記憶の探索~記憶を探して男は冒険する

よりおん

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第十話マジやばくね

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第十話 

猿を二匹倒してそろそろ二日程たった。
未だに魔力蓄積症を治す為の結合草を手に入れる目処は建たないでいる。

何故かというと、角槍やポーションといった道具を作る事によって能力の嵩ましは出来たが、それを使う者が弱ければ意味がない。

そのため今は少しでも強くなろうと洞窟付近で槍術の修行をしている。
きっと修行を積めば前のように狙った場所を外してしまうということも無くなるだろう。

それに、才能なのかはわからないが槍術の修行をしていると出来ないことが直ぐにできるようになっていく。
もしかしたら槍を握ったときにしっくりきたのと関係があって、記憶を無くす前に槍術でもやっていたのだろうか。

しかし、幾ら猿に楽々勝てるようになったところで、一角の魔物たちは猿を凌駕する能力を持っているので意味があまりないのだが。

そう考えつつ槍を突いていると、木の陰からなにか視線を感じる。
またか、そう思いつつ事前に用意していた石を投げつける。

ウキィ!

ッ!やはり魔物だったか!
実をいうとこのところ外で槍術の修行をしていると何時も何かに見られている気がしていた。

だが探しに行くと誰もいない。
そんなことを何回も続けていたので今度こそと思い石を用意したのだった。

そして、草むらから出てきたのは猿だった。
またか、この森には猿以外にも他の魔物がいるのに何故猿にしか出会わないんだろうか。
まあ確かにこの森のこの深さだとこの程度なのだろうが。

余談だがこの森はユニコーンがいると言われている小山に向かって行くにつれて魔物が強くなっていくようになっている。
ここは表層の方で、大した事のない魔物が多い。

石を当てられて怒り狂った猿がこちらに向かって来ると思って構えていたら、その猿は一目散に逃げていった。

咄嗟に槍を投げようとも思ったのだが、前探すのに一時間掛かったのがトラウマになっていて、猿を見逃す形になってしまった。

だがまあ、大したことでは無いだろうと思い放っておくことにした。

この判断が後で後悔することになるとは知らずに。


そろそろ夕暮れ時にという時に事件は起こった。
飯の準備でもしようかと槍術の修行を止めて洞窟に入ろうとしたその時であった。

後ろからもう聞き慣れた猿の声がした。
しかし問題なのが一匹ではなく何匹もの猿の声、しかも一度聞いた警戒の時の声だ。

しまった。あいつを逃がすんじゃなかった。
遅まきながらにそう思ったが現状そんなことを考えても仕方がない為、今をどうするか考える。

多分この猿たちは群れなのだろう。
しかし群れに追われる意味がわからない。
ここは猿たちの生息圏内ではあるが木が少なく猿たちはあまり寄ってこない。

ならば何か理由でもあるのだろうか。
そう考えると一つ思い当たる節があった。
この前倒した母猿と子猿のことである。

まさかとは思うが群れの仲間をを殺されて怒り狂って探しに来たということなのだろうか。

そして森の奥から明らかに怒っているボス猿のスマートエイプが表れた。
そして同じく怒っている猿たちが他にも五匹。

これはそのまさかですわ。

これは本格的にヤバイかも知れないな。
猿たちは甲高い声を出しながら俺を囲んでくる。
その姿は余裕ぶっこいた今までの猿とは違い、警戒していることがよくわかる。
そして一筋縄では行かないということも。



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