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第一話:不評ゲーム始めました
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猛暑日を過ぎ、秋へと変わる十月下旬、高校三年は大学受験に追われていた。しかし、中ではAO入試や指定校推薦で受験し、もう既に合格者が出てきていた。
「へっへ~。見て見て。」
どう見ても受験勉強で窶れている二人に自慢たらしくCDケースくらいのパッケージを見せる女子高生、桐島珱花。
「昨日店に行った時に買ったんだ~。」
満悦の笑顔で見せていると、これこそ文系!という感じの赤い楕円形の眼鏡を掛けている東山可奈がじっとそのパッケージを見て、ぶつぶつと呟く。
「……VR…ゲームか…背景に紺色のローブの男性…出前に剣…戦士…杖…魔法使い……製造会社はアーク……アティクタか…ふ~ん。」
まるで、お前やらかしたぞという顔でこちらをにまにましながら見た。
「…え?アティクタ!?……珱花…それって確か不評過ぎて人気0のゲームじゃなかった?」
茶髪で背の高いスポーツ系女子、鹿島由奈は驚き、いきなりテンションが上がった。
けれどそんな事よりも由奈が言った事に反応した。
「不評ってどういうこと!?……あっ!まさか…!」
確かに他のソフトは夕方であったせいかほとんど無く、このソフトだけ沢山あった。しかも他のソフトよりも随分と安かった。
しかし、ふと思い出した。三ヶ月程前、ゲームの攻略が一向に進まず、クレームが殺到した事を。
原因は普通付ける筈のメインクエストや行き先の目印等を付けず、全て自分でという事からだ。
「アティクタは他の会社のソフトなんかより凄くオリジナリティーがあるのにね~。一番必要な事をしないから駄目なんだよな~。じゃ、そゆことで。」
可奈はにたにたしながら、また勉強に入った。
「あ~…まじか…」
少し、いや、かなり辛かった。只でさえ、苦痛であった受験を終え、念願の仮想大規模オンラインロールプレイングゲームのソフトを買えたと思ったら此だ。
「まあ、元気だしな。攻略は不可でも、RPGだからね。クエストを攻略しなくても楽しいって。な?」
「……有難う…由奈…」
少しばかり憂鬱になりながら、私は家に帰った。
「さてっと、始めますか!」
とぼとぼと家に帰ったせいで、余り時間はない。
そもそも、私の家族はゲームに興味を示さず、勉強一途なので、ゲームをする時間も制限されていた。
実は私も高二まで勉強に一途だったが、ゲーム好きの可奈の影響により、激変。ゲームをするようになった。
仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム《VRMMORPG》
旧来のゲーム機とは全く違い、ゲームの中に入って遊ぶという。
実際の所、どうやってと思い、色々と調べた。
頭は少ししか良くないので、詳しい所はよくわからない。けど、パソコンに脳と直接接続する機械、ガリニアルを繋げてやるとの事だけはわかった。
ガリニアル
VRMMOが世界に普及した時、新たなハードという形で売り出された。黒色のゴーグル型の接続機器で目の場所に緑色のフィルムがあり、しっかりと填めたら位置をずらさない為か、パッキンがある。そして、右側には三つのLEDインジケータとボタンがある。頭側から主電源、ネットワーク接続、大脳接続、電源ボタンとなっている。左側にはパソコンに繋げる為のコンセントがある。
しかし、このハードは話によるとまだ改良の余地があったはずなのに、あえてこのままで出したという。
理由はガリニアルだけで動くはずが、予算が足りなく断念。その代わりにパソコンに繋げる事でどうにかなったとか。そして、皆が満足するように、プレイ中でも、パソコンを通して家族と会話が出来るようにと悪戦苦闘もしたらしい。
「さてと、やりますか!」
どのプラグを差すんだっけか等と少し準備が手間取ってしまったが、もうこれで寝転がってボタンを押せばアティクタの世界に入り込める。そう思うだけで胸がわくわくしてきた。
「……では!」
電源ボタンを押し、寝転がっていると、カウントが始まっていた。そして0になると、目の前が暗くなった。
「へっへ~。見て見て。」
どう見ても受験勉強で窶れている二人に自慢たらしくCDケースくらいのパッケージを見せる女子高生、桐島珱花。
「昨日店に行った時に買ったんだ~。」
満悦の笑顔で見せていると、これこそ文系!という感じの赤い楕円形の眼鏡を掛けている東山可奈がじっとそのパッケージを見て、ぶつぶつと呟く。
「……VR…ゲームか…背景に紺色のローブの男性…出前に剣…戦士…杖…魔法使い……製造会社はアーク……アティクタか…ふ~ん。」
まるで、お前やらかしたぞという顔でこちらをにまにましながら見た。
「…え?アティクタ!?……珱花…それって確か不評過ぎて人気0のゲームじゃなかった?」
茶髪で背の高いスポーツ系女子、鹿島由奈は驚き、いきなりテンションが上がった。
けれどそんな事よりも由奈が言った事に反応した。
「不評ってどういうこと!?……あっ!まさか…!」
確かに他のソフトは夕方であったせいかほとんど無く、このソフトだけ沢山あった。しかも他のソフトよりも随分と安かった。
しかし、ふと思い出した。三ヶ月程前、ゲームの攻略が一向に進まず、クレームが殺到した事を。
原因は普通付ける筈のメインクエストや行き先の目印等を付けず、全て自分でという事からだ。
「アティクタは他の会社のソフトなんかより凄くオリジナリティーがあるのにね~。一番必要な事をしないから駄目なんだよな~。じゃ、そゆことで。」
可奈はにたにたしながら、また勉強に入った。
「あ~…まじか…」
少し、いや、かなり辛かった。只でさえ、苦痛であった受験を終え、念願の仮想大規模オンラインロールプレイングゲームのソフトを買えたと思ったら此だ。
「まあ、元気だしな。攻略は不可でも、RPGだからね。クエストを攻略しなくても楽しいって。な?」
「……有難う…由奈…」
少しばかり憂鬱になりながら、私は家に帰った。
「さてっと、始めますか!」
とぼとぼと家に帰ったせいで、余り時間はない。
そもそも、私の家族はゲームに興味を示さず、勉強一途なので、ゲームをする時間も制限されていた。
実は私も高二まで勉強に一途だったが、ゲーム好きの可奈の影響により、激変。ゲームをするようになった。
仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム《VRMMORPG》
旧来のゲーム機とは全く違い、ゲームの中に入って遊ぶという。
実際の所、どうやってと思い、色々と調べた。
頭は少ししか良くないので、詳しい所はよくわからない。けど、パソコンに脳と直接接続する機械、ガリニアルを繋げてやるとの事だけはわかった。
ガリニアル
VRMMOが世界に普及した時、新たなハードという形で売り出された。黒色のゴーグル型の接続機器で目の場所に緑色のフィルムがあり、しっかりと填めたら位置をずらさない為か、パッキンがある。そして、右側には三つのLEDインジケータとボタンがある。頭側から主電源、ネットワーク接続、大脳接続、電源ボタンとなっている。左側にはパソコンに繋げる為のコンセントがある。
しかし、このハードは話によるとまだ改良の余地があったはずなのに、あえてこのままで出したという。
理由はガリニアルだけで動くはずが、予算が足りなく断念。その代わりにパソコンに繋げる事でどうにかなったとか。そして、皆が満足するように、プレイ中でも、パソコンを通して家族と会話が出来るようにと悪戦苦闘もしたらしい。
「さてと、やりますか!」
どのプラグを差すんだっけか等と少し準備が手間取ってしまったが、もうこれで寝転がってボタンを押せばアティクタの世界に入り込める。そう思うだけで胸がわくわくしてきた。
「……では!」
電源ボタンを押し、寝転がっていると、カウントが始まっていた。そして0になると、目の前が暗くなった。
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