壁外で魔物が暴れているが、僕はコーヒーを淹れ続ける。

杉田玄白

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第1章

二話

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しばらくして冒険者達により魔物が撃退された後、カフェに戻ったアディスは性懲りもなくコーヒーを淹れ始めた。間も無くコーヒーの香りが誰もいない店内に充満した時、入店を知らせる鈴が鳴った。
「ここにおったか小僧。魔物の襲撃直後にコーヒーを淹れるとはやはり儂の弟子じゃな。」
なんだ師匠か、今日はびっくりすることが多いなぁ。この老人は僕が師匠と呼んでいるこのカフェのマスターだ。ちなみに僕はここの屋根裏部屋に居候している。
「小僧よ、そろそろドリップのコツは掴んだかの?そういえば今日でここに来て5年がたつのう。正式に雇うのもありかもしれんな。」
「師匠!是非お願いします!」
僕は思いきり頭を下げて熱願した。
「まあ...良いじゃろ。では今日から小僧は正式な店員じゃ。しっかりと淹れるのじゃぞ。」
えっ、お客様に僕のコーヒー出すんですか?まだ師匠と茜にしか飲んでもらったこと無いのに。さらに師匠に一回も美味しいって言ってもらって無い...。
「そう心配そうな顔するな。客に出すにはギリギリ及第点じゃ。はっはっは。」
いや笑えないんですけど。
「おっともうこんな時間か。今日はもう客が来なそうじゃし上がっていいぞ。」
「今日も一日ありがとうございました!」
礼をした後、僕は茜の住む北区へと走っていった。


茜は孤児院に住んでいる。と言っても別に不自由な暮らしをしている訳では無い。この国は魔物の襲撃が激しく人々の損傷も激しい為、国が医療福祉の充実を掲げておりこの孤児院も内外ともに充実している。僕も10歳までこの孤児院でお世話になっていた。最初に茜と会ったのも施設内だ。なんてことを思い出している内に僕は孤児院の前まで来ていた。コンコンとノックすると老齢の職員が出てきたが僕の顔を見てすぐに中に入れてくれた。僕は茜の部屋の前に着くと
「入るよー」
と言いながらドアを開けた。
そこには着替え半ばで顔を真っ赤にしている茜の姿があった。
「ば、ば、ばかーーーーーーーー!!!!!」
「ひぃ!ごめんなさいっ!」
僕は急いでドアを閉めるとその場に土下座をした。昔茜から教わったこの大陸伝統の奥義なのだそうだ。あれからどの位が経っただろう。
「もういいわよ。」
と呼ばれたので恐る恐るドアを開けると大変ご立腹な茜が仁王立ちしていた。
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