらっしゃるんですよ……
「ちょ!? ばばばバテアさん、服を着てください!風邪ひきますってば!?」
ベッドに脱ぎ捨ててあるバテアさんの服を取りに戻る私。
「大丈夫よわさこぉ、室内は温度調節魔石で適温なんだしさ……まぁ、ちょっと肌寒いけど」
そんな私に、再度大あくびをしながら話しかけるバテアさん。
なんといいますか……相変わらずマイペースといいますか、なんといいますか……
でもまぁ、これもバテアさんらしいといえばらしいんですけどね。
ベッドに戻ると、布団の中ではエンジェさんが笑顔で寝息を立てています。
ベッドの横にあるこたつでは、リンシンさんとベルとエミーリアさんが仲良く川の字になって寝ています。
こたつに布団を突っ込みまして、みんな足だけこたつにいれて寝ています。
モフモフの髪の毛で、横向きで寝ているミリーネアさん。
その髪に抱きつくようにして寝ているベル。
そのベルを後ろから抱きしめるようにして寝ているリンシンさん。
なんだか、仲睦まじい川の字になっています。
ここは、最初はバテアさんお1人だけのお家でした。
そこに、私が居候させてもらうことになりました。
リンシンさんも、しばらくお邪魔することになり……いつしかそのままお住まいになられています。
ベルは、放浪していたのを保護いたしました。
エンジェさんは、私が大事にしていたクリスマスツリーが付喪神になってしまった次第です。
そこに、流しのミリーネアさんが加わったこのお家。
縁が縁を呼んで、こうしてみんなで仲良く一緒に暮らせているわけなのですが……なんだかとっても不思議な感じがいたします
ベッドに散らかっていたバテアさんの寝間着を手に取った私は、窓際に立っているバテアさんの元に駆け寄りました。
「さ、バテアさん、これを来てくださいね」
「ん、わかった」
そう言っているバテアさんの口には、いつものバニラ最中がくわえられていました。
私がベッドに衣服を回収に行っている際に、魔石冷蔵庫から持ってこられたのでしょうね。
「さわこ、今日の朝ご飯は何?」
「今朝はお雑煮ですよ。昨日作っておいたおせち料理と一緒に頂くつもりです」
「お雑煮って、昨日ついたお餅を入れるっていう、あれ?」
「はい、そうです」
「お餅、美味しかったからねぇ。楽しみだわ」
「ご期待に添えるように、頑張りますね」
「そういえば、お餅ってすごい量作ってたじゃない? あれ、ひょっとして居酒屋でも使うの?」
「はい、明日の新年の営業開始に合わせましてお雑煮や、焼き餅なんかをお出ししようかと思っているんですよ」
「へぇ、そりゃまた人気になりそうね。となると、このお雑煮に合う日本酒も調べておかないといけないわね」
「そんな事を言いながら……実はお酒を飲みたいだけなんじゃないんですか?」
「い、いや、そんなことはないわよ。あくまでもお店でお勧めるす際に参考よ、参考」
「ふふ。まぁ、そう言うことにしておきましょうか」
私とバテアさんは、窓際でそんな会話を交わしておりました。
気がつくと、山のてっぺんから朝日がゆっくり顔を出し始めています。
私とバテアさんは、その光景を見つめながら何でも無い会話を続けておりました。
ーつづく
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