壁外で魔物が暴れているが、僕はコーヒーを淹れ続ける。

杉田玄白

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第1章

第1話

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カフェ特有の薄暗い照明の中、少年が一人、少し強張った顔持ちで魔導コンロと向き合っている。
コポコポと湯が沸く音が聞こえる。僕は慣れた手つきでドリップポッドを持ちドリッパーへ湯を注ぐ。店外から「魔物が暴れているぞ!」と怒鳴り声が聞こえるが今の僕には関係無いことだ。この一杯を淹れることが僕にとっての全てだから。


「ねえ!早く逃げなさいよ!」「うわっ」
突然目の前から聞こえた声に びっくりした僕はドリップポッドを投げ出し跳び上がった。
「アチチチ!何すんだよ。」「それはこっちの台詞よアディス!早く避難しなさいよ。どうせ武器も持てないんだから。あと心の声聞こえてたわよ、気持ち悪い。」
この毒舌女は青葉茜あおばあかね。僕の幼馴染だ。年は僕と同じ15、緋色のツインテールにモデル体型、性格も良く周りからの印象は最高...なんだけど僕への対応はこの通り。
「ブツブツ言って突っ立ってないで早く逃げなさいよこの貧弱!」「しょうがないじゃん戦え無いんだから。」
全く使えないスキルねと言って彼女は出入り口から走り去っていった。

何故僕が戦え無いかって?さっき彼女が言ったように僕のスキルのせいだ。
僕らが住んでいるここ関東王国イーストキングダムでは10歳になると王城で行われる[神の発現]と呼ばれる儀式に参加させられる。そこでスキルと言うものを発現させるんだ。僕のスキルは[コーヒーメイカー]で効果は主にコーヒーを淹れることに特化している。自分で思うけどイかれてる。普通なら武の才とか魔法とかに関係するんだけど、僕のは逆に。ちなみに茜は[天賦の才.剣]と言う武術系スキルの最高峰と言われるスキルを持っている。しかし僕は後悔していない。何故なら師匠と一緒にコーヒーが淹れられるから!
「早く逃げろって言ってるでしょ!このバカ!」スパァン!
「イテテ、頭叩くなよ。ってかいつ帰って来たんだよ。あー分かったよ逃げるよ。」「女々しい桃色の髪で本当に男なの?ほら行った行った。」「へいへい。」
アディス達はこれから紡がれる絆の物語を知る由も無いのであった。
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