俺達YOEEEEEE?けど異世界満喫したいよね?

くまの香

文字の大きさ
9 / 11

9話 ライダー仲間

しおりを挟む
 ----(清見視点)----

 仏間は森を横目に走り、少し行くと湖と言うには小さい、大きな水溜まりのような場所の前で停まった。


 目で見えるところに魔獣や魔虫は見当たらなかったが、念の為、ポヨン君達にお願いして付近に魔物が居ないか確認してもらった。 もちろん水の中もだ。

 どこから何が出てくるかわからない世界だ。念には念をいれて行動をする。
 昨日来て魔物が居なかったからと今日も居ない確証はない。
 何しろこの世界は魔虫だの魔獣だの魔物がわんさかいるのだ。しかもやつらは肉食で、俺らは(たぶん)美味しい。(←誰説?)


 ポヨン君達が周りを確認している間に、伊織先生は子供達のシートベルトを外してから着替えをさせていた。

 タンクトップ……と言うには、そこまで洒落てはいない。
 たぶん、昔爺ちゃんが着ていた袖のない肌着、それをあちこち摘んでサイズ調整したような?
 子供らは着ていた服を脱がされて、皆、それに着替えていた。


「水着、なんです。もしかしてシャバシャバ池に行くかなと思って用意してきました」


 しゃ…しゃばしゃば池?
 あの水溜まりか。深さはせいぜい15センチほどなので、確かに子供用の水遊び場と言えない事もない。一度兄貴やママさん達、子供達とで来た事があった。


「今日は南東方面と聞いていたので、水着を持って来てよかったー」

「えっ? 伊織先生も?」

「私は普通の甚平ですけど。ちょっと押入れで着替えますね」

「私も着替えてくるわ」


 今日の同行者である風呂ママさんも押入れへと消えていった。

 皆、準備がいいなぁ。俺は水着なんて持って来なかった。

 押入れから出て来た伊織先生と風呂ママさんは、普通に甚平だ。
 水着と言っても、オシャレ水着ではない。うん、わかっていたよ? 異世界に水着を持って転移してくるやつなんていないよね?
 うちの仏間の押入れからも水着は出て来なかった……よな?


「そうだ! 機体の荷物はどうだろう? 飛行機の荷物なら水着持って来てる人がいても不思議じゃない」

「清見君……、それは私達も考えたわ。でも私達がこの世界へ移転したのって3月の終わり頃じゃない? 海へのバカンスには早すぎるわ」

「ねー。残念。国際線ならそれもあったかもしれないけど、あの機体は国内線だったからねぇ」


 そうか、そうだよな。

 子供達は着るものに頓着なく水遊びを楽しんでいる。子供らの合間を縫うようにぷるん君らがスイスイと泳いでいた。スライムって泳げるんだ。ポヨン君は俺の横で座っている。

 申し訳ないがうりゆ君達は仏間に繋いだままだ。
 何か起こった時にすぐに移動できるようにと。交代で自由行動にしようかとも考えたが、この池での滞在時間はせいぜい1時間ほどだ。

 子供達が30分ほどの水遊びのあと、仏間に戻り着替えておやつをして昼寝を始めた。その時にうりゆ君達を30分だけ自由時間にした。

 俺も仏間で昼寝をしようかと思った時、遠くの方から地響きが聞こえた。うりゆ君達は見える所にはいない!
 俺はすぐにポヨン君を見たが、ポヨン君は落ち着いた感じで微動だにしていなかった。


「……危険はない、のか?」


 目を凝らして遠くを見る。地響きの元だろう何かがこちらへと近づいてくる土煙が見える。しかしポヨン君は寝たままだ。

 四つ脚の魔物が見えてきた。背中の位置に何かが乗っているように見える。どんどんと近づくとはっきりと視認出来た。

 自衛隊……、あ、今はもう自衛隊とは言わないんだっけ。ニッポンギルドの人達。大島氏も今やニッポンギルド員だからな。ええと、建築部門だっけ?(←間違っている)

 かなり近くなると四つん這いの魔物がパンダコアラである事がわかった。
 先頭のパンダコアラはミニバンを引いていた!ミニバンママの長谷川さんだ。
 あれ? そう言えば、今日の仏間散歩には翔洋君も居たはず。


「こんにちはぁ」

「どもっす! 清見さん」

「こんにちはー」


 俺が仏間の中の翔洋君を探す間に、コアラパンダ軍団の皆さんは仏間の前に控えていたコアラパンダを止めていた。

 長谷川さんのミニバンのみ、コアラパンダが引くようにしてあるが、他のコアラパンダは背中に騎乗出来るように何かが取り付けられていた。乗馬で言う『鞍』とか『鎧』ってやつかな。それっぽいのを作って乗せている。

 実はうちのうりゆ君達にも、仏間を引く以外に直接乗れるように、像の背に乗せるようなものをひとつ作ってくれたのだが、それに乗るよりも仏間を引いてもらった方が安定して乗っていられるので、ほとんど使っていない。


「今日は保育園でこっち方面に遠足に行くかもしれないと聞いていたので、訓練の帰りに寄ってみたのよ」

「ままぁ」


 ちょうど目を覚ました翔洋君が仏間から出て来て母親に抱きついた。
 続けて起き始めた他の園児が母親に抱きついた翔洋を見て、近くにいた伊織先生や風呂ママさんに抱きついたりしがみつく。抱きつく先に溢れた園児が俺に突進してきた。


「今日は訓練なんですか?」


 園児まみれになりながらミニバンママさんに聞く。


「そうなの。先日コアラパンダをテイムしたばかりのメンバーがいるので、騎乗訓練を兼ねて走り回っていたの」


 そう言われてみると、小さめのコアラパンダを従えた隊員……ああと、面倒くさいな、隊員じゃなくてギルドメンバー?ギルメンさんがいた。

 ふと気がついたんだが、連日走り回っているせいなのか、桜さんやパンさん達コアラパンダが、なんだろう……少し筋肉質になってきてない? 気のせいかな? 毛が生えているからハッキリとはわからないけど、なんかがっしりしてきている気がする。

 俺は慌ててうりゆ君らを確認しようとしたが、今は自由時間だった。うちの子も毎日重たい仏間を引かせてしまって、筋肉モリモリのうり坊になっちゃったか?

 そういえば、拾ってから3年近く経つが、もう『ウリ坊』ではないのか? でも、拾った時の『うり坊』からサイズは巨大化したけど見た目はあの可愛らしいままなんだよな。

 大人の猪ってもっとゴツい見た目というか、うりゆ君達を拾った迷宮の大広間に居た巨大猪……、まだ、あの形態にはチェンジしていないと思う。

 猪ってどのくらいで大人になるんだろう。大きさはともかく、今の可愛いフォルムと柔らかい毛を、今のうちに楽しんでおかないとな。


 その後、コアラパンダ隊に伴走されて仏間はニッポンの地上部へと帰還した。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

転生したら幽閉王子でした~これどうすんの?

サクラ近衛将監
ファンタジー
 神様の眷属の過失が原因の事故に遭って死んだ桜庭雄一が異世界に転生したら、とある国の忌避すべき王子として幽閉されていた。  転生にはチートがつきもののはずだが、事故で死んだ者が300名を超えるために、個別にチートは与えられず、転生先の者の能力を生かせと神に告げられている。  「神の加護」ではないけれど、「恩寵」が与えられているので、当該異世界では努力を為した分、通常に比べると成果があるらしい。  これはとある国の幽閉王子に転生した男の冒険譚である。  原則として、毎週月曜日20時に投稿予定です。

【完結】海外在住だったので、異世界転移なんてなんともありません

ソニエッタ
ファンタジー
言葉が通じない? それ、日常でした。 文化が違う? 慣れてます。 命の危機? まあ、それはちょっと驚きましたけど。 NGO調整員として、砂漠の難民キャンプから、宗教対立がくすぶる交渉の現場まで――。 いろんな修羅場をくぐってきた私が、今度は魔族の村に“神託の者”として召喚されました。 スーツケース一つで、どこにでも行ける体質なんです。 今回の目的地が、たまたま魔王のいる世界だっただけ。 「聖剣? 魔法? それよりまず、水と食糧と、宗教的禁忌の確認ですね」 ちょっとズレてて、でもやたらと現場慣れしてる。 そんな“救世主”、エミリの異世界ロジカル生活、はじまります。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...