3.11のあった年に

木全伸治

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死ぬ気でやれば、なんとかなる。

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昭和の時代、根性論というか、無理してでも仕事を頑張るのが当然という思想が、存在した。実際、昭和生まれのおっさんである私はシナリオでリテイクが出る度に徹夜でシナリオの修正をしていた。そういうカラダに無理をさせた積み重ねが、高血圧による脳卒中(脳内出血)を引き起こした。
文字通り、命がけで頑張って働いた結果、本当に死にかけた訳である。他人から見たら、「何やってんだこいつ、そこまで無理するなんて頭おかしいんじゃねぇの」と言われるかもしれない。実際、私自身、倒れてみて、脳卒中の後遺症でリハビリの苦労を体験してみると、あそこまで死ぬ気でやる必要があったのか疑問である。
それに、脳卒中で倒れ、その後遺症で左半身に麻痺が残ると分かっていたら、私だって、無理して徹夜なんかしなかったろうし、たっぷり睡眠をとり、日々の食事に気を使い、もっと身体を大事にしただろう。けれど、やらなかった。死ぬ気で頑張っていれば、いずれ良くなると思っていたからだ。
脳内に痛覚はないので脳卒中を起こしたとき、私は何が起きたのかもわからず、全身が麻痺して声も出せず倒れた。糸の切れた操り人形のように一切、身体に力が入らなかったのを覚えている
死にかけることほど、世の中怖いことはないだろうし、倒れるまで働くなんて、今思い返すと、異常だったなと思う。だが、フリーランスでシナリオライターをするということは、クライアントの指示通りに動かないといけなくて、そして、大抵、依頼する側の方が、上から目線でリテイク等をバンバン出す。私が脳卒中で倒れる直前に受けていた仕事も、やたらとリテイクを出すクライアントで、それに応えるべく、連日徹夜して、身体に負担をかけ、それが脳卒中という形で爆発した。
50の私より、若い漫画家やラノベ作家が死んだりするのも当然だよな、と。誰もが、いい作品を生み出したいと願い身体に無理をして、栄養ドリンクをがぶ飲みして徹夜などをする。その結果命削って、あの世行きというわけだ。
これは嘘や誇張ではない。実際にフリーランスのエロゲーのライターだった私が、命がけで得た、教訓である。
で、無理した結果、愚かに死にかけたというわけである。
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