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遠くへジャンプ!新人冒険者の薬草採取
最大筋力、力の立ち上がり率、両方を上げていこう!
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「そこで、トレーニングの話に戻ってくるが、この課題に対して今回のトレーニングでのアプローチは2つだ!」
「ひとつは、最大筋力の値を大きくすること」
「もっと強くなろうということだ!」
「ピークにおける最大筋力そのものが大きくなれば、10ミリ秒や100ミリ秒の時点での出力も大きくなっていることが期待できる」
「もうひとつが、力の立ち上がりを速くすること」
「先ほどのグラフでの力の立ち上がりの傾きを、もっと上向くようにすれば、短い接地時間において地面に伝えられる力も大きくなるわけだ」
「この2つ両方を改善することで、今よりも遠くへジャンプできるようにしたい」
「で、最大筋力の値を大きくするのは、パワーアップすれば良いわけだ」
「先ほどIMTP(Isometric Mid-Thigh Pull)で計測したRFD(Rate of Force Development)というのは、後者の力の立ち上がりの現状を把握するための指標だ」
「RFDには、いくつか計測方法があるが、今回は、0-30msec、0-200msecのTime interval RFD、要は、その時間内でのRFDという意味だ」
「これは、地面にかかった力をニュートンという単位で示し、それを時間で割った値を使う」
「たとえば、100ミリ秒時点でのTime interval RFDを考えるとき、地面にかかった力が500ニュートンだったら、500/0.1なので、RFDは5000になる」
宇宙猫状態のパタヘネがぼやいた。
「難しすぎて意味がわからないっす」
それに対してフジカルが答える。
「要は、0.03秒で出せる力とか、0.2秒で出せる力という感じで、限られた時間内に出せる力を測るための指標ということだ!」
それでも、パタヘネは首をひねって不思議そうにしていたので、フジカルは、もっと、ざっくりと言うことにした。
「RFDという数値がいくつか出るから、その数値が上がるようにしよう!それが上がれば遠くにジャンプしやすくなるはずだ!」
するとパタヘネは、少し納得したような表情になった。
「数値を上げればいいんっすね!」
「そうだ数値を上げよう!」
ときとして、トレーニングを行う本人にとっては、それぐらいの方が良いときもあるようだ。
フジカルが話を続ける。
「ということで、今回は、計測されるRFDを値を今よりも上げたい」
「トレーニングを続けたことで、効果があったかどうかを数値で知ることができると参考にしやすいというわけだ」
「現状を把握することと、改善のためのトレーニングで効果を出せているのかを確認するためにも、今の状態を知っておくのは大事だぞ!」
「今日は、現状を測定した。何週間かかかると思うが、これからトレーニングを続けて、この値を上げていくぞ!」
それに対して、パタヘネは、拳を突き上げながら
「師匠、わかったっす!」
と叫んだ。
そして、フジカルが説明を続ける。
「さて、測定した最大筋力と、力の立ち上がり時間だが、両方とも適切なトレーニングを行うことで改善可能だ!」
「まず取り組みたいのが最大筋力のアップだ!」
「最大筋力は、パフォーマンスにも影響を与えていると推測できる」
「オレの元いた世界では、筋力が強いアスリートは、筋力の弱いアスリートと比べて、競技レベルの高い試合に出ていることを示す論文が複数ある(*1)」
筋力の強い選手の方が勝ち上がっているという状況は、意外と知られていない。筋力が強ければ勝ち上がれるわけではないが、筋力が弱い選手は勝ち上がるのが難しくなっているのではないかと推測できるわけだ。そもそも競争に参加する前提として筋力という要素があるのかも知れない。
「この世界の冒険者も身体が資本だが、さまざまな冒険において筋力が強い方が、活動をするうえでパフォーマンスを出しやすいのではないかと思う!」
「筋力は大事だ!」
「そして、最大筋力が、RFD、力の立ち上がり速度と強い相関関係をもつことを示す論文が増えている(*2)」
「最大筋力のアップを目指すことは非常にお得だぞ!」
「ということで、これから今後続けていくトレーニングを紹介するが、まずは、最大出力を出しやすくする股関節の使い方のトレーニングを行って、それから最大筋力を上げるためのトレーニングをするぞ!」
======
参考文献
======
(*1)
Baker, D. (2001). Comparison of upper-body strength and power between professional and college-aged rugby league players. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(1), 30-35.
Barker, M., Wyatt, T. J., Johnson, R. L., Stone, M. H., O'Bryant, H. S., Poe, C., & Kent, M. (1993). Performance factors, psychological assessment, physical characteristics, and football playing ability. The Journal of Strength & Conditioning Research, 7(4), 224-233.
---
(*2)
Baker, D. (2001). The effects of an in-season of concurrent training on the maintenance of maximal strength and power in professional and college-aged rugby league football players. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(2), 172-177.
Baker, D., Nance, S., & Moore, M. (2001). The load that maximizes the average mechanical power output during jump squats in power-trained athletes. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(1), 92-97.
McLellan, C. P., Lovell, D. I., & Gass, G. C. (2011). The role of rate of force development on vertical jump performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 25(2), 379-385.
Moss, B. M., Refsnes, P. E., Abildgaard, A., Nicolaysen, K., & Jensen, J. (1997). Effects of maximal effort strength training with different loads on dynamic strength, cross-sectional area, load-power and load-velocity relationships. European journal of applied physiology and occupational physiology, 75, 193-199.
「ひとつは、最大筋力の値を大きくすること」
「もっと強くなろうということだ!」
「ピークにおける最大筋力そのものが大きくなれば、10ミリ秒や100ミリ秒の時点での出力も大きくなっていることが期待できる」
「もうひとつが、力の立ち上がりを速くすること」
「先ほどのグラフでの力の立ち上がりの傾きを、もっと上向くようにすれば、短い接地時間において地面に伝えられる力も大きくなるわけだ」
「この2つ両方を改善することで、今よりも遠くへジャンプできるようにしたい」
「で、最大筋力の値を大きくするのは、パワーアップすれば良いわけだ」
「先ほどIMTP(Isometric Mid-Thigh Pull)で計測したRFD(Rate of Force Development)というのは、後者の力の立ち上がりの現状を把握するための指標だ」
「RFDには、いくつか計測方法があるが、今回は、0-30msec、0-200msecのTime interval RFD、要は、その時間内でのRFDという意味だ」
「これは、地面にかかった力をニュートンという単位で示し、それを時間で割った値を使う」
「たとえば、100ミリ秒時点でのTime interval RFDを考えるとき、地面にかかった力が500ニュートンだったら、500/0.1なので、RFDは5000になる」
宇宙猫状態のパタヘネがぼやいた。
「難しすぎて意味がわからないっす」
それに対してフジカルが答える。
「要は、0.03秒で出せる力とか、0.2秒で出せる力という感じで、限られた時間内に出せる力を測るための指標ということだ!」
それでも、パタヘネは首をひねって不思議そうにしていたので、フジカルは、もっと、ざっくりと言うことにした。
「RFDという数値がいくつか出るから、その数値が上がるようにしよう!それが上がれば遠くにジャンプしやすくなるはずだ!」
するとパタヘネは、少し納得したような表情になった。
「数値を上げればいいんっすね!」
「そうだ数値を上げよう!」
ときとして、トレーニングを行う本人にとっては、それぐらいの方が良いときもあるようだ。
フジカルが話を続ける。
「ということで、今回は、計測されるRFDを値を今よりも上げたい」
「トレーニングを続けたことで、効果があったかどうかを数値で知ることができると参考にしやすいというわけだ」
「現状を把握することと、改善のためのトレーニングで効果を出せているのかを確認するためにも、今の状態を知っておくのは大事だぞ!」
「今日は、現状を測定した。何週間かかかると思うが、これからトレーニングを続けて、この値を上げていくぞ!」
それに対して、パタヘネは、拳を突き上げながら
「師匠、わかったっす!」
と叫んだ。
そして、フジカルが説明を続ける。
「さて、測定した最大筋力と、力の立ち上がり時間だが、両方とも適切なトレーニングを行うことで改善可能だ!」
「まず取り組みたいのが最大筋力のアップだ!」
「最大筋力は、パフォーマンスにも影響を与えていると推測できる」
「オレの元いた世界では、筋力が強いアスリートは、筋力の弱いアスリートと比べて、競技レベルの高い試合に出ていることを示す論文が複数ある(*1)」
筋力の強い選手の方が勝ち上がっているという状況は、意外と知られていない。筋力が強ければ勝ち上がれるわけではないが、筋力が弱い選手は勝ち上がるのが難しくなっているのではないかと推測できるわけだ。そもそも競争に参加する前提として筋力という要素があるのかも知れない。
「この世界の冒険者も身体が資本だが、さまざまな冒険において筋力が強い方が、活動をするうえでパフォーマンスを出しやすいのではないかと思う!」
「筋力は大事だ!」
「そして、最大筋力が、RFD、力の立ち上がり速度と強い相関関係をもつことを示す論文が増えている(*2)」
「最大筋力のアップを目指すことは非常にお得だぞ!」
「ということで、これから今後続けていくトレーニングを紹介するが、まずは、最大出力を出しやすくする股関節の使い方のトレーニングを行って、それから最大筋力を上げるためのトレーニングをするぞ!」
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参考文献
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(*1)
Baker, D. (2001). Comparison of upper-body strength and power between professional and college-aged rugby league players. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(1), 30-35.
Barker, M., Wyatt, T. J., Johnson, R. L., Stone, M. H., O'Bryant, H. S., Poe, C., & Kent, M. (1993). Performance factors, psychological assessment, physical characteristics, and football playing ability. The Journal of Strength & Conditioning Research, 7(4), 224-233.
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(*2)
Baker, D. (2001). The effects of an in-season of concurrent training on the maintenance of maximal strength and power in professional and college-aged rugby league football players. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(2), 172-177.
Baker, D., Nance, S., & Moore, M. (2001). The load that maximizes the average mechanical power output during jump squats in power-trained athletes. The Journal of Strength & Conditioning Research, 15(1), 92-97.
McLellan, C. P., Lovell, D. I., & Gass, G. C. (2011). The role of rate of force development on vertical jump performance. The Journal of Strength & Conditioning Research, 25(2), 379-385.
Moss, B. M., Refsnes, P. E., Abildgaard, A., Nicolaysen, K., & Jensen, J. (1997). Effects of maximal effort strength training with different loads on dynamic strength, cross-sectional area, load-power and load-velocity relationships. European journal of applied physiology and occupational physiology, 75, 193-199.
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