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54話 そんなスキルってあり?
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森の中で見つけた飛行機の胴体と言うよりも、機体の真ん中部分。その中には4人の遭難者が居た。
水あり、食糧あり、トイレあり、毛布や枕もあり、椅子の肘当てを上に上げると座席で寝る事も可能だ。勿論通路でも寝られる。
機体の前後が外に通じているのが多少の不安を感じるが、キャリーバッグなどを積み上げてある。
俺たち6人を快く受け入れてくれてありがたい。この3日、外で敵の攻撃を気にしながら交代で睡眠をとっていたし、ぐっすりと横になれた事もなかった。
高校生、ましてや小学生の杏達にはキツかった事だろう。俺もたったひとりの大人として気を張っていた。
それが屋根、壁、床がある場所で休む事が出来るのだ。本当に助かった。
水と食事もありがたかった。
「これあったかいよ?」
「うん、熱いくらい。パンもホカホカ!」
「うめぇぇぇ、久しぶりの飯だ」
みんな大喜びだった。これが夢で、実は俺たちは森の中で死にかけてる、なんて事はないよな?
まぁ、もしそうでもいいか。最後に腹一杯になってあったかい場所で毛布にくるまって寝てる間に死ねれば。
俺たちは食後に直ぐに寝てしまった。それくらい疲れていた。食事をしながら岩盤石の荒地での話を多少はしたが、何故こんな世界に居るのか誰にも謎は解けなかった。だが怖い生物が居る事だけは皆が理解した。
本当なら、誰かが見張りに立つべきであったが、皆が気絶するように爆睡してしまった。
4日目。
目が覚めた。この世界に来て久しぶりの爽やかな目覚め。よく寝たと伸びをしてスマホで時間を確認して慌てた。
もう昼過ぎだ。しかも警戒もなく、見張りも立てずに寝てしまった。
慌てて立ち上がる。
通路や座席にはまだ熟睡している子供達。そして俺に気がつき若い奥さん(乳児が居る方)がこちらへ歩いてきた。
「よく寝られましたか? 昨日は話も途中でしたけど皆さん疲れているみたいでしたので話はまた明日と、私達も休んだんです」
「あ、すみません。お世話になって」
「いえ、あ、お食事されますか?ギャレーからとってきます。飲み物はコーヒーでいいかしら」
「あ、自分でやります。あいえ、勝手に触ってよければですが」
「ああ、どうぞ。別に私達の物というわけではないので」
「ですが、食糧の在庫とかは見ておいた方がいいですね。この先救助がどのくらいで来るのかわかりませんから」
「それが、多分大丈夫なんです。それも昨日話そうと思ったんですけど、皆さんが寝てしまわれたので」
俺はギャレーに案内されて驚きの現実を目の当たりにした。
何と、ギャレーの食事や飲み物は翌朝になると復活しているそうだ。昨日は夫婦の奥さんもそんな事を言っていたが聞き流してしまっていた。
機内の照明は消えている。トイレはライトで灯りをとっている。それ以外は窓からの光だ。なのに、機内の食事トレーは温かいまま。冷たい物は冷えたままだそうだ。
「私達も昨日の朝に気がついたばかりなんです。初日はまだ大勢いましたし、2日目は出て行ったばかりでゴタついていて。それで3日目にあれ?っとなって。今朝も見たら戻って居たので、多分そうなんだなと」
「戻る…………。機内の食糧が元に戻る?」
「ええ」
ギャレー内のあちこち開けながら説明をされた。
「私も使い方とか入っている場所がまだよくわかってないんです。九条さんの奥さんの方がもう少しわかっているかもしれません」
九条さん?あぁそう言えば自己紹介もせずに昨夜は寝落ちしてしまった。
皆が起きたらそこからだな。
ギャレーにある物の在庫をそこにあった紙にペンで記入していると徐々に皆が起き出してきた。
久しぶりによく眠れたようでサッパリとした顔をしていた。
「トイレで顔を洗ってこい」
ギャレーから声をかけるとドドとクサがトイレへと向かう。既に倉田が使用中だったようで、中から大きな声が聞こえてきた。
「こっちは今使ってるから、別のとこに行ってー! 男子は後ろ側のトイレね!」
なるほど。隣から杏が出てきたと思ったら紬が入った。ドドクサはぶつぶつ言いながら通路を後方へと歩いていった。
ギャレーの食糧のチェックが終わり、皆の食事を準備して運んだ。
うん、このカートから出てくる温かい食事セット。凄いな。毎朝リセットされるのか?
食べながら昨日うっかりとしていた自己紹介を行った。
それから、昨日は彼らの話を聞いたので今度はこちらの話をした。
スキルの話になった時に(親子の母親の方は桜井と名乗った)、桜井さんはどうやらスキル持ちなのがわかった。
「一瞬見えた気がして……気のせいかも知れないんですが」
なんと『空間(機内1.000001)』だそうだ。初めて聞いたスキルだぞ?
空間?空間スキルとはどう言う事だ?
小説で空間スキルとくると、例えばアイテムボックスとかが有名だ。
それが『機内』?…………機内っておそらくこの飛行機の機内の事だよな。
スキルがこの飛行機、しかも機内。つまり飛行機の中?
そして1.000001だと?経験値が入ると言う事はレベルアップもあるのか?それもおれの『完全防御』に近いゼロの多さだ。
それはつまり、物理攻撃などと比べてかなりレアであると思う。この機内のギャレーで朝に食糧がリセットして復活しているのもスキルの関係だろうか?いや、うん。おそらくそうだろう。
機内の食料が復活なんてスキル以外の何物でもない気がする。
考えようによっては俺の防御よりもずっとお得感があるな。俺もボックス防御よりギャレーの方が欲しいぞ。
ちなみに九条さん夫婦はスキルなしだったそうだ。
俺のスキルは俺を中心にボックス型であるので、当然俺が動くと防御も付いてくる。
空間スキルはどうなんだろう。桜井さん親子はこの機内から外へ出た事がないと言っていたな。
まさか、機内から出られないのか?
聞いてみたがそんな事はないそうだ。外が怖くてあえて出ないだけで、出ようと思えば出られるそうだ。
ここに来た初日にトイレが混雑していて、思わず外へ出たそうだ。
「あの時はまだ外が怖いと思っていなかったので……」
今はもう出られないと言う。うん、食糧に困らないならしばらくここにこもってもいいかもしれない。
何か対策が浮かばない事には外は危険すぎる。
外で何かの獣声がしても中まで入ってきた事はないそうだ。
となると、皆にはここに居てもらい、完全防御のある俺が森の中探索するしかないだろう。
どこまで信じていいのかわからないが、『完全防御』の完全を、信じているからな。頼むぞ?
水あり、食糧あり、トイレあり、毛布や枕もあり、椅子の肘当てを上に上げると座席で寝る事も可能だ。勿論通路でも寝られる。
機体の前後が外に通じているのが多少の不安を感じるが、キャリーバッグなどを積み上げてある。
俺たち6人を快く受け入れてくれてありがたい。この3日、外で敵の攻撃を気にしながら交代で睡眠をとっていたし、ぐっすりと横になれた事もなかった。
高校生、ましてや小学生の杏達にはキツかった事だろう。俺もたったひとりの大人として気を張っていた。
それが屋根、壁、床がある場所で休む事が出来るのだ。本当に助かった。
水と食事もありがたかった。
「これあったかいよ?」
「うん、熱いくらい。パンもホカホカ!」
「うめぇぇぇ、久しぶりの飯だ」
みんな大喜びだった。これが夢で、実は俺たちは森の中で死にかけてる、なんて事はないよな?
まぁ、もしそうでもいいか。最後に腹一杯になってあったかい場所で毛布にくるまって寝てる間に死ねれば。
俺たちは食後に直ぐに寝てしまった。それくらい疲れていた。食事をしながら岩盤石の荒地での話を多少はしたが、何故こんな世界に居るのか誰にも謎は解けなかった。だが怖い生物が居る事だけは皆が理解した。
本当なら、誰かが見張りに立つべきであったが、皆が気絶するように爆睡してしまった。
4日目。
目が覚めた。この世界に来て久しぶりの爽やかな目覚め。よく寝たと伸びをしてスマホで時間を確認して慌てた。
もう昼過ぎだ。しかも警戒もなく、見張りも立てずに寝てしまった。
慌てて立ち上がる。
通路や座席にはまだ熟睡している子供達。そして俺に気がつき若い奥さん(乳児が居る方)がこちらへ歩いてきた。
「よく寝られましたか? 昨日は話も途中でしたけど皆さん疲れているみたいでしたので話はまた明日と、私達も休んだんです」
「あ、すみません。お世話になって」
「いえ、あ、お食事されますか?ギャレーからとってきます。飲み物はコーヒーでいいかしら」
「あ、自分でやります。あいえ、勝手に触ってよければですが」
「ああ、どうぞ。別に私達の物というわけではないので」
「ですが、食糧の在庫とかは見ておいた方がいいですね。この先救助がどのくらいで来るのかわかりませんから」
「それが、多分大丈夫なんです。それも昨日話そうと思ったんですけど、皆さんが寝てしまわれたので」
俺はギャレーに案内されて驚きの現実を目の当たりにした。
何と、ギャレーの食事や飲み物は翌朝になると復活しているそうだ。昨日は夫婦の奥さんもそんな事を言っていたが聞き流してしまっていた。
機内の照明は消えている。トイレはライトで灯りをとっている。それ以外は窓からの光だ。なのに、機内の食事トレーは温かいまま。冷たい物は冷えたままだそうだ。
「私達も昨日の朝に気がついたばかりなんです。初日はまだ大勢いましたし、2日目は出て行ったばかりでゴタついていて。それで3日目にあれ?っとなって。今朝も見たら戻って居たので、多分そうなんだなと」
「戻る…………。機内の食糧が元に戻る?」
「ええ」
ギャレー内のあちこち開けながら説明をされた。
「私も使い方とか入っている場所がまだよくわかってないんです。九条さんの奥さんの方がもう少しわかっているかもしれません」
九条さん?あぁそう言えば自己紹介もせずに昨夜は寝落ちしてしまった。
皆が起きたらそこからだな。
ギャレーにある物の在庫をそこにあった紙にペンで記入していると徐々に皆が起き出してきた。
久しぶりによく眠れたようでサッパリとした顔をしていた。
「トイレで顔を洗ってこい」
ギャレーから声をかけるとドドとクサがトイレへと向かう。既に倉田が使用中だったようで、中から大きな声が聞こえてきた。
「こっちは今使ってるから、別のとこに行ってー! 男子は後ろ側のトイレね!」
なるほど。隣から杏が出てきたと思ったら紬が入った。ドドクサはぶつぶつ言いながら通路を後方へと歩いていった。
ギャレーの食糧のチェックが終わり、皆の食事を準備して運んだ。
うん、このカートから出てくる温かい食事セット。凄いな。毎朝リセットされるのか?
食べながら昨日うっかりとしていた自己紹介を行った。
それから、昨日は彼らの話を聞いたので今度はこちらの話をした。
スキルの話になった時に(親子の母親の方は桜井と名乗った)、桜井さんはどうやらスキル持ちなのがわかった。
「一瞬見えた気がして……気のせいかも知れないんですが」
なんと『空間(機内1.000001)』だそうだ。初めて聞いたスキルだぞ?
空間?空間スキルとはどう言う事だ?
小説で空間スキルとくると、例えばアイテムボックスとかが有名だ。
それが『機内』?…………機内っておそらくこの飛行機の機内の事だよな。
スキルがこの飛行機、しかも機内。つまり飛行機の中?
そして1.000001だと?経験値が入ると言う事はレベルアップもあるのか?それもおれの『完全防御』に近いゼロの多さだ。
それはつまり、物理攻撃などと比べてかなりレアであると思う。この機内のギャレーで朝に食糧がリセットして復活しているのもスキルの関係だろうか?いや、うん。おそらくそうだろう。
機内の食料が復活なんてスキル以外の何物でもない気がする。
考えようによっては俺の防御よりもずっとお得感があるな。俺もボックス防御よりギャレーの方が欲しいぞ。
ちなみに九条さん夫婦はスキルなしだったそうだ。
俺のスキルは俺を中心にボックス型であるので、当然俺が動くと防御も付いてくる。
空間スキルはどうなんだろう。桜井さん親子はこの機内から外へ出た事がないと言っていたな。
まさか、機内から出られないのか?
聞いてみたがそんな事はないそうだ。外が怖くてあえて出ないだけで、出ようと思えば出られるそうだ。
ここに来た初日にトイレが混雑していて、思わず外へ出たそうだ。
「あの時はまだ外が怖いと思っていなかったので……」
今はもう出られないと言う。うん、食糧に困らないならしばらくここにこもってもいいかもしれない。
何か対策が浮かばない事には外は危険すぎる。
外で何かの獣声がしても中まで入ってきた事はないそうだ。
となると、皆にはここに居てもらい、完全防御のある俺が森の中探索するしかないだろう。
どこまで信じていいのかわからないが、『完全防御』の完全を、信じているからな。頼むぞ?
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