R18BLゲームの序盤で処刑されるモブキャラなのに何故か攻略対象に狙われています。

白井ゆき

文字の大きさ
6 / 63
異世界ライフは甘くない

モブキャラの絡みは聞いてない!※

しおりを挟む
「こんなに出して恥ずかしいなぁ? そんなに気持ちよかったのかよ」
「ぅ、ひどいですっ。やめてって言ったのに」

 この衆人観衆公開プレイの後、授業を妨害したとしてミリたそがヴィクターに呼び出されるわけだがそんなことはどうでもいい。

 ミリたその美しいケツ穴が今目の前に……!
 そして、もしかして、いや、もしかしなくても俺の顔に垂れるこの温かな液体はミリたその精子……?

 唇を伝うミリたその子種へ舌を伸ばせば広がるのはほんのりとした苦みだが、ミリたそが生み出したものだと思えば極上の味わいで目を細めた。

 至上の幸福に呆けたまま、桃色に染まった頬にはらはらと儚げな涙を流すミリたその愛らしいご尊顔を見つめていると、ふとダリウスの視線が俺を捕らえる。

 あ、やべ。

 すっかり忘れていたが、俺のケツの命運はダリウスをはじめとする攻略対象に握られているのだ。「俺の可愛いミリエルを見るな」なんて言い掛かりを言われる前に退散するとしよう。
 
 慌てて目を逸らし、前を向いたところで下半身に広がる不快感にようやく気付き、顔を青くした。

 いくら生ミリたその射精が素晴らしいとは言えノーハンドはどうなんだ! 男として情けない!

 制服のズボンが黒かったことが不幸中の幸いである。触ってしまえば誤魔化すことは不可能だが、ぱっと見はバレない。
 ここは思い切って、「先生トイレに行きたいです」と手を挙げるほかない。その隙に寮へ戻り、エリオットに着替えを頼むんだ。
 それがいい。

 現代日本とは違い、中世だか近代だかの異国を舞台にしたこの学園に集まる貴族の令息令嬢たちは、クラスメイトのトイレがやたらと長かったとしても、うんこマンだなんて低俗なあだ名をつけることはないだろうし。

 善は急げだと、恥も外聞も捨てて挙げようとした時だ。覚悟の右手を隣から伸びてきた手に掴まれた。
 おかげで、俺の腕はなんとも中途半端なところで止まっている。

「何?」

 俺の覚悟を無駄にした張本人、サーブを見れば真剣な……いや、血走った目で見つめられる。
 何でコイツこんな血走ってんだよなんて疑問は、近づいてきたサーブの顔で一瞬でふっとんだ。

 出会って2日とは思えぬ距離感である。
 俺はどちらかというか、断然パーソナルスペースが広いタイプだ。どれくらい広いかと言われれば太平洋くらい広い。
 もちろん例外はある。
 ミリたそとか。ミリたそとか。ミリたそとか。

 当然サーブはその例外に入らないので、然るべき距離を取ろうとしたのだが、その分だけまた近づいてきた。

「それさぁ、」
「何ナニなに何!」

 ぐっと腕を引かれ、椅子から落ちそうになる。
 脇役仲間の奇行に戸惑っている間に一気に距離を詰められ、サーブの特徴のない顔が眼前に迫っていた。
 その近さに驚いたときだ。

「待ってマジで何――ひィッ!」

 頬に生温かい滑ったものが這った。舌である。
 一クラスメイトに過ぎない男に頬を舐められるという、現代日本では到底体験できない、というか、したくもない出来事に両手を突き出した。

「お、お前、舐めた……? 舐めた!?」

 突き出した割に全く距離は開かなかったが、抵抗したという証拠は重要なので、そのまま衝撃を与えるためにも腕を伸ばしたり曲げたり繰り返す。

「おい、動くなって」

 上体を反らした俺の腰に手が回され逃げ場がなくなる。おまけに引き寄せられるものだから鳥肌が止まらない。
 このままだとあっという間に食べ頃の鶏になって食卓に並んでしまう。それはちょっと、いやかなり避けたい。

 というか、そもそも俺は何故舐められているんだ!

 逃げようと必死に身を捩る俺の顎はサーブに掴まれ、固定された頬に舌が伸びてくる。

「やだっ、やだぁ、やめろってぇ!」

 俺の抵抗むなしく、再びぺろりと舐められてしまった。

「は、うっま」

 ミリたその痴態に脳が焼かれて正常な判断ができていなくなっているであろうサーブの顔面を両手で押しやる。
 もちろん、手の平が舐められるなんてことはないように細心の注意を払った。

 ミリたそならいざ知らず、男にこれ以上舐められる趣味なんて持ち合わせてないので。

「馬鹿! 何考えてんだよサーブ! 目を覚ませ!」
「覚めてるって。だってさ、ミリエルさんの精子だぞ? 舐めるくらいいいだろ。減るもんじゃないし」

 そういうことかコイツ! ミリたその貴重な精子を奪いやがって! 俺だって1回しか舐めてないのに!
 それに何も減らないなんてわけない。実際に減っているだろ。ミリたその精子と俺の自尊心が。

 とんでも理論で俺の顔の舐め回したサーブは、頬の精子がなくなったのか、次なる場所を探し始めたらしい。俺の顔を好き勝手に動かし、他の精子を探している。

「もうない! ないから離せ!」
「いやいや、絶対あるって。……あ、ほら。ここに飛んでる」

 体格に見合わず随分と力の強いサーブに顔を固定される。教卓の方を向かされた俺は必死に手足をバタつかせたのだが意味をなさず、どんどん近づいてくる。

「もう、終わり! 終わりだってっば!」
「じゃあ、これで最後な」
「嫌だ! もう一舐めもするな! ――ひぁあんっ」

 耳殻を這った温かな舌。その瞬間、体の奥から不思議な感覚が湧き上がった。

 何か、これはやばい気がする。

 おかしな声が出た口を両手で塞ぎサーブを睨んだ。

「モーヴ、お前……」
「お、終わりな、終わりだからな! そういう約束だったし!」
「……おう、そうだな。もう、ミリエルさんの精子は舐めないよ」
「本当か?」
「あぁ、本当だよ」

 案外、融通がきくらしいサーブに胸を撫で下ろした。
 このゲームは抜きゲーとしては最高だが常識は一切通じないため、骨の髄までしゃぶり尽くされると思ったが、脇役であるサーブは話が通じるまとも人間のようだ。

 ありがとう、お前は立派なモブだよ。

 そうと決まればとっとと距離を取ろうと腰を支えるサーブの手を剥がそうと手を添えた。そのまま押し下げようとすると、サーブの手にぐっと力が込められる。
  ん? 力が?

 何故なんだと顔を上げたとき、今度は両手を体に回された。腕ごととじこめられてしまえば逃げる余地はない。
 嫌な予感がして腰を浮かすがもう遅い。体重をかけられ身動きの取れなくなった俺にサーブがどんどん近づいてくる。

「ま、待て待て待て待てっ、んぁあっ!? お、おい、サーブ、何してるんだ! もう、んっ、舐めないって……やぁっ……!」
「うん。ミリエルさんの精子は舐めないから、モーヴの耳舐めなせて」
「なん、で、っつか、そこで喋んのやめっ」
「んー」

 耳の輪郭をなぞるように蠢く舌が溝を滑る。頬を舐められているときは不快感しかなかったというのに、場所が耳に変わっただけで言葉にしがたい感覚が体の奥底からせり上がるのだ。

「さぁ、ぶ、やめろって、……ぅぅん、っ」

 これはまずい、洒落にならない。
 ノーハンド射精が可愛く思えるほど、今の状況は笑えない。
 これ以上続ければいけない扉が開いてしまいそうだ。その先にあるのは、20年以上この胸に秘めていたミリたその中に己を埋めるという夢とは正反対のものだ。
 ミリたそとの性行為どころか、この後訪れるかもしれない快楽落ち(雑処理)ルートへ嬉々として突き進むことになってしまう。

 そんな制作者の思い通りになんてなってたまるかと思うのに、尖らせたサーブの舌先が耳穴に入り込むと何も考えることができなくなってしまう。

「やぁ……っ! ぁっ、ほんと、ぅんん……やめろっ、てぇ」
「はは、やめろって声じゃなくね? つーか腰揺れてるし」

 断じて揺れてなどいない。
 そう伝えるつもりが、音を立てて耳たぶを吸われると、反論のために開いたの口からは言葉の代わりに上擦った声が洩れる。
 耳を犯す舌の感触と直接届く水音が思考と体の力を奪い、サーブに体を預けたその時だ。

 ――ドンッ!

 俺とサーブの頭上スレスレを通り過ぎた何かが、後方で鈍い音を立てる。
 ギギギとぎこちない動きで振り返った視線の先、そこには後方の机にのめり込むチョークがあった。しゅーしゅーと白い煙をあげる、なんの変哲もないチョークを凶器へと変貌させた変態クソメガネことヴィクターを見れば、教壇の前で全身を震わせて。サーブと2人目を合わせた俺らは、何事もなかったかのように、そっと姿勢を正した。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

転生したが陰から推し同士の絡みを「バレず」に見たい

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

処理中です...