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イベント阻止の影響
感謝感激雨霰
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澄み切った冷たい空気。雲一つない青空。頬を照らす柔らかな春の陽射し。
はいそうです新しい朝です希望の朝でもあります喜びに胸を開いて大空を仰いでいます。
こんなに気持ちよく目覚めた朝は初めてです。何て言ったって今日はミリたそとの初登校なので。朝なんて大嫌いだし学校何てクソ食らえだと思っていた俺が嬉々として登校する日が来るなんて。
どれもこれも全ては俺の友達――そう、ミリたそのおかげです。俺の友達です。素直で可愛くて時には体を張っちゃうかっこよさまで持ち合わせた最高の友達です。
昨日の突然の体調不良が原因で学校を休ませようとするエリオットの説得に30分もかかったのは想定外だったけど間に合ったのでオールオッケーです。ミリたそとの楽しい学生生活を送って元気なことを証明しようと思います。
あーやばい緊張してきた。寝癖あったらどうしよう。エリオットに限ってそんなミスはないだろうけど、どうも落ち着かない。
なぜこの世界にはスマホがないのか。カメラで身だしなみを整える待ち合わせ中のカップルの気持ちが痛いほど分かる。いつも爆破を祈ってごめん。
スマホの画面なんてふいに現実を見せてくる呪具だと思ってたけど今は恋しいよ。いつもひび割れを祈ってごめん。
この世に存在しない文明が作り上げた奇跡の電子機器を強請っても仕方ないから明日からは鏡を持ち歩こうと思う。
随分と心配性になっていた従者の顔を思い浮かべ、用意してもらおうと考えていたとき。
開いた寮棟の扉からピンク色の頭が顔を出す。
制服をきっちり着こなし、肩にかけたカバンを両手で握るミリたそは、俺を見つけた瞬間パッと花が咲いたように笑顔になり駆け寄ってきた。
「モーヴ君!」
「は、はわわ……っ」
か、可愛い……!
制作者が作った不特定多数に向ける平面的な笑顔でも、クラスメイトに向ける愛想笑いでもなく、正真正銘俺に向けた俺だけのための笑顔だ。
そんな笑顔から1日を始めることができるなんて俺はなんて幸せ者なんだろう。
「おはようございます」
「お、おおおおおはよう」
「なぁに、それ」と口元を隠してくすくす笑う。
えーミリたそは笑うとき口隠す系なんだ、可愛いー……。挙動不審な俺にも引かずにいてくれるなんて優しー……。
「もしかしてお待たせしてしまいましたか?」
「全っ然! さっき! 来ました!」
「本当ですか……? ならよかったです。さ、行きましょう。遅刻してしまいます」
「はい!」
歩き出したミリたその2歩後ろへ恐る恐る立てば、首だけで振り返ったミリたそがぴと、と隣に移動する。そのまま斜め上の俺を見上げ、にこっと口角を上げた。
「モーヴ君は魔法って使えますか?」
「ま、魔法っ? あ、いやー、からっきしで……」
「そうなんだ! 僕も全然で……仲間みたいで嬉しい……。ほら、周りの人たちは皆小さい頃から教育を受けてて、元々魔法を使える人が多いでしょう? だから、ずっと不安だったんです」
「あ、安心して! 俺、本当に1ミリも使えないから!」
「ありがとう」
一瞬きょとんと眼を丸めたミリたそは、ふっと笑って再び前を見る。
安心させたい一心で無能アピールをしてしまった気もするがまぁいい。ここで見栄張って本番で失敗する方がダサいし。そんなことよりも、だ。
プレイヤーの皆さんご存じですか。ミリたそは小柄なので、俺たちのような平均に届いているのか微妙な身長の男相手でも、自然に上目遣いになるんですよ。
時々こちらを見るミリたその、大きい目がさらに強調される角度はゲームでは見ることのできない現実ならではのものだ。
ミリたそを小柄に作ってくれてありがとう。
体格差を活かしたアレソレのためだろうけど、おかげ救われた命がここにあります。
「そういえば、今日提出の魔法理論の課題やりましたか?」
「……え、待って何それ」
「先週出された課題です。最後の問題が分からなかったので聞こうかなって思ったんですけど……」
足を止めて顔を青くする俺を、ミリたそが不安げに見上げる。
推しとの初登校に浮かれきってそろそろ成層圏をぶち破るところだった俺の気分は谷底に落とされる。
なんせ俺の記憶違いでなければ、魔法理論の担当教員は、1週間前俺の尻を叩いて悦に浸っていた変態クソメガネことヴィクターなのだ。
肩にかけていたカバンを開き、中を漁る。目的のものはカバンの底、そこで教科書たちに押しつぶされ、見るも無残な姿で見つかった。
……もちろん、白紙の状態で。
「だ、大丈夫ですよ! 提出は午後一の授業ですし、僕のでよければ見せますから!」
ぐしゃぐしゃのプリントを握りしめ絶望に震える俺の背中をミリたそがそっと支える。その優しさに涙を浮かべた俺は、心の中で盛大な感謝を述べる。
ミリたそを優しい子にしてくれてありがとう、と。
はいそうです新しい朝です希望の朝でもあります喜びに胸を開いて大空を仰いでいます。
こんなに気持ちよく目覚めた朝は初めてです。何て言ったって今日はミリたそとの初登校なので。朝なんて大嫌いだし学校何てクソ食らえだと思っていた俺が嬉々として登校する日が来るなんて。
どれもこれも全ては俺の友達――そう、ミリたそのおかげです。俺の友達です。素直で可愛くて時には体を張っちゃうかっこよさまで持ち合わせた最高の友達です。
昨日の突然の体調不良が原因で学校を休ませようとするエリオットの説得に30分もかかったのは想定外だったけど間に合ったのでオールオッケーです。ミリたそとの楽しい学生生活を送って元気なことを証明しようと思います。
あーやばい緊張してきた。寝癖あったらどうしよう。エリオットに限ってそんなミスはないだろうけど、どうも落ち着かない。
なぜこの世界にはスマホがないのか。カメラで身だしなみを整える待ち合わせ中のカップルの気持ちが痛いほど分かる。いつも爆破を祈ってごめん。
スマホの画面なんてふいに現実を見せてくる呪具だと思ってたけど今は恋しいよ。いつもひび割れを祈ってごめん。
この世に存在しない文明が作り上げた奇跡の電子機器を強請っても仕方ないから明日からは鏡を持ち歩こうと思う。
随分と心配性になっていた従者の顔を思い浮かべ、用意してもらおうと考えていたとき。
開いた寮棟の扉からピンク色の頭が顔を出す。
制服をきっちり着こなし、肩にかけたカバンを両手で握るミリたそは、俺を見つけた瞬間パッと花が咲いたように笑顔になり駆け寄ってきた。
「モーヴ君!」
「は、はわわ……っ」
か、可愛い……!
制作者が作った不特定多数に向ける平面的な笑顔でも、クラスメイトに向ける愛想笑いでもなく、正真正銘俺に向けた俺だけのための笑顔だ。
そんな笑顔から1日を始めることができるなんて俺はなんて幸せ者なんだろう。
「おはようございます」
「お、おおおおおはよう」
「なぁに、それ」と口元を隠してくすくす笑う。
えーミリたそは笑うとき口隠す系なんだ、可愛いー……。挙動不審な俺にも引かずにいてくれるなんて優しー……。
「もしかしてお待たせしてしまいましたか?」
「全っ然! さっき! 来ました!」
「本当ですか……? ならよかったです。さ、行きましょう。遅刻してしまいます」
「はい!」
歩き出したミリたその2歩後ろへ恐る恐る立てば、首だけで振り返ったミリたそがぴと、と隣に移動する。そのまま斜め上の俺を見上げ、にこっと口角を上げた。
「モーヴ君は魔法って使えますか?」
「ま、魔法っ? あ、いやー、からっきしで……」
「そうなんだ! 僕も全然で……仲間みたいで嬉しい……。ほら、周りの人たちは皆小さい頃から教育を受けてて、元々魔法を使える人が多いでしょう? だから、ずっと不安だったんです」
「あ、安心して! 俺、本当に1ミリも使えないから!」
「ありがとう」
一瞬きょとんと眼を丸めたミリたそは、ふっと笑って再び前を見る。
安心させたい一心で無能アピールをしてしまった気もするがまぁいい。ここで見栄張って本番で失敗する方がダサいし。そんなことよりも、だ。
プレイヤーの皆さんご存じですか。ミリたそは小柄なので、俺たちのような平均に届いているのか微妙な身長の男相手でも、自然に上目遣いになるんですよ。
時々こちらを見るミリたその、大きい目がさらに強調される角度はゲームでは見ることのできない現実ならではのものだ。
ミリたそを小柄に作ってくれてありがとう。
体格差を活かしたアレソレのためだろうけど、おかげ救われた命がここにあります。
「そういえば、今日提出の魔法理論の課題やりましたか?」
「……え、待って何それ」
「先週出された課題です。最後の問題が分からなかったので聞こうかなって思ったんですけど……」
足を止めて顔を青くする俺を、ミリたそが不安げに見上げる。
推しとの初登校に浮かれきってそろそろ成層圏をぶち破るところだった俺の気分は谷底に落とされる。
なんせ俺の記憶違いでなければ、魔法理論の担当教員は、1週間前俺の尻を叩いて悦に浸っていた変態クソメガネことヴィクターなのだ。
肩にかけていたカバンを開き、中を漁る。目的のものはカバンの底、そこで教科書たちに押しつぶされ、見るも無残な姿で見つかった。
……もちろん、白紙の状態で。
「だ、大丈夫ですよ! 提出は午後一の授業ですし、僕のでよければ見せますから!」
ぐしゃぐしゃのプリントを握りしめ絶望に震える俺の背中をミリたそがそっと支える。その優しさに涙を浮かべた俺は、心の中で盛大な感謝を述べる。
ミリたそを優しい子にしてくれてありがとう、と。
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