媚薬売り~感度ビクビク、百倍、千倍、マンバイ、イクイグ~ R18作品

木全伸治

文字の大きさ
19 / 49

魔女の実力

しおりを挟む
白の魔女は嫌いではなかった。
彼女の生き方、考え方を否定はしない。
私だって、貧乏人から大金を巻き上げるようなことはしなかったし、店を囲んだ連中も憎んではいない。
ただ、白の魔女ほどお人よしにはなれないだけだ。彼女は妬まれ、火あぶりにされた。
魔女の秘術を尽くして弱い人を助けていただけなのに、奇跡を起こすのは神だけだと、自称聖職者たちが魔女狩りを扇動した。
彼女の弟子なら、彼女に憧れる前に敵討ちが先だろうに、今も、その聖職者が所属していた宗教団体はデカい顔して存在する。
神を信じろ、神が救ってくださる。という常套句を掲げて神の名を使って昔と変わらず人々からお布施を集める連中だ。
ところが、この目の前のカマ野郎は恩師の敵討ちよりも、師である白の魔女を崇拝するあまり、他人の皮を被って女のふりをし、女の髪を集めて武器にしていた。あのお人よしの白の魔女が生きていたら、さぞや嘆くことだろう。
「よく見てなさい、本気の魔女の戦い方を」
私は弟子である偽姉弟にそう言って、魔女の戦い方を教えるためにさらに一歩前に出た。
「人間の髪はとても強靭で、それを武器にするのは悪くない考えね。でも、その髪を自在に操るため、意識を手中して魔力を通し続けなければならない。魔力が通ってなければ、髪が生き物のように動くわけない。だから、まずはその集中力を途切れさせる」
「は、クシュン、クシュン・・・」
派手女が急にくしゃみを始めた。
「知ってる? とても小さなスギの花粉を嗅ぐと人間って、くしゃみが止まらなくなるのよ」
私が、こっそり振りまいた花粉のせいで、派手女が涙を流しながらくしゃみを始めていた。
「どう? 涙が止まらないでしょ。私がいろんなスギや花から集めた花粉よ」
激しくくしゃみをしていると、べろりと派手女の顔の皮が捲れた。
「あ、ごめんね、肌を若く保つ薬があるんだけど、若く保てるのなら、その逆に老けさせる薬もあるのよ。本物の皮膚のようにみずみずしさを保っていたようだけど、その肌、もうカサカサよ」
派手女は慌てて捲れた顔を押さえていたが。顔だけでなく、腕や指も、しわだらけになり、捲れだしていた。
「あらあら、素顔は、割といい男じゃない。その顔で、魔女の秘術で人々を救って賢者様とか言われてた方がいいんじゃない」
必死に皮膚がくずれないように抑えているが、壊死の進行する肌はボロボロと剥がれて、もはや男であることを隠しきれなくなっていた。我が弟子の男娘が、ひどくぎょっとしていた。私は単純にその光景に驚いただけだと思ったが、実は、彼はその派手女に口でイかされたことを思い出して、やはり本当に男にしゃぶられたんだという事実に絶望していた。後で分かったことだが、娼婦として金を稼ぐとき派手女は幻惑の魔法で本物の女を抱いていると客を騙していた。男娘の場合は魔法は使わず本物の口でしたようだが、そんなこと何の慰めにもならない。つまり、彼はまだ本物の女性に気持ちいいことをさせてもらっていなかったというわけだ。
そして、くしゃみで集中力が乱れ髪を操れなくなると、メイドはその髪を振りほどいて自由になり、キッと睨んで槍で改めて突こうとした。
「クッ、貴様」
鋭い槍を躱そうとして、彼は背後に飛んだ。化けの皮が剥がれたその肉体は完全に男のそれであり、わずかに女性の肌が張り付いているのが、かえって醜悪だった。メイドが彼を追い詰めるように槍を振る。
「死ね!」
次の瞬間、カッと光った。
まぶしい。
思わず誰もが目を細めたが、次に上がったのは男の驚嘆する悲鳴だった。
「うわっ」
ズンと重いものが落ちる音がして私は目を開けた。
「時読み・・・」
昔と全く変わらない、まるで少女のような時読みが、メイドのそばに立っていた。
「はい、どうも、お久しぶり」
「あ、あいつは?」
「そこよ」
少女の指差した先には穴ができていた。できたのではなく、はじめから落とし穴が仕掛けてあったようだ。
その底には、穴を隠してあった板と土を頭からかぶった魔女のなりそこないの男がいた。
「なるほど、目つぶしの魔法を仕掛けて、落とし穴に誘ったのね。相変わらず先読みでえぐい手を使うわね」
私があきれていると、穴の底の男も、諦めたような顔をしていた。
「ね、これ、私がもらっていい?」
時読みが穴の男を指差す。
「ええ、いいわよ、あなたが捕まえたようなものだし・・・、こいつにどんな未来を見たの?」
「それは、内緒」
時読みは楽しそうに笑っていた。
魔女の正体を隠し、豪邸に住んでいるからといって、私以上に常識的な魔女はいない。
時読みは魔女の秘術で若々しく清楚な少女のなりをしているが、こいつは男好きなビッチである。
有名になった王都の私の媚薬をもとめて、何度も手紙を送って来る間柄だった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

一話一分で読める異世界コント

忍者の佐藤
ファンタジー
ギャグとテンポと勢いを重視したコント集。一話完結型です。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

処理中です...