パンドラディアの崩壊

巫崎 謳

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「…生体反応を確認。会話分を構築します…。」

さっきから何を言っているんだ…?
この子は一体……。

人と会話なんて久しぶりにするから、声をかけたのに何を話したらいいかわからない…。
こういうとき何を話せばいいんだ…。

そう考えると顔のあたりが熱を持ってきたのがわかった。気温は温暖。そよ風が気持ちいいような、そんな温度。

「あ……いや、…あ、はは…。」

「はじめまして。あなたは?」

「え、あ、えと。俺はナツト…」

話した!!…え、あ、待てよ。
さっきまで死んでた、よな?生き返ったとか?
としても、それを聞くのはどうなんだ!?
気になるけどもそれは強調としてどうなんだ?

目をあっちそっち、と彼女に合わせないまま自分の名前を言う。彼女の様子は、直接見れていないのでわからない。

「質問。こちらを向かないの?」

「ひぇ!?あ、あぁ」

そう言われ彼女の方を見る。
あぁ、やっぱりきれいだ…なんて…。
だけど、服がところどころ破れていて、直接見ることはほとんどできない…。

「もう一つ質問。ここは…?」

「え、っと。君ここの事知らないの?」

「記憶保管システムが損傷していて、今までの事を覚えていないの。」

「記憶…ほか、シス……?」

「改正。……。記憶喪失だからわからないの。」

「あ、あぁ。なるほどね。
ここはエリシュオン。」

………。

会話が…進まない。女の子と話したことなんて…ない…わけじゃないけど。今まで一人だったし…。


…。

「あ、そ、そうだ!き、なま……君の名前は?」

「回答。エルピア…。補足。名前はなぜか覚えている。」

エルピア…。エルピア…。エルピア。
忘れないように何回か繰り返しておこう。

「あ、よろし…」

「!」

突如彼女が驚いたような表情になった。

「……。メッセージを受信。」

「……読み上げを開始。」





「会いに来て___。」
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