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ある地下アイドルの日常
しおりを挟む紅井千里は、いわゆる地下アイドルである。見た目も性格もよく一度来たファンの顔も何を話したかもすべて覚えているという特技の持ち主でもある。そんな紅井が1人だけどうしても気になる人がいた。
(今日もあの人来てくれるかな?)
紅井は今日もイベントで来るかわからない1人のために歌う。紅井がファンを差別してる訳でもなく分け隔てなく対応しているのだが何故かその1人だけは対応が違うように感じているファンがいた。デビュー当初から見守って来たファンから見ると明らかに声のトーンが変わっているのがわかる。
「今日のせんりなんかいつもより声出てたよな?」
「あ~それは俺も思ったけど聞くに聞けないよね!」
(今日も来てなかったな・・・)
実は紅井の気付かない所で彼は聞いていた。紅井が気になってる人物は紅井に名前を教えたことが無い!彼自身がいろんな意味で有名であったからである。彼の名前を知らなくても普段の恰好を教えるだけで誰かわかるような人物だった。紅井千里はあることがきっかけで彼の名前を知ることになるのだが、本人から名前で呼ぶなよと言われてからはお兄さんと呼ぶようになる。
紅井千里こと紅井茜は元々はナレーターになりたかったのだが、母親と出かけた事がきっかけで今の事務所にスカウトされ地元密着型アイドルとして活動することになったのだった。茜がお兄さんと呼ぶ異性は母親も顔は知っておりある程度彼の事情を把握している。
「茜、まだあの人こと気にしてるの?」
「気にしてるというか、今までこんな感情抱いた事なかったから困惑してるだけ!」
「彼があなたに名前を呼ばせなかった理由を考えれば心配するだけ無駄よ」
「別に好きとかそういう感情は無いというとウソになるけど親愛に近いものよ」
「彼があなたに名前を呼ばれると茜にも迷惑がかかると思ったから名前で呼ぶなと言われたのよ、わかってる?」
事務所の前まで迎えに来た母親とそんな会話をしなが帰路に就く茜であった。
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