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第一章
一章:1話 どうやら異世界に呼ばれたようです
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本来、コンビニに入れば、棚にきれいに陳列された商品や、キャンペーンのポップ、そしてレジないしは、品出しをしている店員が一人か二人ほどいる光景が普通だと思うのだが、光と傀儡の目に映ったものは違った。
コンビニというにはあまりに広すぎたその空間は、まるで、おとぎ話の舞踏会の会場のごとく、丹精に積み上げられた石レンガの壁に、美術館にでも飾ってあるような上等そうな絵や、荘厳な飾り付けが施されている。天井にはシャンデリアがあり、それが目の肥えてない人でさえ、見るからに高い物だと確信できるほどのもの。
ここがコンビニではないことに、二人は気づくほかなかった。さらに見れば、目の前には同じように困惑している様子の人たちが20人近く。見知った顔もいて、いったい何が起こったのかさっぱりわからなかった。
周りから聞こえる小声での会話。ここはどこなのか、なぜこんなことになっているのか。周りから聞こえる声にそれぞれの声はヒートアップをはじめる。
次第に大声へと変わり、このままではあわやパニックとなりかけたその時、ひときわ目立つ門とも形容できる大きな扉が重厚な音を立てながら開き始めた。
開き始めた扉を前に声は静まり返り、全員の注目は扉に集まる。
次第に扉の向こう側が見え始め、開き切った扉の先には、一目で権力を持った人間だとわかるほどの、上等な布にたくさんの宝石、動物の毛皮をかけ合わせた洋服を身にまとった白髪白髭の老人。それと甲冑を身にまとったいわゆる騎士といわれるような見た目の人たちが10人ほどいた。
「まずは皆様に謝罪を。突然この場所にお呼びたてさせていただきましたことを私自ら謝らせていただきます」
扉の中央にいた老人はそういって頭を下げる。続けざまに自己紹介を始めた。
「わたくしの名前はアガスティア・バルステスこのバルテス皇国の王でございます」
頭を上げた彼が自己紹介を終わるころに、この場に突然連れてこられた彼らはようやく自分たちの悩みの種を彼が作り出していたということを理解した。
「ここはどこなの?」
集団の中の一人が声を上げる。それを皮切りにそれぞれが思い思いに声を上げる。もはやだれが何を言ってるか聞き取ることすらかなわなくなるほどの怒声となったとき、アガスティアは一呼吸置き、大きな声を発する。
「沈まれ!」
その声にその場にいた全員は瞬時に口をつぐんだ。
「皆様の不安は最もなものです。一つ一つお答えしていきますので、一度落ち着いていただけると助かります」
アスティは一つずつ丁寧にみんなの疑問に答えていった。
ここはどこなのか?
ここはあなた方のいた世界とは違う世界。その一国です。
家には帰れるのか?
返す準備はございます。
なぜ私たちを呼んだのか?
「それは、、、魔王を倒していただくためです。」
魔王を倒す。おとぎ話の中でしか聞いたことのないそのワードに集団の中の一人が耐えきれず声を上げた。
「これ以上ふざけた答えしか出していただけないようならすぐさま警察を呼ばせていただきます」
そう言ってスマホを取り出した彼。金髪に茶色い瞳の細い顔にすらっとしたモデル体型の男。傀儡と同じ学校に通う 暁 希望。クラス委員長でもある冷静で文武両道の完璧超人。
ありえない状況の中でも周囲の様子を確認し、自分なりの結論を出したのだろう彼がスマホを見た。その顔は少しひきつっている。その理由は単純明快電波が通っていなかったのである。
「まさかこんな大きな建物で、電波が届かないなんてあり得るか!?」
頼みの綱があっさりと断ち切られた彼はすぐさま思考を切り替えようとさらなる交渉をする。
「金が欲しいならそういえばいいでしょう?私の父ならば希望の額を出すことも可能だと思いますよ」
彼の渾身の策だったのだろう。しかし、アガスティアは小首をかしげる。
「先ほども申した通り、私が皆様に求めているのは魔王討伐への協力です。もし、ここが異世界というのが信じれないのであればステータスを見てみればいいでしょう。いつもと違うはずですよ」
ステータスと唱えたアガスティア。その目の前にはまるでゲームのステータス画面のようなものが広がっていた。促すような態度の彼に、恐る恐るとステータスとつぶやく声が一つ二つ。
本当にその画面が出ることを確認した彼らは、一斉にステータスと唱え始める。
「まるで初めて見るといったような顔ですが、もしや、皆様の世界ではステータスの確認をできなかったのですか?」
そう目を丸くするアガスティアにそうだと言わんばかりに首を縦に振る一同。
「もしかしたら外れやも知らぬな」
だれにも聞こえないようにそうつぶやいたアガスティアの顔はごみを見るようであった。
コンビニというにはあまりに広すぎたその空間は、まるで、おとぎ話の舞踏会の会場のごとく、丹精に積み上げられた石レンガの壁に、美術館にでも飾ってあるような上等そうな絵や、荘厳な飾り付けが施されている。天井にはシャンデリアがあり、それが目の肥えてない人でさえ、見るからに高い物だと確信できるほどのもの。
ここがコンビニではないことに、二人は気づくほかなかった。さらに見れば、目の前には同じように困惑している様子の人たちが20人近く。見知った顔もいて、いったい何が起こったのかさっぱりわからなかった。
周りから聞こえる小声での会話。ここはどこなのか、なぜこんなことになっているのか。周りから聞こえる声にそれぞれの声はヒートアップをはじめる。
次第に大声へと変わり、このままではあわやパニックとなりかけたその時、ひときわ目立つ門とも形容できる大きな扉が重厚な音を立てながら開き始めた。
開き始めた扉を前に声は静まり返り、全員の注目は扉に集まる。
次第に扉の向こう側が見え始め、開き切った扉の先には、一目で権力を持った人間だとわかるほどの、上等な布にたくさんの宝石、動物の毛皮をかけ合わせた洋服を身にまとった白髪白髭の老人。それと甲冑を身にまとったいわゆる騎士といわれるような見た目の人たちが10人ほどいた。
「まずは皆様に謝罪を。突然この場所にお呼びたてさせていただきましたことを私自ら謝らせていただきます」
扉の中央にいた老人はそういって頭を下げる。続けざまに自己紹介を始めた。
「わたくしの名前はアガスティア・バルステスこのバルテス皇国の王でございます」
頭を上げた彼が自己紹介を終わるころに、この場に突然連れてこられた彼らはようやく自分たちの悩みの種を彼が作り出していたということを理解した。
「ここはどこなの?」
集団の中の一人が声を上げる。それを皮切りにそれぞれが思い思いに声を上げる。もはやだれが何を言ってるか聞き取ることすらかなわなくなるほどの怒声となったとき、アガスティアは一呼吸置き、大きな声を発する。
「沈まれ!」
その声にその場にいた全員は瞬時に口をつぐんだ。
「皆様の不安は最もなものです。一つ一つお答えしていきますので、一度落ち着いていただけると助かります」
アスティは一つずつ丁寧にみんなの疑問に答えていった。
ここはどこなのか?
ここはあなた方のいた世界とは違う世界。その一国です。
家には帰れるのか?
返す準備はございます。
なぜ私たちを呼んだのか?
「それは、、、魔王を倒していただくためです。」
魔王を倒す。おとぎ話の中でしか聞いたことのないそのワードに集団の中の一人が耐えきれず声を上げた。
「これ以上ふざけた答えしか出していただけないようならすぐさま警察を呼ばせていただきます」
そう言ってスマホを取り出した彼。金髪に茶色い瞳の細い顔にすらっとしたモデル体型の男。傀儡と同じ学校に通う 暁 希望。クラス委員長でもある冷静で文武両道の完璧超人。
ありえない状況の中でも周囲の様子を確認し、自分なりの結論を出したのだろう彼がスマホを見た。その顔は少しひきつっている。その理由は単純明快電波が通っていなかったのである。
「まさかこんな大きな建物で、電波が届かないなんてあり得るか!?」
頼みの綱があっさりと断ち切られた彼はすぐさま思考を切り替えようとさらなる交渉をする。
「金が欲しいならそういえばいいでしょう?私の父ならば希望の額を出すことも可能だと思いますよ」
彼の渾身の策だったのだろう。しかし、アガスティアは小首をかしげる。
「先ほども申した通り、私が皆様に求めているのは魔王討伐への協力です。もし、ここが異世界というのが信じれないのであればステータスを見てみればいいでしょう。いつもと違うはずですよ」
ステータスと唱えたアガスティア。その目の前にはまるでゲームのステータス画面のようなものが広がっていた。促すような態度の彼に、恐る恐るとステータスとつぶやく声が一つ二つ。
本当にその画面が出ることを確認した彼らは、一斉にステータスと唱え始める。
「まるで初めて見るといったような顔ですが、もしや、皆様の世界ではステータスの確認をできなかったのですか?」
そう目を丸くするアガスティアにそうだと言わんばかりに首を縦に振る一同。
「もしかしたら外れやも知らぬな」
だれにも聞こえないようにそうつぶやいたアガスティアの顔はごみを見るようであった。
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