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閑話 パパサル
しおりを挟む俺様は妻三人と子供六人の合計10匹の群れのボスをしているエウローバっつーもんだ。
ここ最近俺が住んでいる森が何かおかしい。
縄張りの中の食料が何者かに取られているのだ。
もしかしたらこの森の強者の一角の者だろうか、しかしあいつらはこの高さの実をとることが出来ない。
きっと群れから外れた雄猿だろう。
見付けたら絶対に殺してやる。
俺様の縄張りの中に無断で踏み入れた罰を与えてやる。
今日はもう休もうと思い周りを見渡すと違和感を感じ取った。
最初に手に入れた妻がいないのだ。
それと一番上の子供がいなくなっている。
どこに行ったのだと子供たちに探させると一匹の猿が勢いよく帰ってきた。
話を聞くに妻と子供が死んでいたと。
明らかにここらに住んでいる奴等では出来ない殺されかたをしていると。
そしてもう一匹が血の匂いの続く先を探しにいったということ。
この俺様の雌と子供を殺すとはいい度胸をした奴だ。
絶対に見つけ出して殺してやる。
二日後に探しにいった猿が帰ってきた。
どうやらそいつのいる場所を見付けたようだ。
そこは俺様が子供の頃に人間という種族がよくいた場所で縄張りの中にある場所だった。
そしてそこにいるのが人間だと言うことらしい。
今すぐそこに向かうから待っていろよ人間。
この俺様に楯突いたこと死んで後悔させてやる。
程なくして人間の住処についた。
雌たちは弱く戦えないのでここで待たせることにする。
巣には出来損ないが一人いるがそんなやつ死んでも構わないだろう。
子供たちが我先にと人間の方へ行ったので俺様も行くことにする。
まったく、子供たちは俺のように強くもなければ賢くもない、だからいつも馬鹿な行動をする困ったやつらだ。
少し開けた場所に出るとそこには槍を持った人間がいた。
人間は弱いが武器を持ち、時には魔法を使う。
だから警戒が必要なのだ。
しかし子供たちは人間に会ったことがないからその危険を知らないし、教えてもすぐに忘れてしまう。
そしてもっとしっかり教えていなかったことを後悔することになる。
まずは小手調べに子供たちに行かせることにした。
すると人間は持っていた槍を構えた。
すると何故か子供たちが怯えだした。
何故かと思いその人間を見るとその人間が構えている武器にあることに気が付いた。
あの人間の持ってる武器の先端に付いているもの、それが俺も苦戦するほどの強者の一角の者たちの角だったのだ。
つまりこの男はあの一角よりも強いということなのだろうか。
しかしここで子供たちが怯えていては無駄死にすることになってしまう。
そこで俺様は子供たちに強く“殺れ!”と指示をした。
すると子供たちから怯えは消えてただ目の前の人間を殺そうと言う気持ちが満ちていくのが感じられた。
子供たちは一個のことにしか集中出来ないから危ういのだ。
そして挟み込むよう子供が動いた。
前から攻めた子供が先に人間の元について殴りかかる。
ああ、そんな攻撃では倒せる者も倒せないのに、そう思っていると人間が武器を子供の胸に突き刺した。
一撃、一撃で子供が死んだ。
これ以上殺されては堪らないので加勢に入ることにする。
こちらに人間が武器を振るってきたがそれを難なく掴み振り回して投げる。
それで武器を奪うことができたと思ったがそこには人間の姿はなかった。
どこにいったかと思えば今だ槍を掴んだまま離さずに飛んでいったようだった。
ふむ、中々いい根性をしているな俺様の子供よりもいい根性だ。
もしこれが俺様の子供ならきっと俺様レベルまで強くなるだろう。
だが残念だ。
こいつは子供や妻を三人も殺した。
だから殺さなければならない
そんなことを考えていると飛ばされた人間の近くにいた子供たちが追撃にいった。
あそこまで強く地面に打ち付けられたのだからもう動けないと思っていたがあの人間はまだピンピンしていて子供がまた一人殺されてしまう。
一人は石を当てられて呻いているがもう一人が殺された子供の後ろから殴りかかった。
するとその攻撃は人間に当たり、人間を吹き飛ばした。
前のダメージもあっただろうからそろそろくたばったかと思えばまた立ち上がり子供をまた殺した。
そしてそこからまた二人子供を殺した。
子供が絶滅した。
ただの人間ごときに殺されてしまった。
絶対に殺す!
だが一人では危ないかも知れないので妻にも協力を頼む。
妻を従え人間を殺しにいく。
勢いよく殴り付ける。
しかしそれを人間は回避してしまい、地面に衝突する。
体勢をたて直していると後ろからもう聞きなれてしまった音が聞こえた。
まさかと思い振り返ると妻が死んでいた。
そしてそこに立っているのは同族の血にまみれた人間。
そこで俺様の理性は飛びただ目の前の人間を殺すことしか考えれなくなった。
人間を思いっきり殴り付け吹き飛ばす。
遠くまで人間は飛んでいくがきっとまだ生きているだろうから追撃のために走る。
すると案の定人間は立ち上がったがもうふらふらで一撃殴れば倒すことができそうだった。
人間はあと少しの間合いを詰めてなにかしようとしてきた。
それに少し警戒したが理性の飛んだ頭ではまともに考えることが出来ずにそのまま進んでしまう。
そしてあと一歩というところで人間は強く地面に足をたたきつけて武器を投げた。
武器が目の前にまできて漸く自分が死ぬと言うことを理解した。
しかしもう妻も子供もいなく思い残すことはない。
いや、最後にあの人間を殺すことができれば最高だったのだが⎯⎯⎯⎯
そこでお父猿は絶命したのだった。
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