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9話 ライダー仲間
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----(清見視点)----
仏間は森を横目に走り、少し行くと湖と言うには小さい、大きな水溜まりのような場所の前で停まった。
目で見えるところに魔獣や魔虫は見当たらなかったが、念の為、ポヨン君達にお願いして付近に魔物が居ないか確認してもらった。 もちろん水の中もだ。
どこから何が出てくるかわからない世界だ。念には念をいれて行動をする。
昨日来て魔物が居なかったからと今日も居ない確証はない。
何しろこの世界は魔虫だの魔獣だの魔物がわんさかいるのだ。しかもやつらは肉食で、俺らは(たぶん)美味しい。(←誰説?)
ポヨン君達が周りを確認している間に、伊織先生は子供達のシートベルトを外してから着替えをさせていた。
タンクトップ……と言うには、そこまで洒落てはいない。
たぶん、昔爺ちゃんが着ていた袖のない肌着、それをあちこち摘んでサイズ調整したような?
子供らは着ていた服を脱がされて、皆、それに着替えていた。
「水着、なんです。もしかしてシャバシャバ池に行くかなと思って用意してきました」
しゃ…しゃばしゃば池?
あの水溜まりか。深さはせいぜい15センチほどなので、確かに子供用の水遊び場と言えない事もない。一度兄貴やママさん達、子供達とで来た事があった。
「今日は南東方面と聞いていたので、水着を持って来てよかったー」
「えっ? 伊織先生も?」
「私は普通の甚平ですけど。ちょっと押入れで着替えますね」
「私も着替えてくるわ」
今日の同行者である風呂ママさんも押入れへと消えていった。
皆、準備がいいなぁ。俺は水着なんて持って来なかった。
押入れから出て来た伊織先生と風呂ママさんは、普通に甚平だ。
水着と言っても、オシャレ水着ではない。うん、わかっていたよ? 異世界に水着を持って転移してくるやつなんていないよね?
うちの仏間の押入れからも水着は出て来なかった……よな?
「そうだ! 機体の荷物はどうだろう? 飛行機の荷物なら水着持って来てる人がいても不思議じゃない」
「清見君……、それは私達も考えたわ。でも私達がこの世界へ移転したのって3月の終わり頃じゃない? 海へのバカンスには早すぎるわ」
「ねー。残念。国際線ならそれもあったかもしれないけど、あの機体は国内線だったからねぇ」
そうか、そうだよな。
子供達は着るものに頓着なく水遊びを楽しんでいる。子供らの合間を縫うようにぷるん君らがスイスイと泳いでいた。スライムって泳げるんだ。ポヨン君は俺の横で座っている。
申し訳ないがうりゆ君達は仏間に繋いだままだ。
何か起こった時にすぐに移動できるようにと。交代で自由行動にしようかとも考えたが、この池での滞在時間はせいぜい1時間ほどだ。
子供達が30分ほどの水遊びのあと、仏間に戻り着替えておやつをして昼寝を始めた。その時にうりゆ君達を30分だけ自由時間にした。
俺も仏間で昼寝をしようかと思った時、遠くの方から地響きが聞こえた。うりゆ君達は見える所にはいない!
俺はすぐにポヨン君を見たが、ポヨン君は落ち着いた感じで微動だにしていなかった。
「……危険はない、のか?」
目を凝らして遠くを見る。地響きの元だろう何かがこちらへと近づいてくる土煙が見える。しかしポヨン君は寝たままだ。
四つ脚の魔物が見えてきた。背中の位置に何かが乗っているように見える。どんどんと近づくとはっきりと視認出来た。
自衛隊……、あ、今はもう自衛隊とは言わないんだっけ。ニッポンギルドの人達。大島氏も今やニッポンギルド員だからな。ええと、建築部門だっけ?(←間違っている)
かなり近くなると四つん這いの魔物がパンダコアラである事がわかった。
先頭のパンダコアラはミニバンを引いていた!ミニバンママの長谷川さんだ。
あれ? そう言えば、今日の仏間散歩には翔洋君も居たはず。
「こんにちはぁ」
「どもっす! 清見さん」
「こんにちはー」
俺が仏間の中の翔洋君を探す間に、コアラパンダ軍団の皆さんは仏間の前に控えていたコアラパンダを止めていた。
長谷川さんのミニバンのみ、コアラパンダが引くようにしてあるが、他のコアラパンダは背中に騎乗出来るように何かが取り付けられていた。乗馬で言う『鞍』とか『鎧』ってやつかな。それっぽいのを作って乗せている。
実はうちのうりゆ君達にも、仏間を引く以外に直接乗れるように、像の背に乗せるようなものをひとつ作ってくれたのだが、それに乗るよりも仏間を引いてもらった方が安定して乗っていられるので、ほとんど使っていない。
「今日は保育園でこっち方面に遠足に行くかもしれないと聞いていたので、訓練の帰りに寄ってみたのよ」
「ままぁ」
ちょうど目を覚ました翔洋君が仏間から出て来て母親に抱きついた。
続けて起き始めた他の園児が母親に抱きついた翔洋を見て、近くにいた伊織先生や風呂ママさんに抱きついたりしがみつく。抱きつく先に溢れた園児が俺に突進してきた。
「今日は訓練なんですか?」
園児まみれになりながらミニバンママさんに聞く。
「そうなの。先日コアラパンダをテイムしたばかりのメンバーがいるので、騎乗訓練を兼ねて走り回っていたの」
そう言われてみると、小さめのコアラパンダを従えた隊員……ああと、面倒くさいな、隊員じゃなくてギルドメンバー?ギルメンさんがいた。
ふと気がついたんだが、連日走り回っているせいなのか、桜さんやパンさん達コアラパンダが、なんだろう……少し筋肉質になってきてない? 気のせいかな? 毛が生えているからハッキリとはわからないけど、なんかがっしりしてきている気がする。
俺は慌ててうりゆ君らを確認しようとしたが、今は自由時間だった。うちの子も毎日重たい仏間を引かせてしまって、筋肉モリモリのうり坊になっちゃったか?
そういえば、拾ってから3年近く経つが、もう『ウリ坊』ではないのか? でも、拾った時の『うり坊』からサイズは巨大化したけど見た目はあの可愛らしいままなんだよな。
大人の猪ってもっとゴツい見た目というか、うりゆ君達を拾った迷宮の大広間に居た巨大猪……、まだ、あの形態にはチェンジしていないと思う。
猪ってどのくらいで大人になるんだろう。大きさはともかく、今の可愛いフォルムと柔らかい毛を、今のうちに楽しんでおかないとな。
その後、コアラパンダ隊に伴走されて仏間はニッポンの地上部へと帰還した。
仏間は森を横目に走り、少し行くと湖と言うには小さい、大きな水溜まりのような場所の前で停まった。
目で見えるところに魔獣や魔虫は見当たらなかったが、念の為、ポヨン君達にお願いして付近に魔物が居ないか確認してもらった。 もちろん水の中もだ。
どこから何が出てくるかわからない世界だ。念には念をいれて行動をする。
昨日来て魔物が居なかったからと今日も居ない確証はない。
何しろこの世界は魔虫だの魔獣だの魔物がわんさかいるのだ。しかもやつらは肉食で、俺らは(たぶん)美味しい。(←誰説?)
ポヨン君達が周りを確認している間に、伊織先生は子供達のシートベルトを外してから着替えをさせていた。
タンクトップ……と言うには、そこまで洒落てはいない。
たぶん、昔爺ちゃんが着ていた袖のない肌着、それをあちこち摘んでサイズ調整したような?
子供らは着ていた服を脱がされて、皆、それに着替えていた。
「水着、なんです。もしかしてシャバシャバ池に行くかなと思って用意してきました」
しゃ…しゃばしゃば池?
あの水溜まりか。深さはせいぜい15センチほどなので、確かに子供用の水遊び場と言えない事もない。一度兄貴やママさん達、子供達とで来た事があった。
「今日は南東方面と聞いていたので、水着を持って来てよかったー」
「えっ? 伊織先生も?」
「私は普通の甚平ですけど。ちょっと押入れで着替えますね」
「私も着替えてくるわ」
今日の同行者である風呂ママさんも押入れへと消えていった。
皆、準備がいいなぁ。俺は水着なんて持って来なかった。
押入れから出て来た伊織先生と風呂ママさんは、普通に甚平だ。
水着と言っても、オシャレ水着ではない。うん、わかっていたよ? 異世界に水着を持って転移してくるやつなんていないよね?
うちの仏間の押入れからも水着は出て来なかった……よな?
「そうだ! 機体の荷物はどうだろう? 飛行機の荷物なら水着持って来てる人がいても不思議じゃない」
「清見君……、それは私達も考えたわ。でも私達がこの世界へ移転したのって3月の終わり頃じゃない? 海へのバカンスには早すぎるわ」
「ねー。残念。国際線ならそれもあったかもしれないけど、あの機体は国内線だったからねぇ」
そうか、そうだよな。
子供達は着るものに頓着なく水遊びを楽しんでいる。子供らの合間を縫うようにぷるん君らがスイスイと泳いでいた。スライムって泳げるんだ。ポヨン君は俺の横で座っている。
申し訳ないがうりゆ君達は仏間に繋いだままだ。
何か起こった時にすぐに移動できるようにと。交代で自由行動にしようかとも考えたが、この池での滞在時間はせいぜい1時間ほどだ。
子供達が30分ほどの水遊びのあと、仏間に戻り着替えておやつをして昼寝を始めた。その時にうりゆ君達を30分だけ自由時間にした。
俺も仏間で昼寝をしようかと思った時、遠くの方から地響きが聞こえた。うりゆ君達は見える所にはいない!
俺はすぐにポヨン君を見たが、ポヨン君は落ち着いた感じで微動だにしていなかった。
「……危険はない、のか?」
目を凝らして遠くを見る。地響きの元だろう何かがこちらへと近づいてくる土煙が見える。しかしポヨン君は寝たままだ。
四つ脚の魔物が見えてきた。背中の位置に何かが乗っているように見える。どんどんと近づくとはっきりと視認出来た。
自衛隊……、あ、今はもう自衛隊とは言わないんだっけ。ニッポンギルドの人達。大島氏も今やニッポンギルド員だからな。ええと、建築部門だっけ?(←間違っている)
かなり近くなると四つん這いの魔物がパンダコアラである事がわかった。
先頭のパンダコアラはミニバンを引いていた!ミニバンママの長谷川さんだ。
あれ? そう言えば、今日の仏間散歩には翔洋君も居たはず。
「こんにちはぁ」
「どもっす! 清見さん」
「こんにちはー」
俺が仏間の中の翔洋君を探す間に、コアラパンダ軍団の皆さんは仏間の前に控えていたコアラパンダを止めていた。
長谷川さんのミニバンのみ、コアラパンダが引くようにしてあるが、他のコアラパンダは背中に騎乗出来るように何かが取り付けられていた。乗馬で言う『鞍』とか『鎧』ってやつかな。それっぽいのを作って乗せている。
実はうちのうりゆ君達にも、仏間を引く以外に直接乗れるように、像の背に乗せるようなものをひとつ作ってくれたのだが、それに乗るよりも仏間を引いてもらった方が安定して乗っていられるので、ほとんど使っていない。
「今日は保育園でこっち方面に遠足に行くかもしれないと聞いていたので、訓練の帰りに寄ってみたのよ」
「ままぁ」
ちょうど目を覚ました翔洋君が仏間から出て来て母親に抱きついた。
続けて起き始めた他の園児が母親に抱きついた翔洋を見て、近くにいた伊織先生や風呂ママさんに抱きついたりしがみつく。抱きつく先に溢れた園児が俺に突進してきた。
「今日は訓練なんですか?」
園児まみれになりながらミニバンママさんに聞く。
「そうなの。先日コアラパンダをテイムしたばかりのメンバーがいるので、騎乗訓練を兼ねて走り回っていたの」
そう言われてみると、小さめのコアラパンダを従えた隊員……ああと、面倒くさいな、隊員じゃなくてギルドメンバー?ギルメンさんがいた。
ふと気がついたんだが、連日走り回っているせいなのか、桜さんやパンさん達コアラパンダが、なんだろう……少し筋肉質になってきてない? 気のせいかな? 毛が生えているからハッキリとはわからないけど、なんかがっしりしてきている気がする。
俺は慌ててうりゆ君らを確認しようとしたが、今は自由時間だった。うちの子も毎日重たい仏間を引かせてしまって、筋肉モリモリのうり坊になっちゃったか?
そういえば、拾ってから3年近く経つが、もう『ウリ坊』ではないのか? でも、拾った時の『うり坊』からサイズは巨大化したけど見た目はあの可愛らしいままなんだよな。
大人の猪ってもっとゴツい見た目というか、うりゆ君達を拾った迷宮の大広間に居た巨大猪……、まだ、あの形態にはチェンジしていないと思う。
猪ってどのくらいで大人になるんだろう。大きさはともかく、今の可愛いフォルムと柔らかい毛を、今のうちに楽しんでおかないとな。
その後、コアラパンダ隊に伴走されて仏間はニッポンの地上部へと帰還した。
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