記憶の探索~記憶を探して男は冒険する

よりおん

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第十一話 猿猿猿猿猿ゴリラ猿猿

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目の前にいる猿たちは今までの猿と違いしっかりと統制が取れている。
その理由としては、この猿たちの中に一匹ボス猿がいるからだろう。

定石としては真っ先にボス猿を倒すべきなのだろうが、そんなことを他の猿たちがさせないだろうし、なにより他の猿をあしらいながらより強いボス猿を倒すなんていう芸当は俺にはできない。

そもそもあのボス猿に一対一を仕掛けても勝てるかどうかがわからない。
さて、どうしたものか。

腕力ではまず勝てないし、人数も相手の方が上。
それに相手には指揮官がいて統制も取れている。
こちらが優っているとしたらスピードと武器、それにポーション持っていると言うこと。

しかもそのスピードもボス猿の方が早いかもしれない。
これはもしや絶体絶命ってやつなのだろうか。

だが絶対に勝つことが出来ないという訳ではない。
何故なら優っている武器が圧倒的に強いのだから。

きっとこのナイフと角槍を多用すれば勝つこともできるかも知れない。
しかしそれはかなり低確率で、厳しいものになるということもわかっていた。

それでも、俺は生きると決めたのだから立ち向かわなければならない。
そう決意を決めているとボス猿が声を上げて、それに答えるように他の猿たちが声を上げた。

それ切っ掛けに猿たちが動きだした。
統制が取れているとはいえ結局は猿なので単純で直線的に攻めてくる。
しかし一匹ではなく五匹なのでそれを回避するのは中々難しい。
それに一撃貰うと死に直結するという緊張感が身体を硬直させる。

そして間一髪当たってしまいそうというところで我に返り飛び退き槍を構える。
するとその槍を見た猿たちの目に動揺と恐怖が写ったのが見えた。

この槍がどれほどの物か知らないだろうに、何故だろうかと考えると一つ思い当た節がある。
この槍はこの森に住む一角狼から得たもので、この猿たちもここで暮らしているのならあの凶暴さも理解しているだろう。

そして目の前にその角を持った者がいる。
それは警戒して当然の事だろう。
これが勝利の鍵になると考え、槍を振り猿を威嚇する。

ブンッ!
キィーキィー!

猿は及び腰になりながらもこちらを威嚇してくる。
そこにボス猿の声が響き渡る。

ヴキイイイ!

その声に他の猿たちは反応し、及び腰だったのが直る。
やはりボス猿を倒さない限り勝つのは難しいかもしれない。

そして猿たちがまた殴りに襲ってくる。
今度はしっかりと回避をして反撃する。

「シッ!」

ここ二日間の練習が項をそうして狙っていた箇所に命中する。
角槍は持ち前の鋭さで猿の胸に刺さり、貫く。
そこから血が放出されるが構わずその槍を右に裂くように動かし猿の上半身と下半身を分断する。

すると後ろから猿が襲ってくる。
それにギリギリで気付き槍で防ぐ。
防ごうとしながら気が付いたが槍の柄は黒い木材製なのでなので折れるかもしれない。
そして折れたら勝機はなくなる。

そう思い顔を青ざめていると猿の腕が槍の柄にあたる。

ガコン!

そこで柄は折れてしまうかと思いきや、木は折れずに猿の腕を弾き返す。
猿の攻撃は石をも砕いたというのにこの木はそれに耐えた。
つまりこの木は並みの石よりも硬いということなのだろうか。

まあどちらにせよ槍に丁度いい木を選ぶことが出来て命拾いしたことには変わりないので戦闘を続行する。

猿の攻撃により少し仰け反ってしまったが、体勢がを直して今だ仰け反る猿に攻撃を仕掛ける。
しかしその攻撃は横からきた別の猿により出来なくなってしまう。

その猿から距離を取ろうとするとさらにその先に猿がいて別の方向に避ける。
一匹倒している間に完全に囲まれていたようだ。

このままでは不味いとさらに避けた先にいた猿に槍を突き刺す。
そしてその猿は血を吹き出して倒れる筈だった。
しかし槍に何かを刺した感触が伝わってこない。

まさかと思い、振り返るとそこにいたのはただの猿ではなくボス猿。
そしてボス猿は右手で掴んだ槍を振り回し投げる。
手を離しては駄目だと槍を離さずに掴んでいた俺ごと飛ばされる。

うおっ!
あのボス猿、他の猿よりも圧倒的にに力が強い!
それに他の猿なら槍が刺さっていたところを槍を掴むということは多分賢さも他の猿よりも高い。

ううむ。
これはかなり厄介なやつだな。
飛ばされた先にいた猿が殴りかかってくるがそれを槍で肩を突き刺して捻り腕を落とす。

さらに其処から頭に槍を突き刺して絶命させる。
残り四匹、まだ後四匹もいるのだ。
投げられて打ち身をした身体を癒すためにポーションを飲み干す。
ポーションを入れる容器はリュックに入っていた水がペットボトルに入っていた為、そのペットボトルを使っている。

ペットボトルの容量は一リットル。
そしてそのなかには頑張って作った回復ポーションが並々入っている。
ポーションは一回に約二百ミリ飲まないといけないので、回復できて残り四回。
ボス猿と戦うときにと二回分は取っておきたいのであと二回まで雑魚処理に使える。

ポーションの効果で回復してきたところ猿が今度は二匹で襲いかかってきた。
そのまま相手にすると危険なので予め取っておいた石を一匹に投げ付けてもう一匹を殺しにかかる。

さるは右腕を振りかぶり攻撃使用としてくるがそれを避けて槍で突き刺す。
すると刺した猿の向こう側から猿の腕がのびてきてその腕が身体に当たり、軽く吹き飛ばされる。

襲ってきた二匹の猿に気を取られてもう一匹の存在を忘れていた。
急いでポーションを飲んで体勢を立て直す。

するとさっき石を当てた猿が目の前にまできていて腕を振りかぶる。
まだ槍を構えることが出来ていなく、避けるのは難しそうだ。
そこでポケットからナイフを取りだし猿の頭に投げつける。

すると簡単に猿の頭に突き刺さり猿は絶命する。
こちらがわに猿が倒れてくるので押し潰されないように避けて猿の頭からナイフを抜き取る。

そこに猿が二匹襲いかかってくる。
それを右に避けて二匹の猿の頭が重なっていることに気がつき同時に槍で貫く。

これで残りはボス猿一匹。
そう思っているとボス猿が叫び声をあげる。
すると森の奥からさらに二匹猿がでてくる。

忘れていたが猿の群れには猿が十匹いて前に倒した猿が二匹、今倒した猿が五匹、そし目の前にいるボス猿一匹で合計八匹、つまり残り二匹残っていることになる。

その二匹の猿は前に殺した年老いた猿のように筋肉があまり付いていなく雌なのがわかった。
きっと雌は戦えないからと後ろに待たせていたが、厳しそうなので呼んだということだろうか。

雌猿たちは筋肉があまりなく軽いため他の猿よりも素早く行動する。
ボス猿がこちらに走ってきて、それに追随するように雌猿も付いてくる。

ボス猿が走った勢いを乗せて殴りかかってくる。
そのスピードは他の猿よりも早く、スピードは俺と互角くらいと言うことがわかった。

ボス猿の攻撃はきっと防ぐことは出来なさそうなので右に滑り込むように避ける。
するとボス猿は勢い余って地面に衝突する。
今の内に刺し殺そうとするとボス猿の後ろにいた雌猿二匹が襲いかかってきた。

筋肉が無い分軽いがその分攻撃の威力も小さく、防御力にも欠ける。
襲いかかってきた雌猿二匹を片方は槍で突き刺し、もう片方は槍を持っていた手を離して飛び膝蹴りを顔面に喰らわせた。

槍で刺した猿は絶命して飛び膝蹴りをかまされた猿は悶え苦しんでいてそこに槍を突き刺す。

ヴギィイイイイイイイイイイ!!!

すると後ろからボス猿の今までで一番大きな叫び声が響き渡った。
その声には明確な怒りと殺意がこめられていて、家族を殺されて激怒していることがよくわかった。

猿はこちらに向かって怒りに任せて走ってきて殴りかかる。
突然の事に避けることが出来ずに槍で防ぐ。

ボゴォ!!
ボキィ!

幸い槍は折れなかったが吹き飛ばされて木に背中からぶつかる。
そして人体から鳴らしてはいけない音が背中から聞こえた。
背中が尋常じゃなく痛く、熱い。
骨が折れてしまったようだ。

背中が痛むなかペットボトルを取り出しポーションを飲む。
一回分では効かないと思い残り三回分を一気に飲み干す。
すると背中の痛みが少し引いていきギリギリ身体を動かすことのできるようになった。

しかしそれは本当にギリギリで長くは持たない事はよくわかっていた。
そしてもうボス猿と打ち合うことが出来ないことも。

次ボス猿の攻撃を受ければ確実に死ぬ。
例えボス猿を殺したとしても生きていることができるかわからない。
こんなことなら多少重くても防具を付けておくべきだった。

そう思いながらボス猿をみるともうあと数歩でボス猿の攻撃範囲内と言うところまでボス猿は近づいてきていた。

このままだとまともに槍を振るうことが出来ない。
だから俺は最終手段に出ることにした。
それは以前やって猿を軽々殺した技。
そう、投げ槍だ。

槍を肩から上に構えて助走をつける。
助走をつけたことによってボス猿との距離が大分近づいたがそれに構わず最後の一歩を今までで最大級に力強く踏み締め、槍を投擲する。
その時に背中からまたもや以上な音がしたがそれに構わず投げつける。

そして飛んでいった槍は見事にボス猿の頭を貫いて森の奥へと飛んでいった。
そしてボス猿は倒れ、俺もそれを見届けてから地面に倒れ伏した。

身体中が痛む中ポーションが効いてきたのか少し身体が動くようになり目を覚ました。
幸いここは拠点の洞窟に程近い場所にあって、洞窟まで這って進んでいき、作りおきしておいた再生ポーションを飲み、近くに置いてあった寝袋の上に移動して死ぬように眠った
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