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方向転換で膝を怪我する女冒険者
プロローグ:田植え
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次の日、受付に来た女冒険者サリーを受付嬢エリカがフジカルがいる地下訓練場に案内している。
昨日、フジカルが森でサリーたちと出会ったときには、サリーは鎧をつけて剣を持っていたが、今日は武装していない。
流石にスカートなどではなく、いわゆる動きやすい格好というものだ。
ダンジョンで繰り返してしまう膝の怪我をどのように防いでくれるのか、サリーには全く見当がつかなかった。
ただ、迷い人というのは昔から何らかの不思議な能力を持っていることがあるという話は知っており、自分の今の境遇を少しでも改善できるならばと考えていた。
ワラにもすがる思いだったサリーは、待ち合わせ時間よりも大幅に早く冒険者ギルドに到着していた。
予定していたよりも少し時間が早いけど大丈夫だろうかと少しだけ思いつつも、エリカは、模範的な営業的なスマイルを浮かべながらサリーに話しかける。
「こんにちは。今日は膝に関してですね。フジカルさんは、今朝からギルドの地下訓練場に行ってます。色々試したいことがあると言ってました。」
エリカはギルド職員であり、受付嬢だが、今後はフジカルの助手も兼ねることが決まっている。
「今日は私も同席させてください」
そう言ってから、エリカはサリーを地下訓練場へと誘導する。
冒険者ギルドの地下訓練場へと向かっていたサリーとエリカは、訓練場の入り口に到着した。
サリーを連れたエリカが地下訓練場への扉を開くと、そこには信じられない光景が広がっていた。
目の前は水田だ。地下のはずが、なぜか太陽がさんさんと照り輝いている。
胴付長靴、長袖シャツ、三角形の竹笠帽子を被って田植えをする男がいる。
ゴリマッチョというよりも細マッチョ、アゴと口髭、サングラス。フジカルだ。
私たちは何を目撃しているのだろうか?
記憶が確かなら、これは冒険者ギルドの地下訓練場だったはずだ。
エリカとサリーの時間は停止した。
まさに宇宙猫状態である。
フジカルが何かをしたことは予想できるが、何をしたのだろうか?
エリカは疑問をフジカルにぶつけた。
「何をしているんですか?ここは冒険者ギルドの地下訓練場ですよね?」
よくぞ聞いてくれた、といった感じでフジカルが答える。非常に楽しそうだ。
「思ってたより早く来たね!」
「ああ、これはね。はえぬきを植えているんだよ。少し離れたところに植えたのが、ゆめぴりか。そして、あっちがササニシキ!」
エリカとサリーには、フジカルが何を言っているのか全く理解できなかった。
ひとつだけ確実に言えるのは、いまのままの状態では、膝の怪我を予防するような取り組みはできそうにないということだった。
「そういうことを聞いているのではありません。。。これでは訓練ができないじゃないですか!」
あきれているような表情のエリカに対して、フジカルが答える。
「すまんすまん。ちょっと待ってて」
そう言って田んぼから出て、右手をスッと横にスライドさせる動作をした思った瞬間、いつもの地下訓練場に景色が戻った。
サリーは頭がどうにかなりそうだった。
催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなものでは断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わっているのではないか、そんな気もした。
そして、フジカルは、いそいそと胴付長靴と長袖を脱ぐと、黒い半袖短パン姿になった。
竹笠を取り、短髪の黒髪が姿をあらわす。
「お、いらっしゃい」と話しかけるフジカルに対して、サリーは「なんだこの怪しい男は。。。今日、ここに来て大丈夫だったか?」という心の声を思わず発してしまいそうになりつつも、多少困惑した表情で苦笑いする。
「よし!さっそく取り掛かろうか!」
昨日、フジカルが森でサリーたちと出会ったときには、サリーは鎧をつけて剣を持っていたが、今日は武装していない。
流石にスカートなどではなく、いわゆる動きやすい格好というものだ。
ダンジョンで繰り返してしまう膝の怪我をどのように防いでくれるのか、サリーには全く見当がつかなかった。
ただ、迷い人というのは昔から何らかの不思議な能力を持っていることがあるという話は知っており、自分の今の境遇を少しでも改善できるならばと考えていた。
ワラにもすがる思いだったサリーは、待ち合わせ時間よりも大幅に早く冒険者ギルドに到着していた。
予定していたよりも少し時間が早いけど大丈夫だろうかと少しだけ思いつつも、エリカは、模範的な営業的なスマイルを浮かべながらサリーに話しかける。
「こんにちは。今日は膝に関してですね。フジカルさんは、今朝からギルドの地下訓練場に行ってます。色々試したいことがあると言ってました。」
エリカはギルド職員であり、受付嬢だが、今後はフジカルの助手も兼ねることが決まっている。
「今日は私も同席させてください」
そう言ってから、エリカはサリーを地下訓練場へと誘導する。
冒険者ギルドの地下訓練場へと向かっていたサリーとエリカは、訓練場の入り口に到着した。
サリーを連れたエリカが地下訓練場への扉を開くと、そこには信じられない光景が広がっていた。
目の前は水田だ。地下のはずが、なぜか太陽がさんさんと照り輝いている。
胴付長靴、長袖シャツ、三角形の竹笠帽子を被って田植えをする男がいる。
ゴリマッチョというよりも細マッチョ、アゴと口髭、サングラス。フジカルだ。
私たちは何を目撃しているのだろうか?
記憶が確かなら、これは冒険者ギルドの地下訓練場だったはずだ。
エリカとサリーの時間は停止した。
まさに宇宙猫状態である。
フジカルが何かをしたことは予想できるが、何をしたのだろうか?
エリカは疑問をフジカルにぶつけた。
「何をしているんですか?ここは冒険者ギルドの地下訓練場ですよね?」
よくぞ聞いてくれた、といった感じでフジカルが答える。非常に楽しそうだ。
「思ってたより早く来たね!」
「ああ、これはね。はえぬきを植えているんだよ。少し離れたところに植えたのが、ゆめぴりか。そして、あっちがササニシキ!」
エリカとサリーには、フジカルが何を言っているのか全く理解できなかった。
ひとつだけ確実に言えるのは、いまのままの状態では、膝の怪我を予防するような取り組みはできそうにないということだった。
「そういうことを聞いているのではありません。。。これでは訓練ができないじゃないですか!」
あきれているような表情のエリカに対して、フジカルが答える。
「すまんすまん。ちょっと待ってて」
そう言って田んぼから出て、右手をスッと横にスライドさせる動作をした思った瞬間、いつもの地下訓練場に景色が戻った。
サリーは頭がどうにかなりそうだった。
催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなものでは断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わっているのではないか、そんな気もした。
そして、フジカルは、いそいそと胴付長靴と長袖を脱ぐと、黒い半袖短パン姿になった。
竹笠を取り、短髪の黒髪が姿をあらわす。
「お、いらっしゃい」と話しかけるフジカルに対して、サリーは「なんだこの怪しい男は。。。今日、ここに来て大丈夫だったか?」という心の声を思わず発してしまいそうになりつつも、多少困惑した表情で苦笑いする。
「よし!さっそく取り掛かろうか!」
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