パンドラディアの崩壊

巫崎 謳

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邂逅

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空は蒼く澄み渡っている。
雲は白く大小を兼ね揺蕩っていた。
太陽は眩しく、これからの未来を照らしているようだ。

訂正。これからの未来に明るさも暗さもない。
ただ、ただ人生が果てるまで生きるのみだ。
俺の人生はそういうふうに進んでいくものだと、思っていた。

今日は食料を調達に都市の真ん中あたり、多くビルが立ち並ぶ街の真ん中あたりまでやってきている。
ビルと言っても森林化が進んでいてボロボロの、何なら骨組みまで見えていたり、崩れていたり…。
要はビルには見えない、と言う事だ。

そしてこの広場には動物がすみかが多くある。


「よし…今日は大量だな…」

偶然。

目を横目にやった。

人が倒れていた。

「!?」

息は…ない。体は冷たい…。し、死んでいる。
それにしても外傷はない。
服はところどころ破れている…。

という事は死んでから相当…とは言わずとも、
だいぶ経っているのだろう。
きれいな肌、透き通るような白く長い髪…。

きれいな女性だ。

腐っていない道理はわからないが、

少し触れて…


「本体起動システム起動。」

「視覚システム起動。」

「色覚システム起動。」

「音声システム起動。」

「空間把握システム起動。」

「記憶保管システム起動。」

………。

「不備あり。修復作業に入ります。」


……。


「記憶保管システム。修復不可。」

「あ、……あの!」


彼女は俺の方に振り向いた。



目を開けた。

その目は今日の空の様に

吸い込まれるような澄んだ葵い目だった。
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