=短編集=

仙 岳美

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老人と密約

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 盆栽を弄る老人の元にある悲報が入った!

『そうか』
受話器を置いた。
奴が死んだ!
昨夜枕元に立ったの奴だったか……
(俺になにを?)
その時、学生時代に奴と交わした男同士の約束を思い出した……
時間は無い!
事は急を要する
また失敗は許されない
奴の名誉を守る為にも
果たさなければ行けない……
奴の家に急行した!
当然、葬儀の用意で遺族は急がしいと思ったが!
が考えてる暇は無い!
インターホン押した! 
中から奴の長女と思われる娘さんが出てきた
「すみません、この度はご愁訴さまです、友人の〇〇ですが、生前〇〇さんに貸していた物がありまして整理される前に引き取ろうかと思いましてお忙しい所とは重々承知の上ではありましたが大事な物なのでお伺いした次第で何卒……」
「そうですか、物はなんでしょうか?取って来ますね」
とニッコリしてくれた。
「あーえーと確か、硯だったと思います中へ……」
と言ってる途中に
「じゃチョット見て来ますね」
と娘は中に入って行ってしまった。
(セッカチな子だのう)
少しして戻ってきて、
「コレですか?」
と普通の硯を渡された……

此処で下がる訳にはいかない無礼承知でお願いした。
「これじゃ無くて、え~すみませんが中に上げてもらってよろしいでしょうか?」

「そうですか……ではどうぞ中へ」
どうにか奴の和室部屋に入れた、
(落ち着け自分なら何処に隠すかイメージするのだ)
その時閃いた!
まずは基本的なところからだ!
椅子に乗り押し入れの天袋(天井下)の方を覗いて見た、案の定、奥に怪しい段ボールを見つけた!📦
手を伸ばし引きずり出し、
手に抱えたら箱の底が抜けてそこら中に中身をバラ撒いてしまった!
(しまったたたたたた)
後ろから「あら」と声が聞こえた!
(ハッウー)
振り向いたら後ろには
奴の長女が立っていた
「大丈夫ですか?」
と近づいて来た!
(あーチョット待って!スローに見えた)
そして散乱した物を目にして
目を丸くしていた……
ショックを受けたのか
茶菓子とお茶と思われるペットボトルをを乗っけたお盆が
彼女の手から溢れ落ちて、畳の上に虚しく転がった……
(しくじったわー俺も老いたかーたしかに老人だけど)
目の前に転がって来たペットボトルをとりあえず手に取り蓋を開け 
「頂きまーす」とひらき直り一口飲み気を落ち着かせた……
彼女はアルミの小袋に小分けされた袋菓子を軽く叩き、俺に手渡しながら言った、
「ほほほ、失礼しました、では終わりましたら声かけてくださいね」
と、そそくさと部屋から出て行ってしまった(汗)

段ボールを回収し
河原に持って行きサラダ油をかけて燃やした……
煙は空に上がっていた……
その火で焼き焼き芋を作り、
食べて供養とした。
心の中で呟いた
『安心してくれ、全て俺の物という事でお前には無理を言って預かってもらっていたと言う事にしておいたよ』
(多分100%は信じてもらってはいないと思うけど)
(お通夜行きにくいな~🚬)
ちなみに箱の中身は何だったかは君達の想像にお任せする。
=了=
※フィックション
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