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勇者と魔王の血筋

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厳格には勇者という職業や身分は存在しないのだが、かつての栄光を崇めたり崇拝する民衆は多く、魔物などの討伐等で活躍して名を上げた猛者の名が勇者として後世も讃えられた。が、勇者と呼ばれた初代は実際にすごい超人だったらしいのだが、その後の勇者を継承する者すべてが超人ではなかった。実際、彼女の父は先祖から代々受け継がれた勇者の武具を身に付けて魔王に挑んだのだが、敗れて死んだ。そして遺品として帰ってきた武具を身にまとい彼女は、ここまで来た。が、いま、俺の無数の触手に絡みつかれ身動き取れなくなっていた。

勇者の子孫とはいえ、バカ力があるわけではない、その姿は、さながら、春画の題材にもある蛸と美女である。鎧を着ている分だけ無粋でエロさが足りないが、触手のために自由に身動きできず焦る表情は、情欲に溺れそうになっているように見えた。そして、俺がなかなか戻ってこないことにじれた魔界の王女が神殿の奥から出てきて、その部屋の惨状を見る。槍使いは触手の媚薬が効きすぎたのか仲間の勇者を助けようとはせず、自分の短槍の柄で股間をこすってひとりオナっていた。無数の触手に絡みつかれている勇者も、無数の触手に絡まれながら必死に口を閉じて抵抗を続けていた。
「触手様、勇者を捕らえたのですね」
さすが魔界の王女、その光景を見て、冷静に大体の状況を察し、まだ勇者が正気で抵抗しているのも理解した。
「惨めな姿ね、勇者。我が父を殺し、この私まで始末しようとして追いかけてきて、逆につかまった気分は、どう?」
王女は、笑みを浮かべながら勇者に近づき、勇者にまとわりつく俺の触手を舐めながら触手に包まれる勇者に顔を近づけささやいた。
「その反抗的な目、まだ、触手様の素晴らしい味を味わっていないみたいね」
俺の触手の粘液をたっぷりとなめて王女がふふふと笑う。
「触手様のこのぬめぬめした粘液は、本当に最高よ。今まで味わったことのない素敵な快楽を味あわせてくれるわよ」
俺の粘液を舌と唇にたっぷり塗って、魔界の王女は勇者にキスをした。しかも、その舌で勇者の唇をこじ開けて固く閉ざした勇者の歯をなめつくすような濃厚なキスだ。俺の粘液が勇者の唇の中で唾液と混じり合い、その唇の端からツツーと垂れる。
魔界の王女の濃厚キスによって俺の粘液が口の中に入り、歯と歯の隙間から口内に入り、ついにごくんと飲み込んでしまうと、勇者はびくびくと震え出した。
「すごいでしょ、股間が熱くてしょうがないでしょ」
「な、なんだ、これは・・・」
勇者は、自分の身体の変化に動揺する。
「すごく、気持ちよくなる俺の体液だ。どうだ、気分は?」
触手の化け物である俺に馴れ馴れしく話しかけられ勇者がぎょっとする。
「き、貴様、これで勝ったと思うなよ」
「そういう台詞、ぼろ負けが確定した敗者の使う言葉だぜ」
「そうです、触手様のすばらしさを認めて、すべてを受け入れなさい」
王女が粘液まみれの濃厚キスで勇者を攻め続ける。次第に口を開けてしまい、二人の舌が艶めかしく絡み合いだした。
勇者は、よく頑張ったと思う。
たぶん、勇者の鎧には、俺の邪神様からの賜りものである粘液の媚薬効果を跳ね除ける力があるのだろう。なかなか勇者はしぶとかったが、勇者と王女と俺の触手たちが絡み合い、持久戦になり、次第に勇者が「はぁ、はぁ」とアヘ顔になっていく。
いくら神の贈り物の鎧であっても、無敵というわけではなさそうだ。勇者は内から火照る肉体に抗えないように暑苦しそうに自分の鎧をぬぎだしていた。
「も、もうやめてくれ、あ、ぁぁ、だめ、こ、降参だ・・・」
王女のキス攻めに耐え切れず、勇者が情けない顔で懇願してきた。

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