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48 忘れ物……ノ巻 生徒手帳残記13
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ドッサ!
その夜、製菓営業マンの俺は会社から戻ると服も着替えずにベットに倒れこむ様に伏せたその時……枕元に何か懐かしい気配を感じた、そして今日の出来事を思い浮かべた……。
* * *
語り・師明 帯斗 (しめい おびと)三十歳
真夏日、故郷でもある島のバス停の前で俺は唖然としていた。
「何だー! この相変わらずのド田舎は、バスが2時間に一本ってあり得ないだろう、やる気あんのか?、クソが!」
そう怒鳴り、タクシー乗り場に視線を飛ばすが、タクシーもいない……
『なんだよ、ここからは、歩けってことかよ……』
社会は此処十年で手の中におさまるスマホのおかげで何でも自分で瞬時に手軽に調べられるように変わった。だがそれは全て自己責任の、言い訳の効かない逃げ道の無い、社会に変わったとも言えた。その世界の変わり様が俺には日々苦痛だった。
その事から、最近はストレスも溜まり、寝不足気味でもある俺は「ちぃっ!」と舌打ちし『俺は奴隷なのか! それとも何か! 事前に調べて無い俺が悪いってか!』
そんな感じにイライラしだすと居ても立っても居られない気持ちになり、中場ヤケクソ気味になり、出身者と言う理由だけで押し付けられた、その湧いた話しの訪問先である、田舎の小さいスーパー迄、『もうめんどくせー、わかったよ、歩いてやんよー!』と、徒歩で行く事にした。
ちなみにそこへ行く理由は、新規の顧客開拓である。
地元とは言え、住んでいた家の方角的に、利用した事の無いスーパーだった。
おまけに事前のアポ電も時間を変え数回したが、呼び出しにはなるが、一向に出てくれる事と無く、不気味に感じていた。
その事からどんな店主が待ち受けているのかも不安だった。
そう全てが不安な気持ちになる様に、俺の精神は病んでいた……。
高校生の時の記憶にも残っている、長く伸びる野原の一本道をゆく、道以外何も無い……その道中、最初は何か頭が重く感じ次第に膝に力が入らなくなり。
やがて……
ヤバい、そう思った時は進むも引き返すも、危機的な状態な事に自分が立たさせれている事に気ずいた。
『救急車を!』そう思い、慌てて内ポケットからスマホ取り出すが、やな予感は的中し、電波は圏外だった。
空に太陽がギラギラと燃えていた。
俺は思った。
『おてんとうさまは、全てをお見通しじゃないのかよ? 正義の味方のはずだろうよおおおお! 何故に俺を苦しめる』
少しして、神でもある太陽がもう狂ってる時代だった事を思い出した……
『もう悪魔でも悪霊でもいい、助けてくれ、何でもくれてやる!』
意識が飛びそうになる苦しさの中、俺は、ふと、当時、鬱の俺を……もう一回言う、鬱の俺を、容赦無く鍛えてくれた高校の担任を思い出した、その先生は女性だった、その先生の鍛え方が良かったのか、俺の鬱はどこかに飛んでしまった。その先生には複雑な心持ちは残ってはいるが、一応は恩人である。
そんな昔の事を思い出す、いわゆる走馬灯である……。
『元気なのかな先生は……一番出来の悪かった生徒の俺をもう一回だけ、助けてくれないかな……ダメか、もう卒業したもんな俺は……へっへへ、教えの通り……最初は自分で何とかしてみるか……基本人生に諦めは無しだもんな』
俺はうめきながらそう思い、師の教えを思い出し、ピンチの時、まずは深呼吸をしながら周囲の状況を広く小さく見渡す……すると少し先の茂みの中に赤い色を見つけ、俺は何かに引き寄せられる様にその赤を目指した。
草を掻き分け、確認したその赤は小さいお地蔵さんに立てかけられた刀……いや、それは鞘の様に紐付きで、肩掛けもしくは背中に背負い、使用できる感じの長いホルダーケースに納められた少し大きめな傘だった。
俺はその傘を手に取り。
『しめた! 遮光傘だ』そう思った。(いわゆる日傘、そしてその傘は大ぶりなわりには恐ろし軽く、空気抵抗もどういう仕組みなのか? ほぼ感じなかった、それは未来の代物に後で思えた)
俺は、すぐにバサッとその傘を開いたその瞬間、周りの温度が少し落ちたのか、気持ちが少し落ちつき、更に運が良い事にその足元の小さい地蔵の前に小さい水のペットボトルが供えられていた、手に取り賞味期限を確認する……『昨日か!』故に、問題無いと判断し、蓋を開けユックリと口に含む……緩いが美味かった、水とはこんなに美味い物なのかとさえ思った……俺はしばらくそこにしゃがみ込んでいると荒れた息が落ち着いて行くのを感じた。やがてゴロロと空が鳴り、風が吹き、雨が振り出し、周囲の荒熱は下がっていった。
俺は、何やらキラキラと雨が光る事で神秘的な空間に変わった、その場に、しばらく心が閉じたような無の気持ちに成り立ち尽くしていた。
……やがて心は再びユックリと、それは蓮子の花が開く様に開き出し、外回りが仕事の俺には厄介物に感じていた雨も先程喉を潤してくれた水同様に、こんなにありがたい物なのかと感じた、その時の気持ちは、心が洗われる様だった……
俺のその場に少し留まり、やがて体調は回復し再び歩き出し目的の小さいスーパーに辿り着く事ができた。
だがそのスーパーは、もうシャターは降り、陽に焼けた閉店の紙が貼ってあった、確認すると閉めたのは三月前。
俺は残念に思えたが、ここまで来た事が個人的には無駄に感じなかった、それは奇跡を感じ、何か自分を取り戻せた気がしたからだ。
* * *
家に戻り、安堵した俺は、久しぶりに深い眠りへと落ちて行った……
……その最中、傘を店の前に忘れてきた事を思い出した、でもそれで良いと思った、何故なら、あの傘は、最初から一時的な授かり物に感じていたからさ………
[終]
題材・忘れ物と無くし物
それは、超常的な者から与えられた使命を帯って、あなたの手を一時的に離れた物なのかも知れない。そう誰かを救う為、時には過去、未来へと……。
その夜、製菓営業マンの俺は会社から戻ると服も着替えずにベットに倒れこむ様に伏せたその時……枕元に何か懐かしい気配を感じた、そして今日の出来事を思い浮かべた……。
* * *
語り・師明 帯斗 (しめい おびと)三十歳
真夏日、故郷でもある島のバス停の前で俺は唖然としていた。
「何だー! この相変わらずのド田舎は、バスが2時間に一本ってあり得ないだろう、やる気あんのか?、クソが!」
そう怒鳴り、タクシー乗り場に視線を飛ばすが、タクシーもいない……
『なんだよ、ここからは、歩けってことかよ……』
社会は此処十年で手の中におさまるスマホのおかげで何でも自分で瞬時に手軽に調べられるように変わった。だがそれは全て自己責任の、言い訳の効かない逃げ道の無い、社会に変わったとも言えた。その世界の変わり様が俺には日々苦痛だった。
その事から、最近はストレスも溜まり、寝不足気味でもある俺は「ちぃっ!」と舌打ちし『俺は奴隷なのか! それとも何か! 事前に調べて無い俺が悪いってか!』
そんな感じにイライラしだすと居ても立っても居られない気持ちになり、中場ヤケクソ気味になり、出身者と言う理由だけで押し付けられた、その湧いた話しの訪問先である、田舎の小さいスーパー迄、『もうめんどくせー、わかったよ、歩いてやんよー!』と、徒歩で行く事にした。
ちなみにそこへ行く理由は、新規の顧客開拓である。
地元とは言え、住んでいた家の方角的に、利用した事の無いスーパーだった。
おまけに事前のアポ電も時間を変え数回したが、呼び出しにはなるが、一向に出てくれる事と無く、不気味に感じていた。
その事からどんな店主が待ち受けているのかも不安だった。
そう全てが不安な気持ちになる様に、俺の精神は病んでいた……。
高校生の時の記憶にも残っている、長く伸びる野原の一本道をゆく、道以外何も無い……その道中、最初は何か頭が重く感じ次第に膝に力が入らなくなり。
やがて……
ヤバい、そう思った時は進むも引き返すも、危機的な状態な事に自分が立たさせれている事に気ずいた。
『救急車を!』そう思い、慌てて内ポケットからスマホ取り出すが、やな予感は的中し、電波は圏外だった。
空に太陽がギラギラと燃えていた。
俺は思った。
『おてんとうさまは、全てをお見通しじゃないのかよ? 正義の味方のはずだろうよおおおお! 何故に俺を苦しめる』
少しして、神でもある太陽がもう狂ってる時代だった事を思い出した……
『もう悪魔でも悪霊でもいい、助けてくれ、何でもくれてやる!』
意識が飛びそうになる苦しさの中、俺は、ふと、当時、鬱の俺を……もう一回言う、鬱の俺を、容赦無く鍛えてくれた高校の担任を思い出した、その先生は女性だった、その先生の鍛え方が良かったのか、俺の鬱はどこかに飛んでしまった。その先生には複雑な心持ちは残ってはいるが、一応は恩人である。
そんな昔の事を思い出す、いわゆる走馬灯である……。
『元気なのかな先生は……一番出来の悪かった生徒の俺をもう一回だけ、助けてくれないかな……ダメか、もう卒業したもんな俺は……へっへへ、教えの通り……最初は自分で何とかしてみるか……基本人生に諦めは無しだもんな』
俺はうめきながらそう思い、師の教えを思い出し、ピンチの時、まずは深呼吸をしながら周囲の状況を広く小さく見渡す……すると少し先の茂みの中に赤い色を見つけ、俺は何かに引き寄せられる様にその赤を目指した。
草を掻き分け、確認したその赤は小さいお地蔵さんに立てかけられた刀……いや、それは鞘の様に紐付きで、肩掛けもしくは背中に背負い、使用できる感じの長いホルダーケースに納められた少し大きめな傘だった。
俺はその傘を手に取り。
『しめた! 遮光傘だ』そう思った。(いわゆる日傘、そしてその傘は大ぶりなわりには恐ろし軽く、空気抵抗もどういう仕組みなのか? ほぼ感じなかった、それは未来の代物に後で思えた)
俺は、すぐにバサッとその傘を開いたその瞬間、周りの温度が少し落ちたのか、気持ちが少し落ちつき、更に運が良い事にその足元の小さい地蔵の前に小さい水のペットボトルが供えられていた、手に取り賞味期限を確認する……『昨日か!』故に、問題無いと判断し、蓋を開けユックリと口に含む……緩いが美味かった、水とはこんなに美味い物なのかとさえ思った……俺はしばらくそこにしゃがみ込んでいると荒れた息が落ち着いて行くのを感じた。やがてゴロロと空が鳴り、風が吹き、雨が振り出し、周囲の荒熱は下がっていった。
俺は、何やらキラキラと雨が光る事で神秘的な空間に変わった、その場に、しばらく心が閉じたような無の気持ちに成り立ち尽くしていた。
……やがて心は再びユックリと、それは蓮子の花が開く様に開き出し、外回りが仕事の俺には厄介物に感じていた雨も先程喉を潤してくれた水同様に、こんなにありがたい物なのかと感じた、その時の気持ちは、心が洗われる様だった……
俺のその場に少し留まり、やがて体調は回復し再び歩き出し目的の小さいスーパーに辿り着く事ができた。
だがそのスーパーは、もうシャターは降り、陽に焼けた閉店の紙が貼ってあった、確認すると閉めたのは三月前。
俺は残念に思えたが、ここまで来た事が個人的には無駄に感じなかった、それは奇跡を感じ、何か自分を取り戻せた気がしたからだ。
* * *
家に戻り、安堵した俺は、久しぶりに深い眠りへと落ちて行った……
……その最中、傘を店の前に忘れてきた事を思い出した、でもそれで良いと思った、何故なら、あの傘は、最初から一時的な授かり物に感じていたからさ………
[終]
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