R18・未知の彼女

仙 岳美

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03 未知との盃交信

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※AI校正

噂の未知との遭遇からの続き。

03 未知との盃交信

 あれから一月ほどは彼女とユーホーを撮ろうと公園に通い、日暮れから深夜まで粘っていたが、稀に流れ星や火球は撮る事はできたが、ユーホーを見る事は無かった。
そして遂に公園にも行かなくなり、週末はユーホーを撮る為に買ったはずのビデオカメラで、彼女とハメ撮りをお互いに撮り合う始末だったが、これが結構面白く、良い息抜きにはなった。
そんなある日、彼女は裸でベッドに寝転がりカメラをいじりながらハメ撮り映像を編集しながら言う。
「ユーホーに詳しい人いるんだけど会ってみる?」
俺は、まだ変人はいるのかと思った……
「どんな人?」
「男」
「え! 何それ~ 誰なの~?」
俺は焦って彼女に詰め寄る。
「はっはは近い! 嫉妬した、安心して私の親戚の叔父さんのご老人よ」
俺は彼女の胸に頬を押し付けながら、
「あまり揶揄わないでくれ、本気にする方だから」
「ゴメンゴメン、かれこれ三十年近くユーホー追ってる」
それを聞き、俺は、本格的にヤバい筋金入りの本物の変人の黒幕が出て来たな~と思った、盃を交わすのか……『酒飲めないけど』
俺も好奇心があるので少しどんな人か見てみたい気にも成り合う事にする。
それに彼女が知ってる事で、自分が知らない事があるのもイヤなので……

 それからも彼女は胡座をかいた体勢で俺に乳房を吸われながら平然とした顔でビデカメを弄っていた……
俺は少しそれが不満に感じた……。

 それから週末、昼少し前にアパートに着くと、彼女は、オフロードタイプの原チャリ二台、エンジンを温め、俺を待っていてくれた。
「じゃ、レッツゴー、私の後に着いて来て」
「オッケー」
俺は暴走属性の彼女の走りを想像し覚悟していたが、彼女はハッキリ言ってセックスも頭も性格もめちゃくちゃな割には安全運転だった、速度制限を意識して三十五キロ程のスピードを維持していた。
左右確認一時停止も当たり前だけどしっかりやっている。
その事に何か拍子抜けしてしまい、意外に普通の人で、普段変人の馬鹿なフリをしてるだけなのかも知れないと思い、少し残念にも寂しくも思える……。

 彼女はコンビニに寄り、焼酎四リットルのペットボトル一本と、
「おじさんは揚げ物、大好きなの」と
揚げ物を多種多量に買う。
揚げ物の袋から良い匂いがしていた。
俺の物欲しそうな視線に気づいたのか、彼女は「少し摘んじゃおうか」とコロッケを一つ俺に渡してくれる、それを食べ終え、少し休んだら再び出発し、道質は整備が不十分な凸凹な山中の薄暗い山道に段々と変わっていくがオフロードバイクだから問題は無い、そして道はバイクが一台がやっと通れる程の畦道になっていった。
 道の横には、枯れかけた小川が平行して流れており、やがて小川の水は完全に枯れ、その小川跡のほとりに佇む平屋が見えてくると、彼女は一旦止まり、ヘルメットのシールドを跳ね上げ、後方の俺の方を振り向き、ニコリとし、
「あそこよ」とその平屋を指差す。
その平屋は木造で古そうだったが、見た目には壊れてる所は無く、手入れは行き届いてるように思われたが一つ気になった事とは、屋根に丸い衛星アンテナが五枚も設置してあった……その見栄えから、平屋が何かを観測する基地にも見えてくる。

 バイクは家の脇の芒まみれの小さい空き地に突っ込む様に留める。


十二時

早速彼女がブザーを押す。
《ブーーー》と音が外まで木霊し、
「来たか」と後ろから声をかけられ、俺は意表を突かれ「イッ!」と声を発しビックリする。
「ちょっと散歩に行ってたわ、まぁ入れ」
老人と聞いていたので甚平姿を勝手に想像していたが、その老人は、白いワイシャツにノーネクタイの黒いスーツ姿だった、背中は少し猫背だったがそれでも百七十五センチの俺より目線は高く、百八十センチは超えてる様に思われる。
頭髪は完全に白髪で少し薄くなってる程度、もみ上げは蓄えた髭に繋がってる感じで肌の色は血色の良い肌色で鼻は高く彫りは深く、その姿は外人の様であった。
若い時はさぞかしモテた様に感じる。
そして、その白髭の老人は俺を見てニヤリとして言う。
「君も入れ」
「はい、よろしくお願いします」
「まぁそう固くなる。ワシは硬いのは嫌いなんじゃ。自然に上下関係が成立する挨拶もな。人間ハートで通じればそれで良いのじゃ、テレパシーだ」
『テレパシー』
いきなり危ない単語と思想が出て来た。
俺は恐る恐る家の中にお邪魔した・・
玄関にはユーホーらしき物が写った白黒写真が壁に掛けてあった……
黒い猫もいた……
玄関から真っ直ぐ廊下が伸びていた。恐らく先に風呂とトイレがあるのだろうと思った。俺は入ってすぐに右側に見えるスライド式ドアの先のリビングに通された。中は彼女の部屋の様に本棚が壁全面に置かれていたただ、彼女の家みたいに床に積まれてる本はなく綺麗に整理はされており、その眺めは精悍にも見えた。収められた本種は夏目漱石や司馬遼太郎などの昭和やそれ前の作家の全集が多かった、ベッドは無く、寝室は別に思えた。
部屋の窓側の庭が見えるソファーに俺が窓側その横に彼女が座り老人とは対面する様な感じになった、飼い猫も近づいてきた。
外に見えてる庭の角には柿の木とその根元に屋根付きの道祖神らしき物が祀ってあった。
膝に猫を抱いた老人はいきなり俺に話しかけてきた、
「君はなにか、彼氏か?」
「はい、まぁそうです」
「そうか、羊羹食うか?」
「え、あっ、はい甘い物は好きです」
(俺は餡子系は苦手だったが気を使って好きと言ってしまった)
「おーい、冷蔵庫に羊羹あるから適当に切って持って来てくれ」
自分で用意する訳では無いらしい……
彼女が素直にテキパキと言う事を聞いている。
その事から老人からは中々のカリスマ性を感じる。
しばらく沈黙の空間になった……
(ヤバい俺は本来人見知りで初対面の人とは話すのは苦手なのだ)
その時、俺の事を察してか、
「話すの苦手なら無理にはいいぞ、ワシも若い時はそんな感じじゃった、全てわかっておる、君は優しい人だ、まぁワシの事は気にするな機嫌も取らんで良い」と老人はニヤリとした。
その時、小皿に乗った羊羹とお茶が到着した……
 
 俺はとりあえず……彼女らしく分厚めに切られた羊羹を口に入れる。
「どうじゃ、うまいか?」
「はい、美味しいです」
「そうか、じゃワシの分も食え」
と皿を俺の方にズラしてきた俺は油断して少し嫌な顔をしてしまった!
「わっはは、ジョークじゃ、おーい、持って来た、揚げ物を適当に持って来てやれ、ソースとマヨもな~」
「……」
「君は酒は飲むのか?」
と俺の返事も待たずに、後ろの酒棚から芋焼酎を取り出してきた。
「お酒は体質的ダメなんです」
「そうか~君もか~つまらんの」
「すみません、どっちみち、バイクで来たんでお酒は……」
「え、泊まらんの?」
「え、」


と台所から彼女の声が届いた、

「そうか、残念じゃのう、ところでそろそろ本題に入るか岳」
「はい」
彼女が台所から戻ってきた。
彼女が両手に持ってるお盆には、大皿に盛られた揚げ物とライス大盛りのドンブリ、その上にキャベツの千切りが大盛り……(凄い量、コレもう晩飯でしょ……)
そしていよいよ飯を食いながらのユーホー談義と思いきや、老人からの第一声は違う内容の物だった。
老人は湯呑みで芋焼酎のロックを飲みながら、
「ところで、ワシが書いた小説がまだサイトに投稿されてないが? メルは届かなかったか?」と俺のコップにコーラを注ぎながら老人は彼女に訊く。
「アレはダメです、内容が下品過ぎます、だいたい誰ですか? かすみちゃんて馴染みのキャバクラ女ですか? 私が困ります、荒れます、気が病んでる人もいる所なのでもう少し配慮して下さい~修正するのも私ですし……」
「荒れるか~ 喧嘩相手がいるのも楽しい事と思うがのう~」
「めんどくさいです~生産性ゼロです」
「ワシはsnsで絡まれると気持ちいいじゃがな、特に女の子には」
「それは、変態ですよ~」
「ワッハハハ、そっかー、そうか残念じゃな、今度のは傑作だと思ったんじゃがな~」
「叔父さんの分身みたいなワシキャラとのコラボはもういいですよ~、私の物語と合わせるの大変なので色々と……」

 最近彼女の書いてる長い小説の物語は一応は終わったが、俺は目の前の二人の会話を聞いてると、何やら彼女の小説の中の人達が遂に現実の世界に転生復活し飛び出て来た様な気がした……そのうち、あの国語の先生のモデルになった人も出て来そうな気がした……
俺も会話に入らなければいけないと思い勇気を出して自分から会話を切り出した、
「ところでユーホーは詳しいんですか?」
「ん、ワシか? 詳しいと言うより好きかな」
「玄関の写真は、過去に撮れた物ですか?」
「あれは残念ながら、雑誌のコピーじゃ」
「……」
「これがの~言いわけ臭くなるが、カメラやビデオ持ってない時に限って奴らは現れんじゃ、ワシは遊ばれてるようじゃ、宇宙人にも孫にも本当じゃよ」
と老人は君もだろうと感じで男同士にしか感じる事ができないテレパシーを俺に送りニヤリとした(まぁ確かに俺は夜、たまに彼女にマニアックに遊ばれている……その映像も彼女のビデオカメラの中に人質の様に保存されてしまっている……その場のノリって怖い(汗)そのうち交渉して消してもらわないと……)
「まぁ撮れたら撮れたで目的が達成してしまったようでロマンが終わってしまい、寂しくなると思うから焦ってはおらん、ワシは百三十まで生きるし」
変な人にありがちな根拠のない事を信じている感じは受けたが結構そういう人の方が本当に長生きするような気もしたし、この老人が早死にする気は何もしなかった言葉は悪いがシブとそうだ……
彼女は彼女でもう話しには入って来ずに食事に夢中でたっぷりソースをかけたトンカツに犬歯を立ててカブリついていた……
彼女は何故、俺をこの人に合わせたのかは分からなかった……

午後四時
 食事が終り、コーヒーを飲みながら何気ない雑談をし、その後、晩御飯の食材の買い出しがてら近くの河川敷まで行き、三人で空を眺めたが当然ながら都合良くユーホーらしき物は飛んでいなかった。
期待していないのか、彼女の叔父さんは特にカメラなどの撮影する機材は持って来なかった。
案外この初期のオタク世代の叔父さんは姪っ子である彼女に相手をしてもらいたいだけの理由で、小説もユーホーも趣味合わせでやってるだけなのかも知れない気がその時に感じた、彼女もそれは何となく感じてる気がする、その雰囲気は暖かく友達のいない俺には羨ましくも感じた、そんな俺達の周囲に吹く風も暖かく春の気配を感じ気持ち良かった……
ふと考えたここに俺がいる理由……
彼女は俺の拭いきれない孤独を察知し仲間に入れてくれた、だけなのかも知れない……
また彼女だけで孤独を満たせなかった事に申し訳ない気持ちになった……
唯、彼女も孤独だとしてそれが俺がいる事で解消するならば俺は彼女がいる限りは孤独ではない気もした……
そんなふうに思った時、長年背負っていた呪縛が解けて気持ちが軽くなり素直に世界を見られる気がし、土手から視界に広がる交差する運河はキラキラと輝く十字架に見え、その運河を背景に空を見つめる彼女の髪も微風に吹かれキラキラ揺れていた。

[終]

追記
 晩飯のすき焼きの内容は九割が肉だった、二人の食欲には付いていけない気がした……帰ろうとすると繰り返し引き止められて、結局その日はしょうがなく泊まって翌日の午後に帰宅した…… 

[続]



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