=短編集=

日記・最近の失敗

語り・仙岳美

　引越しの為、使わなくなった小物などを入れている、プラ性の透明な小箱の中身を整理していたら、昔にバイト用に使い、その労働の擦れがかさみ、バンドが切れてしまった事から、この小物箱行きになったデジタル腕時計が出て来た。
その時計はハッキリ言って数千円な安物である。ただ見ているとそのバイト時代の熱い心を持った先輩を思い出したりもする。
電池は、その先輩の様に不屈に、まだ切れてなかったが、表示されている時刻文字は購入から推定七、八年は時が経っている事から流石に薄くなっていた。
　
　時代の流れで私もスマホを持つ最近となっては、腕時計を付ける事は、ほとんどなくなったわけでその時計を捨てるかどうか少し悩み、近くに時計屋がある事情と暇な事、それに最近気分が何かと停滞気味な私は、その熱い先輩にあやかりたいとも思い、その時計に新たにバンドを取り付ける気になった。
　
　それなりの時計だから、それなりの千円弱のバンドを付け、電池交換もし、その時計を数年ぶりに腕にしてみると、なかなかに軽くて良い、スマホの重さも気になり出したお年頃の自分には、着のみ気のままの散歩用にも良さそうに思えた、それにデザインを無視し見やすさだけを、追求した簡素な、いさぎよいデザインも良い……。
ただ後で、その時計は、あのAm⚪︎zonで、今は千円以下で売られている事を知った……新型の新品買えたじゃん！　それも二個！（二個もいらんけど）

あとがき
　その後は、まあ想い出の復活料と環境に優しいエコ活動をしたと言う事に思い、自分を諌めました。
以上が社会の隅でのセコい私の失敗談でありました。

題材・スタンダードカシオ［Fー201］
※少しこの時計の事を調べましたので記しておきますと、チープCASIOと言う通称で親しまれているシーリズ時計との事。性能は安いながら多機能で、生活防水、アラーム、ストップオッチ、時報、曜日日付、
日本の時刻以外に外国などの時刻を表示可能（電波修正機能は無し、手打ち）
電池は十年程持つとの事（使い方によると思うけどね）
バックライトは全体的では無く、ディスプレイの角隅に搭載された小さい緑のLEDライトが一秒半程光り、薄っらと照らしてくれる（この蛍の様な光をあてにする微妙に不便な感じが、私は何かエモくもあり、可愛くも感じる）
あと良い所は裏蓋の脱着がネジ式なので自分での電池交換も安易でコスパ良しで優しい。（私はバンド交換と共に時計屋に頼みましたけど）
ネットには多数の改造動画などもありました。
ちなみに私のは、デザインが少し違うので旧タイプなのかな？