確かに俺は文官だが

パチェル

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第4章

忙しいのは変わらない18

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 うっすらと暗くした部屋でヒカリを抱える。


 スピカとセイリオスが二人でするときはいつも大抵セイリオスが前でヒカリを抱えて、後ろでスピカがヒカリをなだめる。
 今日も何も言わなくてもそういった体勢になる。


 ぴょこッとヒカリの性器が服の裾からのぞく。
 その裾をつかないぐらいまでまくり上げるのがスピカの役目になったのはつい最近。
 ヒカリの性器がスピカの片手で事足りるため自ずと持ち上げることになった。


 ただ事足りるということは口には出しておかないでいる。

 やれ筋肉だ、やれ身長だというのだから言わないでおく。



 さすがにそれを大きくするやり方なんか聞かれたくはない。
 聞かれても知らないのだけれど。


 セイリオスの片手はヒカリが相変わらず握りしめる。
 セイリオスのもう片方の手はヒカリをふわりと抱える役目。
 残ったヒカリの片手は自分の性器に触れる。




 ちゅこちゅこと小さく湿った音が聞こえ始める。
 乱れる呼吸が少し苦しそうに呻く。


「あ、そこはだめ」
「触っちゃいけなかったか?」
「へ? あ、ううん。まちがた。そこ、ん、きもちぃ」


 ヒカリは気付いていないかもしれないが、こういう行為をすると少し意識が行ったり来たりする。
 本当に雑談みたいな話をするときもあれば、何かをぼんやり考えているときもある。



 最近は快感に身をゆだねることにも慣れてきたのかよく気持ちいいという。

 一人で練習しているときはどんな感じでしているのかとスピカが聞くと首をかしげる。


「ひとりのとき? うーん、あんまりわかんない。声? 出てるかな?」

 という。


 一人だと余計に何かがストッパーをかけるようで何も考えていないなどという。
 恐らく記憶にとらわれているのではないかとセイリオスは思うので、そうなったときに声をかけることにしている。


 ヒカリ、こっち見て。
 ヒカリ、聞こえるか。
 ヒカリ、熱いな。
 ヒカリ、今日の飴はどんな味だった?

 ヒカリと声をかけると戻ってきてセイリオスの眼を不思議そうに見つめて、くすぐったそうに少し笑う。



 どうしても戻ってこないときは口づけを落とす。
 そうすると確実に戻ってくるのでこういう時はバンバンすることにしている。
 開き直ったともいえるが。



 スピカもそれを察しているので後ろからヒカリに口付ける。
 肩に残っているやけどの跡によくしている。


 あの顔を見ていると冷静になる自分がいるので正直助かる。






「ヒカリそろそろ出そうだな」


 そろそろかと思うとヒカリの服を背中で支えているほうの手で裾がつかないように持つ。
 そうするとスピカは布を用意する。




「そう、かな。うぁ、きもちぃ。先っぽ、あっ、すぴかぁ、おやゆび、ちょーだいっ」

「んー、いいよ。出てもすぐふき取るから大丈夫だよ」



 そしてセイリオスを熱のこもった瞳で見つめる。
 水が覆った瞳がきらきらと光ってセイリオスに聞く。


「せいりおす? ぼく、うぅ」
「いいぞ。自由に。いっていいから。気持ちいいな?」
「ちょーだい?」


 大体終わりに近づくとヒカリが言う。
 ちょーだい。


 暮らし始めて最初らへんから使っていたから、出やすいのだろう。


 最初ちょーだいと言われて何が欲しいのかと顔を近づけたらそのまま頬にちゅうをされた。
 もう一回、ちょーだいとスピカの方へ向いて近づく頬に小さくちゅうをした。


 それから決まって夜の寝室では、ちょーだいと言われたら二人して体のどこかを差し出す。
 言われなくても貸し出すのだが。


 セイリオスの胸に顔をうずめて小さく喘ぎながら体を震わせる。
 そして最後まで出し切ると小さくつぶやく。まるで確かめるように。



『これもきもちいい』


 眠くてきちんと発音できていないが、おそらくそう言っている。
 そして背中をポンポンとさすると眠たくなって、いつも寝てしまうのだ。



 長いこと勃起して射精すると疲れるみたいでいつもあらがっているのだが、今日も同じで。

 スピカがヒカリの下肢を拭ってパンツとズボンを穿かせる。



 自分で履くよと眠たそうに最初の頃は言っていたのだが「パンツはすぐ穿かないと寒さで痔になったら困るぞ」と言いくるめられていた。



 今ではお任せしてしまう事にも慣れたようだった。



 とか言いつつ耳は赤いので恥ずかしいのは恥ずかしいようだ。



 性器に触れ合させることよりパンツを穿かされる方が恥ずかしいってどういうことか、いまいちセイリオスにはわからないけれど。まあ、何しろパンツをはかされるということを子どもの時分以来されていないからだろうが。



 そしてヒカリが眠たい頭を持ち上げて珍しく睡魔に打ち勝ちそうになっていた。



「どうした?」

 スピカがヒカリの汗をぬぐう。
 口元に水分を持っていくと自分でコップを持つ。
 ごくごく。



 そして問題発言を一つ。



「あろれ、セイリョス? ふひか? お、おひりもはわって? ほひい、んらけろ。らめ?」



 いや、やはり睡魔には打ち勝ててなさそうだ。









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