12 / 15
第十一話 猿猿猿猿猿ゴリラ猿猿
しおりを挟む目の前にいる猿たちは今までの猿と違いしっかりと統制が取れている。
その理由としては、この猿たちの中に一匹ボス猿がいるからだろう。
定石としては真っ先にボス猿を倒すべきなのだろうが、そんなことを他の猿たちがさせないだろうし、なにより他の猿をあしらいながらより強いボス猿を倒すなんていう芸当は俺にはできない。
そもそもあのボス猿に一対一を仕掛けても勝てるかどうかがわからない。
さて、どうしたものか。
腕力ではまず勝てないし、人数も相手の方が上。
それに相手には指揮官がいて統制も取れている。
こちらが優っているとしたらスピードと武器、それにポーション持っていると言うこと。
しかもそのスピードもボス猿の方が早いかもしれない。
これはもしや絶体絶命ってやつなのだろうか。
だが絶対に勝つことが出来ないという訳ではない。
何故なら優っている武器が圧倒的に強いのだから。
きっとこのナイフと角槍を多用すれば勝つこともできるかも知れない。
しかしそれはかなり低確率で、厳しいものになるということもわかっていた。
それでも、俺は生きると決めたのだから立ち向かわなければならない。
そう決意を決めているとボス猿が声を上げて、それに答えるように他の猿たちが声を上げた。
それ切っ掛けに猿たちが動きだした。
統制が取れているとはいえ結局は猿なので単純で直線的に攻めてくる。
しかし一匹ではなく五匹なのでそれを回避するのは中々難しい。
それに一撃貰うと死に直結するという緊張感が身体を硬直させる。
そして間一髪当たってしまいそうというところで我に返り飛び退き槍を構える。
するとその槍を見た猿たちの目に動揺と恐怖が写ったのが見えた。
この槍がどれほどの物か知らないだろうに、何故だろうかと考えると一つ思い当た節がある。
この槍はこの森に住む一角狼から得たもので、この猿たちもここで暮らしているのならあの凶暴さも理解しているだろう。
そして目の前にその角を持った者がいる。
それは警戒して当然の事だろう。
これが勝利の鍵になると考え、槍を振り猿を威嚇する。
ブンッ!
キィーキィー!
猿は及び腰になりながらもこちらを威嚇してくる。
そこにボス猿の声が響き渡る。
ヴキイイイ!
その声に他の猿たちは反応し、及び腰だったのが直る。
やはりボス猿を倒さない限り勝つのは難しいかもしれない。
そして猿たちがまた殴りに襲ってくる。
今度はしっかりと回避をして反撃する。
「シッ!」
ここ二日間の練習が項をそうして狙っていた箇所に命中する。
角槍は持ち前の鋭さで猿の胸に刺さり、貫く。
そこから血が放出されるが構わずその槍を右に裂くように動かし猿の上半身と下半身を分断する。
すると後ろから猿が襲ってくる。
それにギリギリで気付き槍で防ぐ。
防ごうとしながら気が付いたが槍の柄は黒い木材製なのでなので折れるかもしれない。
そして折れたら勝機はなくなる。
そう思い顔を青ざめていると猿の腕が槍の柄にあたる。
ガコン!
そこで柄は折れてしまうかと思いきや、木は折れずに猿の腕を弾き返す。
猿の攻撃は石をも砕いたというのにこの木はそれに耐えた。
つまりこの木は並みの石よりも硬いということなのだろうか。
まあどちらにせよ槍に丁度いい木を選ぶことが出来て命拾いしたことには変わりないので戦闘を続行する。
猿の攻撃により少し仰け反ってしまったが、体勢がを直して今だ仰け反る猿に攻撃を仕掛ける。
しかしその攻撃は横からきた別の猿により出来なくなってしまう。
その猿から距離を取ろうとするとさらにその先に猿がいて別の方向に避ける。
一匹倒している間に完全に囲まれていたようだ。
このままでは不味いとさらに避けた先にいた猿に槍を突き刺す。
そしてその猿は血を吹き出して倒れる筈だった。
しかし槍に何かを刺した感触が伝わってこない。
まさかと思い、振り返るとそこにいたのはただの猿ではなくボス猿。
そしてボス猿は右手で掴んだ槍を振り回し投げる。
手を離しては駄目だと槍を離さずに掴んでいた俺ごと飛ばされる。
うおっ!
あのボス猿、他の猿よりも圧倒的にに力が強い!
それに他の猿なら槍が刺さっていたところを槍を掴むということは多分賢さも他の猿よりも高い。
ううむ。
これはかなり厄介なやつだな。
飛ばされた先にいた猿が殴りかかってくるがそれを槍で肩を突き刺して捻り腕を落とす。
さらに其処から頭に槍を突き刺して絶命させる。
残り四匹、まだ後四匹もいるのだ。
投げられて打ち身をした身体を癒すためにポーションを飲み干す。
ポーションを入れる容器はリュックに入っていた水がペットボトルに入っていた為、そのペットボトルを使っている。
ペットボトルの容量は一リットル。
そしてそのなかには頑張って作った回復ポーションが並々入っている。
ポーションは一回に約二百ミリ飲まないといけないので、回復できて残り四回。
ボス猿と戦うときにと二回分は取っておきたいのであと二回まで雑魚処理に使える。
ポーションの効果で回復してきたところ猿が今度は二匹で襲いかかってきた。
そのまま相手にすると危険なので予め取っておいた石を一匹に投げ付けてもう一匹を殺しにかかる。
さるは右腕を振りかぶり攻撃使用としてくるがそれを避けて槍で突き刺す。
すると刺した猿の向こう側から猿の腕がのびてきてその腕が身体に当たり、軽く吹き飛ばされる。
襲ってきた二匹の猿に気を取られてもう一匹の存在を忘れていた。
急いでポーションを飲んで体勢を立て直す。
するとさっき石を当てた猿が目の前にまできていて腕を振りかぶる。
まだ槍を構えることが出来ていなく、避けるのは難しそうだ。
そこでポケットからナイフを取りだし猿の頭に投げつける。
すると簡単に猿の頭に突き刺さり猿は絶命する。
こちらがわに猿が倒れてくるので押し潰されないように避けて猿の頭からナイフを抜き取る。
そこに猿が二匹襲いかかってくる。
それを右に避けて二匹の猿の頭が重なっていることに気がつき同時に槍で貫く。
これで残りはボス猿一匹。
そう思っているとボス猿が叫び声をあげる。
すると森の奥からさらに二匹猿がでてくる。
忘れていたが猿の群れには猿が十匹いて前に倒した猿が二匹、今倒した猿が五匹、そし目の前にいるボス猿一匹で合計八匹、つまり残り二匹残っていることになる。
その二匹の猿は前に殺した年老いた猿のように筋肉があまり付いていなく雌なのがわかった。
きっと雌は戦えないからと後ろに待たせていたが、厳しそうなので呼んだということだろうか。
雌猿たちは筋肉があまりなく軽いため他の猿よりも素早く行動する。
ボス猿がこちらに走ってきて、それに追随するように雌猿も付いてくる。
ボス猿が走った勢いを乗せて殴りかかってくる。
そのスピードは他の猿よりも早く、スピードは俺と互角くらいと言うことがわかった。
ボス猿の攻撃はきっと防ぐことは出来なさそうなので右に滑り込むように避ける。
するとボス猿は勢い余って地面に衝突する。
今の内に刺し殺そうとするとボス猿の後ろにいた雌猿二匹が襲いかかってきた。
筋肉が無い分軽いがその分攻撃の威力も小さく、防御力にも欠ける。
襲いかかってきた雌猿二匹を片方は槍で突き刺し、もう片方は槍を持っていた手を離して飛び膝蹴りを顔面に喰らわせた。
槍で刺した猿は絶命して飛び膝蹴りをかまされた猿は悶え苦しんでいてそこに槍を突き刺す。
ヴギィイイイイイイイイイイ!!!
すると後ろからボス猿の今までで一番大きな叫び声が響き渡った。
その声には明確な怒りと殺意がこめられていて、家族を殺されて激怒していることがよくわかった。
猿はこちらに向かって怒りに任せて走ってきて殴りかかる。
突然の事に避けることが出来ずに槍で防ぐ。
ボゴォ!!
ボキィ!
幸い槍は折れなかったが吹き飛ばされて木に背中からぶつかる。
そして人体から鳴らしてはいけない音が背中から聞こえた。
背中が尋常じゃなく痛く、熱い。
骨が折れてしまったようだ。
背中が痛むなかペットボトルを取り出しポーションを飲む。
一回分では効かないと思い残り三回分を一気に飲み干す。
すると背中の痛みが少し引いていきギリギリ身体を動かすことのできるようになった。
しかしそれは本当にギリギリで長くは持たない事はよくわかっていた。
そしてもうボス猿と打ち合うことが出来ないことも。
次ボス猿の攻撃を受ければ確実に死ぬ。
例えボス猿を殺したとしても生きていることができるかわからない。
こんなことなら多少重くても防具を付けておくべきだった。
そう思いながらボス猿をみるともうあと数歩でボス猿の攻撃範囲内と言うところまでボス猿は近づいてきていた。
このままだとまともに槍を振るうことが出来ない。
だから俺は最終手段に出ることにした。
それは以前やって猿を軽々殺した技。
そう、投げ槍だ。
槍を肩から上に構えて助走をつける。
助走をつけたことによってボス猿との距離が大分近づいたがそれに構わず最後の一歩を今までで最大級に力強く踏み締め、槍を投擲する。
その時に背中からまたもや以上な音がしたがそれに構わず投げつける。
そして飛んでいった槍は見事にボス猿の頭を貫いて森の奥へと飛んでいった。
そしてボス猿は倒れ、俺もそれを見届けてから地面に倒れ伏した。
身体中が痛む中ポーションが効いてきたのか少し身体が動くようになり目を覚ました。
幸いここは拠点の洞窟に程近い場所にあって、洞窟まで這って進んでいき、作りおきしておいた再生ポーションを飲み、近くに置いてあった寝袋の上に移動して死ぬように眠った
0
あなたにおすすめの小説
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる