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開拓前に
フレンド登録が終わると山さんは早急にやるべき事を開拓村の人から聞き出していた。
元からいた開拓民達もそんなに前からいたわけではなく、粗末ながらも自分達の家と小さな畑を作ったばかりだそうで、自分達の食べる分もギリギリという事だった。
となると、まずは衣食住の「食」と「住」。
山さんは畑作業チームと家作りチームを作った。
チーム①建築 5名
キック、押尾、4係3名
チーム②建築 5名
長谷川、5係4名
チーム③農業 6名
ナオリン、西野、立山、1係3名
チーム④農業 8名
安田、大塚、大久保、水戸、石岡、友部、1係2名
建築チームは男性10名で農業チームは女性14名。
ステータスのPT(パーティ)は8人が限度のため、それぞれ2チームに分けたそうだ。
PTを組んだ方が報連相(報告・連絡・相談)がしやすいためだ。
それからチーム⑤補助 5名
山さん、ヨッシー、ユースケ、俺カオ、ユイちゃん。
あっちゃんは教会でマルクやアリサ達と一緒に居てほしいので、PTメンバーには入っているが、作業チームには入れていない。
俺たちも開拓村の「食」「住」が落ち着くまでは村の作業に参加するつもりだ。
キックとナオリンは作業チームとPTを組むため、俺たちのPTから一旦抜けた。
建築の知識や土木の経験者がいないかと山さんが建築チームに聞いたが、名乗り出る者は誰もいなかった。
「カオくん、そんな魔法とかないの?」
ショボンとした顔の山さんがくるりと俺に向きなおり聞いてきた。男性数人が期待に満ちた顔で俺を見ていた。
「無いですよ、てかそんな魔法ってどんな魔法ですか」
笑いながら即答した。
俺がラノベの主人公とかなら、“そんな魔法”もあるんだろうけど。
土木魔法であっという間に家が建つ…とか、農業魔法でスワっと耕した畑に多種多様の野菜や果物がニョキニョキ。
いや、無いから。俺には。
「俺のやってゲームはファンタジー物でもモンスター倒すのがメインだったからなぁ」
キックがうんうんとうなづいていた。
「そうですね。ラインエイジは魔物倒してレベル上げ、魔物からのドロップで武器防具をランクアップってゲームでしたね」
「ひたすら魔物退治のレベル上げゲームだったよなぁ。生産系とかスローライフ系じゃなかったからな」
「あ、でもあの魔法は便利でしたよ。街で仕事する時かけてもらったやつ」
ユースケの言葉にヨッシーも思い出したように言う。
「あぁ! アレいいよな。力仕事もラクだったしケガしないし。あと仕事の後のヒール? アレはありがたかった」
仕事の後のビール、みたいに言うな(笑)
「へええ、そんな魔法もあるんだ。さすがカオくんだね」
「防御魔法や補助魔法とあと回復魔法ですね。家は建てられないけど、家の材料集め…のための体力補助魔法くらいなら」
「家の建て方は俺らが教える」
近くで聞いていた開拓村のリーダー、スワンダさんが話に加わった。
「アンタらは出来るだけ材料を近くの森から切り出してくれ」
「村に戻ったら実際どんな材木が必要か教えてください」
「わかった」
「女性チームは畑作りをお願いする。立山さんが経験者って事で農作業リーダーをお願いできるかな」
「はい。頑張ります。よろしくお願いします」
「僕もね、お手伝いするよ」
タルタが可愛く宣言した。
開拓村の村長スワンダは少し渋いだけ顔だ。
「畑を数日ほったらかしてるから、もしかしたら枯れてるのもあるかもしれん」
「ゴブリンのやつらが荒らしてないといいが」
「村へはいつ戻れるのかのぅ」
「まだ数日は村への護衛は出してもらえんだろう」
ゴブリン氾濫のせいで突然村を離れる事になったのだ。開拓村の人が不安に思う気持ちもわかる。
「あの、見にいきます? 2~3人なら連れて行けるので。でも飛んだ先にゴブリンがいると困るからキックと…山さんに同行頼んでもいいか?」
「護衛をしてもらえるのか?」
スワンダの表情が少しだけ明るくなる。
「ええまぁ。キックと山さんがDEと剣士なので護衛してもらえれば」
「ちょ、僕は剣士でもほぼ素人だよ」
「大丈夫。誰でも初めてはあります」
「うわぁ、うん。まぁ頑張ってみる」
「キックはオッケーっしょ?」
「リョ」
あ、キックがDEに見える。以前のキックと何か違う。
「カオッチ、開拓村まで飛べるの?」
「うん。ほら、脱走者探して村まで行ったから。そん時にブクマしてある」
あっちゃん達同居組はなるほどと納得した。俺はスワンダに顔を向けた。
「今行きます?」
「あ? 今って今すぐかね?」
「ええ、このまますぐに。ちょっと畑を見るだけなら、行ってすぐ戻ってくるし。あ、俺、移動魔法使えるので皆を連れて飛べるから」
というわけで、村長のスワンダさんと他男性2名、それにキックと山さんの合計5人を連れて開拓村へテレポートした。
神殿の石壁に囲まれた部屋から一瞬で村の入り口へ。
最初驚いて腰を抜かしかけた村長らだが、すぐに立ち直り村の中へ、粗末な家の間を通り過ぎて畑へと走っていった。
俺たちはマップで魔物が村の中や近辺にいない事を確認した。
村の中はもちろん、村近くにもそれらしい赤い点は映ってなかった。
畑はやはり水が乾いて枯れかけていたのですぐに水やりをしたいと言われた。
出来ればもっと村人達を連れてきてほしいと言われた。
万が一のためキックと山さんを村に残して、村長を連れて神殿へ戻った。
村長から村民に説明をしてもらう。
結局全員が戻る事になり、何度か往復をして残りの村民を運んだ。
神殿長には報告済みでギルドにも連絡をしてもらった。
ギルド登録をまだしていない皆は本来は登録が終わるまで神殿で待機のはずだった。
が、驚いた事にみな早く村へと戻りたがった。開拓やる気満々だな。
ギルド登録は後日、という事になり全員が開拓村へ戻った。
ぎゅうぎゅうにくっついても全員一緒にテレポは無理だったwなので頑張って往復した。
あの氾濫(と、脱走)の混乱で俺の魔法なんてバレまくりだ。隠したら、いつどのタイミングで誰に言うかとか、そういうので悩みそうなので、バレてスッキリだ。フンス。
それと、完全に不足している開拓村の食料問題だが、俺がやまとビルのフロアから頂戴していた防災グッズから缶パン、おこわ、缶詰を段ボールで出した。
いざと言う時用に保管、とヨッシーやあっちゃん達と話していたが、
今が“いざと言う時”だと判断した。もちろんあっちゃん達皆んなの了承も得ている。
作業用ヘルメットや軍手も出した。ある程度の家が出来たら毛布も出す予定だ。
それらを出している時に1係の女性がふたり近づいてきた。
「あの、さっきのテレポート……。あれで事務フロアに飛ぶことは可能ですか?」
おずおずと聞いてきた。
「どうしても、取ってきたい物があるの! お願いします!」
「あの……アレになっちゃって…その」
「???」
俺がハテナな顔をしているとユイちゃんが、ああ!と叫んだ。
「カオさん…というか男性には言いにくいけどアレですよね、わかります」
「アレ?」
「ああ、アレか」
「アレ???」
山さんはわかったようだ。あと、その場にいた女性らもうなづいていた。ヨッシーとユースケも頷いてる。
何だよう……派遣にはわからん何かなの?グスン。
「お、おう。アレだよな。うん。ア、アレは、無いとダメだよね? うんうんうん。アレだよ」
知ったかぶりをして見たが、視線が冷たい人と生暖かい人がおる。(汗)
「カオくん、事務フロアはどうだろう?」
何かわからないが山さんが言うからには大事な何かなのか?
「ええと、ブクマしてるから飛べるには飛べるが、あの森は危険だからなぁ。ほら、死霊の森」
「ああ、そっか。ううむ」
どうしても取りに帰りたい物が何なのかわからないけど、どうかなぁ。とりあえず俺だけで一瞬飛んで危険かどうかを見てくるか。
「とりあえず俺が飛んで魔物がいるか見てくるわ。あの森に魔物が全くいないとは思えないし遠くにいてもすぐ寄ってくるだろうな。取ってくる物って俺にもわかる物?人が多いほど危険だから連れていくのはなぁ」
「私が一緒に行きますよ」
ナオリンが前に出てきた。
「今、この村の近くに魔物はいないし、念のため山さんに残って貰えれば自分も行きますよ」
キックも死霊の森行きに申し出た。DEに拳士か。長居しなければ大丈夫か?
一晩泊まったくらいだしな。
それにしてもキックにも「アレ」わかったんだ?キックの目をジッと見つめたら、キックが目を逸らした。よっし!キックは仲間だ。
「オッケー。じゃあ、何を取ってくるのかナオリンに説明して。迷わず持ってこれるように詳細に場所教えてな」
持ってきたい物はどうやら机やロッカーに入っているらしい。誰の机かをいちいち確認して持ち運ぶより、手分けして手当たり次第に机とロッカーを収納してくることになった。
「じゃ、まず俺がひとりでとんで近くに魔物がいないか見てくる。いなかったらすぐ戻るから、そしたら3人で飛ぶぞ」
「わかった」
「はい。ここで待ってます」
そう言えば俺って結局あの死霊の森の赤い点の魔物が何か、直接見ていないんだよな。
アンデッドって聞いてたから勝手にゾンビとかグールとかスケかなと思ってる。
そんな事を思いながらテレポートした。
懐かしき、フロアの非常口の壁の前。マップを確認した。
ああ、割と遠目だがいるな、森の中に赤い点はある。今が昼間だからか、フロアの中にはいない。行くなら今がチャンスか。
俺はすぐにテレポで戻った。
「フロアにはいない、けど森の遠目にはいる。短時間で取ってこよう」
そう言うとキックとナオリンを連れてテレポートした。
「お…」
「うわ、懐かしい」
ビルを目の前にふたりは感慨に耽っていたが一蹴した。
「急ごう、寄ってくるぞ」
「うわ、本当だ。いますね」
非常口から中に入って3人は散って計画通りに机とロッカーをアイテムボックスに収納していった。
選ぶより、あとで要らないのを捨てるそうだ。俺はついでに消火器も頂戴した。やっぱ家に設置しておきたいよな。火事怖いからね。
そんなに時間はかからずに収納を終えて村へテレポートで帰還した。
机(ロッカー)ごと渡したので結局“アレ”は何なのかわからなかった。
元からいた開拓民達もそんなに前からいたわけではなく、粗末ながらも自分達の家と小さな畑を作ったばかりだそうで、自分達の食べる分もギリギリという事だった。
となると、まずは衣食住の「食」と「住」。
山さんは畑作業チームと家作りチームを作った。
チーム①建築 5名
キック、押尾、4係3名
チーム②建築 5名
長谷川、5係4名
チーム③農業 6名
ナオリン、西野、立山、1係3名
チーム④農業 8名
安田、大塚、大久保、水戸、石岡、友部、1係2名
建築チームは男性10名で農業チームは女性14名。
ステータスのPT(パーティ)は8人が限度のため、それぞれ2チームに分けたそうだ。
PTを組んだ方が報連相(報告・連絡・相談)がしやすいためだ。
それからチーム⑤補助 5名
山さん、ヨッシー、ユースケ、俺カオ、ユイちゃん。
あっちゃんは教会でマルクやアリサ達と一緒に居てほしいので、PTメンバーには入っているが、作業チームには入れていない。
俺たちも開拓村の「食」「住」が落ち着くまでは村の作業に参加するつもりだ。
キックとナオリンは作業チームとPTを組むため、俺たちのPTから一旦抜けた。
建築の知識や土木の経験者がいないかと山さんが建築チームに聞いたが、名乗り出る者は誰もいなかった。
「カオくん、そんな魔法とかないの?」
ショボンとした顔の山さんがくるりと俺に向きなおり聞いてきた。男性数人が期待に満ちた顔で俺を見ていた。
「無いですよ、てかそんな魔法ってどんな魔法ですか」
笑いながら即答した。
俺がラノベの主人公とかなら、“そんな魔法”もあるんだろうけど。
土木魔法であっという間に家が建つ…とか、農業魔法でスワっと耕した畑に多種多様の野菜や果物がニョキニョキ。
いや、無いから。俺には。
「俺のやってゲームはファンタジー物でもモンスター倒すのがメインだったからなぁ」
キックがうんうんとうなづいていた。
「そうですね。ラインエイジは魔物倒してレベル上げ、魔物からのドロップで武器防具をランクアップってゲームでしたね」
「ひたすら魔物退治のレベル上げゲームだったよなぁ。生産系とかスローライフ系じゃなかったからな」
「あ、でもあの魔法は便利でしたよ。街で仕事する時かけてもらったやつ」
ユースケの言葉にヨッシーも思い出したように言う。
「あぁ! アレいいよな。力仕事もラクだったしケガしないし。あと仕事の後のヒール? アレはありがたかった」
仕事の後のビール、みたいに言うな(笑)
「へええ、そんな魔法もあるんだ。さすがカオくんだね」
「防御魔法や補助魔法とあと回復魔法ですね。家は建てられないけど、家の材料集め…のための体力補助魔法くらいなら」
「家の建て方は俺らが教える」
近くで聞いていた開拓村のリーダー、スワンダさんが話に加わった。
「アンタらは出来るだけ材料を近くの森から切り出してくれ」
「村に戻ったら実際どんな材木が必要か教えてください」
「わかった」
「女性チームは畑作りをお願いする。立山さんが経験者って事で農作業リーダーをお願いできるかな」
「はい。頑張ります。よろしくお願いします」
「僕もね、お手伝いするよ」
タルタが可愛く宣言した。
開拓村の村長スワンダは少し渋いだけ顔だ。
「畑を数日ほったらかしてるから、もしかしたら枯れてるのもあるかもしれん」
「ゴブリンのやつらが荒らしてないといいが」
「村へはいつ戻れるのかのぅ」
「まだ数日は村への護衛は出してもらえんだろう」
ゴブリン氾濫のせいで突然村を離れる事になったのだ。開拓村の人が不安に思う気持ちもわかる。
「あの、見にいきます? 2~3人なら連れて行けるので。でも飛んだ先にゴブリンがいると困るからキックと…山さんに同行頼んでもいいか?」
「護衛をしてもらえるのか?」
スワンダの表情が少しだけ明るくなる。
「ええまぁ。キックと山さんがDEと剣士なので護衛してもらえれば」
「ちょ、僕は剣士でもほぼ素人だよ」
「大丈夫。誰でも初めてはあります」
「うわぁ、うん。まぁ頑張ってみる」
「キックはオッケーっしょ?」
「リョ」
あ、キックがDEに見える。以前のキックと何か違う。
「カオッチ、開拓村まで飛べるの?」
「うん。ほら、脱走者探して村まで行ったから。そん時にブクマしてある」
あっちゃん達同居組はなるほどと納得した。俺はスワンダに顔を向けた。
「今行きます?」
「あ? 今って今すぐかね?」
「ええ、このまますぐに。ちょっと畑を見るだけなら、行ってすぐ戻ってくるし。あ、俺、移動魔法使えるので皆を連れて飛べるから」
というわけで、村長のスワンダさんと他男性2名、それにキックと山さんの合計5人を連れて開拓村へテレポートした。
神殿の石壁に囲まれた部屋から一瞬で村の入り口へ。
最初驚いて腰を抜かしかけた村長らだが、すぐに立ち直り村の中へ、粗末な家の間を通り過ぎて畑へと走っていった。
俺たちはマップで魔物が村の中や近辺にいない事を確認した。
村の中はもちろん、村近くにもそれらしい赤い点は映ってなかった。
畑はやはり水が乾いて枯れかけていたのですぐに水やりをしたいと言われた。
出来ればもっと村人達を連れてきてほしいと言われた。
万が一のためキックと山さんを村に残して、村長を連れて神殿へ戻った。
村長から村民に説明をしてもらう。
結局全員が戻る事になり、何度か往復をして残りの村民を運んだ。
神殿長には報告済みでギルドにも連絡をしてもらった。
ギルド登録をまだしていない皆は本来は登録が終わるまで神殿で待機のはずだった。
が、驚いた事にみな早く村へと戻りたがった。開拓やる気満々だな。
ギルド登録は後日、という事になり全員が開拓村へ戻った。
ぎゅうぎゅうにくっついても全員一緒にテレポは無理だったwなので頑張って往復した。
あの氾濫(と、脱走)の混乱で俺の魔法なんてバレまくりだ。隠したら、いつどのタイミングで誰に言うかとか、そういうので悩みそうなので、バレてスッキリだ。フンス。
それと、完全に不足している開拓村の食料問題だが、俺がやまとビルのフロアから頂戴していた防災グッズから缶パン、おこわ、缶詰を段ボールで出した。
いざと言う時用に保管、とヨッシーやあっちゃん達と話していたが、
今が“いざと言う時”だと判断した。もちろんあっちゃん達皆んなの了承も得ている。
作業用ヘルメットや軍手も出した。ある程度の家が出来たら毛布も出す予定だ。
それらを出している時に1係の女性がふたり近づいてきた。
「あの、さっきのテレポート……。あれで事務フロアに飛ぶことは可能ですか?」
おずおずと聞いてきた。
「どうしても、取ってきたい物があるの! お願いします!」
「あの……アレになっちゃって…その」
「???」
俺がハテナな顔をしているとユイちゃんが、ああ!と叫んだ。
「カオさん…というか男性には言いにくいけどアレですよね、わかります」
「アレ?」
「ああ、アレか」
「アレ???」
山さんはわかったようだ。あと、その場にいた女性らもうなづいていた。ヨッシーとユースケも頷いてる。
何だよう……派遣にはわからん何かなの?グスン。
「お、おう。アレだよな。うん。ア、アレは、無いとダメだよね? うんうんうん。アレだよ」
知ったかぶりをして見たが、視線が冷たい人と生暖かい人がおる。(汗)
「カオくん、事務フロアはどうだろう?」
何かわからないが山さんが言うからには大事な何かなのか?
「ええと、ブクマしてるから飛べるには飛べるが、あの森は危険だからなぁ。ほら、死霊の森」
「ああ、そっか。ううむ」
どうしても取りに帰りたい物が何なのかわからないけど、どうかなぁ。とりあえず俺だけで一瞬飛んで危険かどうかを見てくるか。
「とりあえず俺が飛んで魔物がいるか見てくるわ。あの森に魔物が全くいないとは思えないし遠くにいてもすぐ寄ってくるだろうな。取ってくる物って俺にもわかる物?人が多いほど危険だから連れていくのはなぁ」
「私が一緒に行きますよ」
ナオリンが前に出てきた。
「今、この村の近くに魔物はいないし、念のため山さんに残って貰えれば自分も行きますよ」
キックも死霊の森行きに申し出た。DEに拳士か。長居しなければ大丈夫か?
一晩泊まったくらいだしな。
それにしてもキックにも「アレ」わかったんだ?キックの目をジッと見つめたら、キックが目を逸らした。よっし!キックは仲間だ。
「オッケー。じゃあ、何を取ってくるのかナオリンに説明して。迷わず持ってこれるように詳細に場所教えてな」
持ってきたい物はどうやら机やロッカーに入っているらしい。誰の机かをいちいち確認して持ち運ぶより、手分けして手当たり次第に机とロッカーを収納してくることになった。
「じゃ、まず俺がひとりでとんで近くに魔物がいないか見てくる。いなかったらすぐ戻るから、そしたら3人で飛ぶぞ」
「わかった」
「はい。ここで待ってます」
そう言えば俺って結局あの死霊の森の赤い点の魔物が何か、直接見ていないんだよな。
アンデッドって聞いてたから勝手にゾンビとかグールとかスケかなと思ってる。
そんな事を思いながらテレポートした。
懐かしき、フロアの非常口の壁の前。マップを確認した。
ああ、割と遠目だがいるな、森の中に赤い点はある。今が昼間だからか、フロアの中にはいない。行くなら今がチャンスか。
俺はすぐにテレポで戻った。
「フロアにはいない、けど森の遠目にはいる。短時間で取ってこよう」
そう言うとキックとナオリンを連れてテレポートした。
「お…」
「うわ、懐かしい」
ビルを目の前にふたりは感慨に耽っていたが一蹴した。
「急ごう、寄ってくるぞ」
「うわ、本当だ。いますね」
非常口から中に入って3人は散って計画通りに机とロッカーをアイテムボックスに収納していった。
選ぶより、あとで要らないのを捨てるそうだ。俺はついでに消火器も頂戴した。やっぱ家に設置しておきたいよな。火事怖いからね。
そんなに時間はかからずに収納を終えて村へテレポートで帰還した。
机(ロッカー)ごと渡したので結局“アレ”は何なのかわからなかった。
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