めがさめたら、田舎にいた。

おにぎり恐喝

「おい、あの握り飯を出せ」


私が此処に来て３日目、
食堂で昼休憩をしている時に、突然その人は現れた。


「は………？」


✴✴✴





まず驚いたのは容姿だ。
その私と同い年程の男性、髪が透き通るような銀色なのだ。

肌も雪のように白く、なんだかこの田舎の風景から、異彩を放っている様に思う。


しかも巫女さんみたいな赤白の袴をきている。

（これが噂のこすぷれいやーだろうか…
でもそれにしては貫禄…というかオーラがある気がする）

それに眼の色まで銀色なのだ。
銀色のカラコン？そんなのある？？？

　

「あらぁ～稲荷様じゃない！」

私が完全に不審者に向ける視線を送って黙っていると、隣の長机に座ってお茶を飲んでいた
佐伯のお婆さんがその人に話かけた。


「佐伯の婆さんか、　
蜜柑甘くてうまかったぞ」

「よかったわ～
息子夫婦が送ってくれたのよ～」



え？

このこすぷれいやーさんも村人なの？
お裾分けとかしちゃう間柄なの？？

おもわず蕎麦を食べる手が止まる。


すると
外の長椅子で、おにぎりを食べて話し込んでいたお爺さん達もその人に気づき、話しかけてきた。
　
「お～～稲荷様かぁ！
姿みせんのは久し振りやなあ！」
といって背中をべしべし叩き出してしまった。


「こら、痛い。」

「なんじゃお供え物たかりにきたんかー」

「…まぁ、そんな感じだ。」

なに、このフレンドリーな空間…
私だけ疎外感が！
というか誰だこの人！
皆古い友人にあったみたいな反応だけど！



「あ、あの…その人、誰ですか？」

お婆さんやお爺さんが私に目を向け、笑いながら答えてくれた。


「この人はねぇ、稲荷様。

この村の稲荷神社の神様なの。」













「…………えぇ？」
神様ってこんな身近な存在だっけ？