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17 狼の帰還の巻

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17 狼の帰還の巻

22:30…

辺りは満月の光で青い世界だった……

 先生は目を覚ました。
起きようとしたので僕は先生の背中を支えながらお越した。
「先生大丈夫ですか?」
「ここは?」
「公園です」
僕は先生にゆっくり麻美との経緯と
絡んできた帝国兵は大声で助けを呼んだら、それだけで逃げて行ったと話した。
「そう、仙身君は、怪我ない? 大丈夫?」
「安心してください、僕は先生に鍛えられているので、何とも無いです」と笑って見せた。
先生は安心したのかニッコリした。
先生とベンチでお互いに黙って少しの間座っていた……
「先生そろそろ」 
僕は先にベンチから立ち上がった。
「……」
ベンチにまだ座ってる先生は僕を見上げ見つめて来た……その先生の瞳は満月の光で蒼く光っていた。
先生は僕の手首を掴んだ。
僕は先生の眼差しで全てを汲んだ。
僕は頷いた。
先生も頷いた。
先生が立ち上がったその時、何処からか突風が吹いた! 先生はその風を背に受け、よろけて僕に倒れかけてきた、僕は先生を身体全体で支えた、僕は先生を抱いたまま片膝で跪く感じになった……。
先生は僕の背中に腕を回してきた……。
僕の顔を見上げた先生の瞳は潤んでいた、僕は、その先生の瞳に吸い込まれる様に、そのままキスをした。

 二人の影の後ろには大きな青い満月が祝福し、見守る様に光輝いていた……。

 先生とホテルに向かった、途中で先生が僕に腕組みをし体を密着させてきた、先生が先生でなくなった瞬間を感じた……遠くで狼の遠吠えが聞こえた……その時、僕の中の狼は遠吠えと共に使命を終え、月に帰って行ったように思えた。18へ続く。

=後書き=
 こんにちは、読者の中にはもう気づいておられる方はいると思いますが、この物語の裏には三国志が隠れています。そこで三国志演義後半のクライマックスの赤壁の戦いの様に神風的突風を吹かせて見ました。ちなみに麻美の腕組みがきっかけで先生が三角関係に加わったのも三国志の公明が呉の国を戦争に巻き込んだのに連想させる様に重ねて表現しています。まあ作者の遊び心ですので三国志を知らない人はスルーして下さい。
最後に物語の中に何故、三国志要素を入れたのか? と言うと、答えは簡単、男の子は三国志好きでしょ……違ってたらごめんね。
後は何となく深層心理的に飽きずに話しに付いて来てくれるかな~と……。

※東南の風、三国志演義で呉の国に攻め込んだ魏軍が火災で敗北したきっかけになったと言われている神風。
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