怪異の忘れ物

人ごみを処理する

それは巨大なロボットだった。その巨大な足に踏みつぶされないように逃げ惑う人々は建物に追い詰められ、その建物ごと踏みつぶされていた。
まるで羊の群れを一か所に集めるように、まず人々を追い立て、ゴミを取集するように建物に集めた人間を圧し潰して処理する。増えすぎた生物を間引いて、その惑星環境で生存できる適正な数にするための、処置だった。このままでは地球は増えすぎた人類のために、環境破壊が続き、果ては、この星のすべての生物を道連れにする核戦争を起こしかねないと、銀河の知的生命体がつくる連盟が決を下し、人類を間引くためのロボットたちを地球に派遣したのだった。ロボットは命令通り無慈悲に殺戮を行い、とにかく予定数まで人類が減るまで活動し、都市部がほとんどに廃墟になったころ、ようやく停止した。
地球上の人口は大きく減少したが、車の渋滞もなくなり、家庭のゴミもプラスチックごみも大量に生産されなくなった地球は、産業革命以前に近い状態に戻った分、自然が豊かな星に戻った。