少し怖いホラー短編集(文字数千以下)

仙 岳美

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GUCCIの黒財布

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GUCCIの黒財布

 夏の日、無職で気分が冴えない散歩中の僕は気分が悪くなり、木の日陰に避難すると、芝生の上に転がるサングラスを見つける。
百均かと思い、それをかけて見ると、何かかけ心地使がとても良い事から、このサングラス百均では無いと思い、良く見るとフレームにGUCCIの文字を見つけ。
僕は「ああ」と声を上げる。
そのブランド名は世界に知れ渡っていて、僕でも知っている。
そして何やら、高い声質の女性の呟きが聞こえて来る。
「サングラスよ~出て来てくれ~、やっぱりグレちゃたかな、GUCCI(愚痴)だけに……ぷっぶー」

僕はその人に声をかける。
「サングラス此処にありますよー」
その人は「おおっおー」
と声を出しながら僕に駆け寄って来る。
僕はサングラスを差し出す。
その人は「あんがっと」とそのサングラスをかけ、デカい財布を取り出し、「はい、二割」
と万札を二枚も僕に差し出す。
僕はビックリしやや引き気味な心持ちで手を横に振り断るも。
「いいから」と。
僕は再び手を拒絶する様に一回目よりやや強めに横に振る。
「いいから」
三回目は断るのも失礼と思い。
「じゃ一枚だけ」と一枚引き抜く。
女性はカラカラと笑い。
「君は欲無いね~でもそれは良い事だよ、大事にしなよ」
と、言われた僕は苦笑い浮かべる。
その人とはそれ迄の縁だった。
でも何かGUCCIに魅せられてしまい一番安い、とは言えども高い財布を貯金の全てを使いポチってしまう。
 数日後、騎士が持つ様な洗練されたデザインな折り紙付きの黒い二つ折り財布が届く。
僕は早速その高級財布を使い始めると、何か財布だけが僕の世界で浮いている気がする。
そこで僕は自分が出来る事をして見る。
それは靴に着いた泥を小まめに拭き取るとか、髭は朝夕に剃る、風呂は毎日入る、少しでも破れた服は着ない、早寝早起き、人の悪口陰口は言わない、目上の人には敬語を使う、暴飲暴食を避け身体を少し鍛える、渋谷の悪友からもらった怪し薬は断つ、クレジットカードを一枚作る、フラフラした無気力な人達との交友関係は断つ、など色々と心身の浄化行動を実行してみる。
すると金運が上がった様に全てが上手く廻り出す。
そこで初めて皆が騒ぐブランド物とは、やはり長く世の中を生き残ってきただけあって、何か不思議な力が宿っているんだな~と気づいたりする。
それからワイシャツにカフスボタンを付ける様になった僕であるが、GUCCIは後にも先にもその財布だけである。
そう、これで良いのである。

[終]

お題・サングラス

あとがき
 私は一つも持っていない……多分。
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