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ぎっくり腰のドワーフ鍛治師

エピローグとウンチク

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初日のトレーニングが終わった次の日から、日課のようにトレーニングを繰り返すギエルハルド。
こういった身体の動きに関することは、一瞬で実現するものではないことも多く、根気が必要だ。
仕事の合間などの気分転換に軽く身体を動かす練習をするのも悪くない。

フジカルも、時間があれば鍛治部門に行って、鍛治職人たちとディープスクワットを探求する会を楽しんでいる。
ギエルハルドは「Ass to grass」という表現をいたく気に入ったようで、ドワーフ鍛治師の新たな心得としてディープスクワットを普及させようと息巻いている。

ディープスクワットを深く、そして美しくできるかどうかを競う新たな文化が生まれようとしているのかも知れない。ときとして、美意識とは養うものである場合がある。ディープスクワットの美しさも、繰り返すうちに徐々に仲間内で美意識が共有される、そんなこともあるかも知れない。

フジカルは、徐々に、ドワーフたち重たいものを持ち上げるときのフォームが綺麗になってきたのが嬉しい。

ディープスクワット談義に交えて、理想的な片刃包丁についての議論も進む。
そして、何よりも嬉しいのが、片刃の和包丁を手に入れたことで、自分が望んだクオリティの刺身を作れるようになったことであった。

しかし、刺身を作り終わってから気が付いたのだが、わさびと醤油がないぃぃぃぃ!
もっと早く気がつくべきであった。不覚。。。

美味しい米のための付け合わせも1日にしてならずである。


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参考文献
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腰痛のリスクを下げる荷物の持ち上げ方に関しては、次の書籍を参考にしました。腰痛に関してまとめてある非常に面白い本なので、ご興味があるかたは、ぜひご覧ください。

McGill S. (2017). 腰痛: エビデンスに基づく予防とリハビリテーション

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ウンチク
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重いものを持ち上げるなどの業務にる腰痛という労災を避けるために、企業内で研修が行われることもあります。
そのような研修にて、重たいものを運ぶときに腰を痛めない姿勢のひとつとして、"背中を真っ直ぐ"に保って持ち上げましょうとだけ表現されることもあります。

しかし、実は、"背中を真っ直ぐ"に保つと表現されるような姿勢を維持しながら、重たいものを持ち上げるためにしゃがむことができないという事実に気がつかない人も多いのではないでしょうか?
自分ではできていると思っていても、実際にはできていないという場合も考えられます。

そして、もしできていなかった場合に、では、どうやったらその正しい姿勢が取れるのかといった話になった途端に、その正しい姿勢が取れない原因に個別性が発生してしまうという問題があります。できない場合に、どうやったら改善できるのか、もしくは改善の可能性がありそうなのか?色々考えられます。

重たいものを持ち上げる可能性がある業務をされている方は、腰を痛めにくい動作が行えるのかをチェックした上で、もしそれができないのであれば、その動作の実現を阻害している要因を分析することをお勧め致します。
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